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迷入者によくある質問(Q&A)

【A|接続・存在に関する質問】

Q1. どうして自分がここに?

→ A群では、極稀に“空間的干渉現象”が発生し、個体の情報軸が別の群に接続される事例が報告されています。あなたはその例外的な干渉に巻き込まれ、現在の世界に“記録された”個体として識別されました。

この現象の発生原因には複数の仮説があり、現在もGIA本部の観測機構によって検証が進められています。


Q2. 自分はこの世界でどう扱われてるの?

→ あなたは「迷入者(Unanchored Entry)」としてGIAに登録されています。これはいかなる国・組織・文化にも属さない状態を意味し、GIAが一時的にその記録と存在の保護を代行します。

この扱いにより、あなたは本世界において一個体としての尊重と最低限の保護措置を受けることが保証されます。


Q3. 帰ることはできますか?

→ 原則として「完全帰還」は不確定です。接続が一方的に発生するケースが多く、接続経路の再出現や安定化には高度な観測精度が求められます。

ただし、帰還の可能性が完全に否定されたわけではありません。記録状態の安定化と滞在中の精神保全は、将来的な再接続の第一条件とされます。


Q4. 自分の元いた世界では何が起きてますか?

→ A群におけるあなたの“不在”は、接続時点で最も自然な因果が成立するよう補正されます。例としては失踪、事故死、記憶障害などが多く報告されています。

この現象は「干渉保護バイアス」と呼ばれ、A群内の記録構造に混乱を与えないよう最適化されています。


【B|生活・自由に関する質問】

Q5. どこで生活するんですか?

→ 初期段階では、GIAが管轄する「適応居住区」に配属されます。ここでは最低限の衣食住が確保され、記録安定のための環境調整が行われます。

希望が認可されれば、別エリアへの移住・市民登録・生活共同体への参加も可能となります。


Q6. お金はどうなるんですか?

→ あなたはGIAによる「迷入者支援対象個体」として、初期段階の保護措置下にあります。

生活に必要な居所・衣服・食料などは一定水準で供給され、経済活動にはGIA統一通貨「クレム(Clem)」が支給されます。

クレムの使用と管理は、あなたの個体識別コードに紐づいた個別アカウントで処理され、必要に応じて利用制限または補助増額が行われます。

詳細な通貨運用や支給条件は、滞在エリアごとのGIA内管轄部署(経済調整部門または財務支援室)にてご確認ください。


Q7. 恋愛や結婚、自由な生活は可能ですか?

→ あなたの記録安定度と精神応答が一定基準に達すれば、居住選択・交流・文化活動への参加が段階的に解禁されます。

恋愛や結婚も原則として自由ですが、干渉存在との交配・未記録領域への出入りには申請と監査が必要です。自由の範囲は定期的に再評価されます。


Q8. 病気や怪我をしたら?

→ GIAは個体の“記録損傷”に対し、物理的・精神的双方からの修復手段を提供します。A群でいう医療機関に相当する構造が各区域に存在しており、緊急搬送や再構築処置にも対応可能です。

治療に際しては記録干渉補正処理が併用され、恒常性維持が優先されます。


【C|組織・世界観に関する質問】

Q9. GIAってどんな組織なんですか?

→ GIA(Global Incident Alliance)は、全世界群にまたがる記録機構かつ干渉制御機関です。

A群におけるCIA・FBI・国連・NASAなどを統合した規模の存在であり、あなたのような迷入者の管理、異常事象の制御、世界の記録秩序の維持を主たる任務としています。


Q10. 他にも自分みたいな人がいるんですか?

→ はい。GIAの記録によれば、過去100年でA群からの迷入は327名、他群を含めれば総計7000件以上の個体接続が確認されています。

ただし、その大半は短期間で記録断絶(消失)または帰還不可となっており、あなたのように安定的に記録された存在はごく少数です。


Q11. GIAって誰が運営してるんですか?

→ GIAの最高意思決定機関は公開されていませんが、記録階層の中枢には「評議体」と呼ばれる存在が存在するとされます。

下部には部門ごとに指揮権を持つ記録官が配置されており、全体は分権型かつ階層型で構成されています。


Q12. GIAには逆らえないんですか?

→ GIAの干渉指示に対して、あなたがこれを拒否する明確な権限は現時点では与えられていません。

ただし、異議申請・再審査・観測側への報告といった救済措置は存在しており、それらの活用は妨げられていません。

なお、重大違反があった場合には強制的な記録修正措置が実行される場合があります。


【D|安全保障・思想に関する質問】

Q13. 死んだらどうなるんですか?

→ この世界における死亡は、肉体機能の停止と記録の断絶を意味します。A群と同様に、霊的保存や再構成は標準的な現象とは認識されていません。

一部文化圏では「記録保存による永続」や「再帰位相化」などの思想も存在しますが、それらは個人的信仰として分類されます。


Q14. 自分のプライバシーは守られますか?

→ GIAはあなたを“記録対象”として扱う一方、思考・記憶・信仰に対しての干渉は原則として禁じられています。

ただし、生命維持や秩序安定のために必要とされる最低限の観測は実施されます。

干渉レベルは常に審査対象であり、個体からの申請によって一部非公開領域の拡張も可能です。


Q15. この資料を読まなかったらどうなってましたか?

→ あなたがZərfの使用法を知らなければ、初期の防壁が形成されず、第一接触時の記録不整合や心理的崩壊を招く危険性があります。

本資料は、あなたが“安定した記録対象”として継続的に存在するために不可欠な最低限の情報で構成されています。

従って、この資料の未読または放棄は、あなたの存在認定そのものを不確実にする重大リスクを伴います。

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