11、脱出
みんなの平和な日常を取り戻す。
それが白属性として、カルバーツの育てた子供として、父さんの子供としてすべきことだ!
「ゲッツァ!ここからは魔物も出てくると思うから気を引き締めろよ!俺がいるから大丈夫だとも思うが油断はするなよ!」
「あ、最後に最後に質問!」
「なんだ?」
一つ気になったことがあった。
こんな状況に合わないから言わなかったのだけれど……。
「白属性ってなんで特別なんだ?」
「は?今頃かよ!何回も説明したはずだぞ!」
確かにそうだ。小さい頃から白属性についての説明は耳にタコができるぐらい聞いてきた。
でも、なぜこんなに特別なのだろう……。
いや、全属性の魔法が使えるだけで特別なんだけど……。
「そもそもに白属性が特別だったら沢山産めばいいんじゃねえのか?」
「確かにそうなのだがな……」
答えにくそうだ。
やはり、子作りの話題となると5歳の子供には言いづらいのだろうな……。
前世でもこういう話題については答えづらそうな雰囲気になるのは経験済みだ。
シーエーさんは答えづらそうだったが答えてくれた。
「人間はな……結婚して子供を産むとな……男の方の魔法属性の子供が生まれるんだ」
それは初耳だ。
こんな話、5歳にするはずがないもんな……。
「例えば、俺の家の場合だと俺が水属性で嫁さんが火属性なんだ……。でも、生まれてくる子供は全員水属性なんだ!」
「へ〜そうなんだ〜!」
シーエーさんは続けた。
「でも、白属性だけは違うんだよ!白属性は男が白属性でも必ずしも白属性の子供が生まれてくるとは限らないんだ!」
え?じゃあ俺は本当に特別だったんだ……。
だから、この世界には白属性が3人しかいいないってそういうことなんだな……。
「元々、魔造細胞が最初から白って訳じゃなくて、6種類の魔法が混ざり合って白くなっているんだとよ……。だから生まれてくる子供によってはどの魔法属性になるかが分からないんだ……って話をお前にしてもな……」
確かに、難しかった。
でも、なんとなく理解はした。
つまり、子供を作るときに男の方の魔造細胞が注がれると……。
でも、白属性の場合は白の魔造細胞のまま注がれるとは限らないと……。
例えば赤だったり、青だったりも一緒に注がれるから6つの魔造細胞が均等に注がれないと白属性の子供は生まれないよということか……。
それをコントロールできるとも限らないしな……。
ってことは白属性の子供が生まれるのは奇跡みたいなものなのかもね……。
以上、前世、14歳が必死に頭を使った解釈でした。
「う〜ん……。よく分からないかも……」
「だと思ったよ……。まあそんなに気負うなよ!元々、俺らは生まれたときに選択肢が与えられるんだけど……。戦士になって人間世界のために魔物と戦いたいものもいれば、そうじゃない奴だっている。だから本来、俺らには選択の自由があるんだ。でも、ゲッツァには……無理やり戦士を押し付けちまっているからな……」
そんなシーエさんの手綱を握っている手を俺は優しく握りしめた。
「そんなことないよ!俺だって戦士に憧れているんだ!カルバーツだってシーエーさんだって……。あんなにかっこいいところが見せられたら触発されない訳ないじゃん!だから俺は……強制じゃなくて選択で戦士を選んだんだからシーエーさんも気負わなくてもいいよ!」
その言葉にシーエーさんは苦笑した。
「たまに、お前が5歳じゃないと思うよ!もっと甘えたほうが可愛いと思うぞ!」
「うるさいな〜!」
バレたかと思ったぜ!
でも、この5歳の体も5歳の心も前世の記憶はあるものの、全てこの5年間で貰い受けたものだ……。
もちろん、前世で何ももらっていないということではない。
ただ、この世界では5年間を全てこの世界でもらったということだ。
それだけ、濃密なものだ。
これからも目標に向かって生きていく!
馬に揺られながら後ろにいるシーエーさんが未来へ向けて優しく背中を押してくれているような気がした。




