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剣と魔法の同棲生活RPG※ゲーム制作進行中  作者: 坂水 雨木
第0章 森とメイドと銀の妖精
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第7話 森ダンジョンボス戦

 ひと休みしてダンジョン攻略を再開する。

 場所は変わらず森遺跡の中だ。


 戦闘の余波は、どういうわけか遺跡の壁や床には届いていない。ダンジョンだからと言えばそれまでだが、少々仕組みが気にもなる。


 が、優先すべきは攻略だ。

 探索済みの小部屋を離れ、別の部屋へ。


 こそっと魔力と気配を探る。中にはぼんやりとした、心ここに在らずな雰囲気の魔物がいた。

 とても……とても強い気配を感じる。


「……」


 唾を飲み込み、戦闘態勢を整え部屋へ。

 まずは、対話だ。


「儂は何故……ここに……」

「やっぱり魔物……?」


 森猿型の魔物。僕より大きく、このダンジョンの魔物同様緑色のヒト型だ。今まで戦ってきた中で最も洗練された、武将のような雰囲気を感じる。


 けれど……魔物、にしては理性的だ。どういうことだろう。


「儂は最奥に居たはずだ。……いや、何かに、飛ばされ……。何か……人間……? いや何か光のような……」


 理性的、だけど、混乱もしている様子。別の誰かに何かされている……?でもこんな強い気配の魔物を……?


「ぐ……何者だ。儂の前に立ちはだかる者。……ただの人か」

「……よくわからないけど、魔物は敵だからね。……斬り捨て御免!」

「――あぁ、そうだ。そうだ! 人は敵だ!! ダンジョンへの侵入者は殺す!! それが掟である!!!!!」


 話は通じない。明確な魔物だ。……倒すぞ!


【VS森猿王/Battle BGM:Simian Lord】


 いつも通り、先手は僕が取る。

 しかし今回の相手はダンジョンボスとも言えそうな強大な魔物。油断せず、堅実に行こう。


『ユウリは黒レースの魅惑で不死身の体を手に入れた!』


 初手は黒レースパンティ。これで僕は不死身だ。


「オォォ」


 魔物は竜巻を引き起こし、そこに打撃を織り交ぜてきた。

 風に呑まれ、身を引き裂かれながら打撃に合わせ背後へ跳ぶ。威力は消しきれない。しかし不死身のおかげで死なずに済んだ。


「パンツがなければ即死だった……」


 呟き、敵の様子を窺う。


「人間……侵入者には死を……」


 変わらずおかしな様子のままだ。


「何かに操られてる……? より強大な存在がいるのかな。これが神様の言っていた強敵……強敵っていうか、あの神様狂人集団とか言ってたっけ。じゃあこれ関係ないのかな……」


 先のコウタ氏が教団兵だとしたら、この魔物はまた別口なのかもしれない。にしては様子がおかしいが……。


「何をぶつくさと言っている。……敵は殺す。それが儂らモリザルの掟。さあ、死出の旅に送ってやろう」


 ギラリと魔力が閃き、鋭い魔力が風の刃となって僕を襲う。全体攻撃だ。


 致命傷を避け、弾けるものはナイフで弾き逸らす。それでも地力に差があるのか、当たり前に首や胴体を斬られる。


 鈍い痛み。されど死なず。不死身のパンティの力に頬がひきつる。

 わかってはいたが、さすがに凄まじすぎる力だ。


「しかし……」


 このモリザルボス。さすがに強い……!


「この程度か。あのヒト型はこのような……あの、ヒト型……?」

「なんだ……動揺してる?」


 変なモンスターだ。

 裏を感じる。教団じゃない、糸を引くもの……なんなんだ。


「儂は……王のはずだ。何故儂は生きている。王を降りた……いや、既に王ではない、か。誰に負けた。誰だ」

「くそ、やりにくいな……」


 催眠か、洗脳か。どちらにしろ碌なもんじゃない。何より、これだけの魔物にそんな魔法か何かを施せるなんてとんでもない技術・力だ。


「儂の掟を……侵すのは何者だ」

「知らないよもう。……洗脳されてる相手?かわからないけど、こんなやりにくいものなの、か!」


 叫び、魔物の攻撃を防ぐ。やはり防ぎ切れないため勢いに乗り横に跳んだ。壁に叩きつけられるが、受け身を取って上手くやり過ごす。ついでに黒レースパンティを重ね掛けしておく。


『ユウリは黒レースの魅惑で不死身の体を手に入れた!』


 この下着のおかしなところは、使用制限がないこと。

 無限不死身アイテムとかシステム的に許されないと思う。僕は助かるからいいけど。


「……儂は、そうだ。思い出したぞ」


 攻防の最中、魔物がぽつりと呟く。何かを悟ったような、隙だらけに佇む。攻撃は……できない。何故なら僕もボロボロで疲れているから。


 不死身でも肉体は疲れるのである。


「あのヒト型は……儂を」


 なんだろうか。真に理性を取り戻したのだろうか。


「儂を、認知症と言っておった……」


 ――。


「ただのボケ老人じゃん!!!」

「儂は、ぼけてなどおらん」

「そう言う人ほどボケてるんだよ!」


 くそ。考え込んで損した。

 ていうか魔物にボケるとかあるんだ……はぁ。倒そう。無駄に疲れさせられた。最悪だ。


「儂は、ぼけてなどおらあああああん!!!」

「一撃ッ!!」

「グゥァアアアォ……」


 あっけない幕切れ。


「……これが、虚しい勝利というものか……」


 戦場の跡に一人立つ、僕。

 効くんだろうなと思っていたが、やっぱり効いた。一撃必殺スキル。これもこれでパンティ同様ぶっ壊れだ。


 ボスを撃破し、ドロップアイテムを拾う。


『世界樹のはっぱ』

『ダンジョンオーブ1』


「おおっ」


 すごそうなアイテムゲット。さすがボス。

 "世界樹のはっぱ"は聞いたことあるけど、ダンジョンオーブは知らないぞ。


『ダンジョンオーブ1:ダンジョンの源。集めるとダンジョンを作れる。持っていると役に立つ』


「抽象的だ……」


 もしもギルドがあればとんでもない値がつきそうなアイテムだった。あと悪用とかもされそう。


 この世界、割と未開っぽいところあるから欲しがる人はいないかもしれない。……無用の長物か。


 アイテムボックスへ放り込み、HPだけでなく体力を全回復させる。休憩だ休憩。


「……ふー」


 さ。次が最後の小部屋だ。何が待ち受けているのか……楽しみだ。

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