記憶の音
消えそうで消えない
胸に残る柔らかな雪を踏みしめる音
グッ、グッ、グッ
雪の中の空気が押し固められてゆく破裂音
歩けたんだ
会いに行くと思うだけで
凍えるほどの噂の中に閉じ込められたとしても
大丈夫だと思っていた
本当のあのひとはいつも光っていたから
真っ白に光っていたから
それだけは証明出来たと思えた時
わたしがあなたに出会った意味がわかったきがした
今でも貰った方位磁石だけは
手放さないようにしている
教えられたことは胸の中にある
そして
消えそうで消えない
胸の奥に残る柔らかな雪
淡い雪あかり
踏みしめる音