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剣と魔法の同棲生活RPG※ゲーム制作進行中  作者: 坂水 雨木
第0章 森とメイドと銀の妖精
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第5話 看板メイドリターンズ

「うふふ♡ 私奴の下へおかえりなさいませ」

「別に帰って来てはないよ」


 ちょっとだけ悪いかなって思ったから戻っただけ。決して、先のパンツに心惹かれているわけではない。


「あっ」

「ど、どうかした? 敵……!?」


 周囲を見渡し、魔物の気配を感じないことに首を傾げる。目に見えない何かだろうか。

 

「いえ、文言を間違えました。こほん――おかえりなさいませ、ご主人様♡」

「……」


 ……はぁ。


「……まあ、うん。で、ヒントもらえるんでしょ?」

「もちのろんにございます」


【選択肢】

 1、最初の森に戻れる?

 2、パンツ何種類あるの?

 3、個人情報教えて


 さすがにこれは1でしょ。


【2、パンツ何種類あるの?】


 くっそぉ!!体が勝手に!!!

 

「ふむ、私奴のショーツは数十を超えておりますが、ご主人様にプレゼント可能な数には限りがございます。約十枚、とだけお伝えしておきましょう」


「なるほど……。パンツコレクションか……」


 だからパンツコレクション。故にパンツコレクション。……いいね!


「ご主人様の下着を今すぐ頂けるのであれば、私奴も穿いている下着をプレゼントする所存に……♡」


 頬を染めておかしなことを言う。メイドの下腹部に行きそうな目を強引に逸らした。


「……ちなみに、今どんなの穿いてるの?」


 問えば。

 

「あっ」


 何かに気づいたような顔。


「……すごい嫌な予感がする」

「うふふ♡ 穿いておりませんでした♡」

「下着はちゃんと穿こうね!!!!」


 看板メイドは変態メイドであった……。



 ◇



 メイドからは碌にヒントを手に入れられず――僕の選択のせいもあるが――迷いの森を彷徨うはめに。


 既視感しかない森を歩き、魔物を倒し、これまた見覚えのある洞窟を発見する。


「ふむ……」


 入り、近寄り。


「儂に挑むとは良い度胸だ。いいだろう。その蛮勇には死をもって返してやろう」


【VS森神/Battle BGM:Forest incarnation】


「ええ……」


 当たり前に流れ始める固有っぽいBGMに戸惑う。あと同じ台詞吐くのやめてくれ。中ボス風なのに複数体ってどうなってるんだよ。


「儂は迷宮の神霊だ。死の前に、一つ答えてやろう。地獄の土産にするがよい」

「二人目とかあるんですね」

「何を言っている」

「こっちの話です。ではさようなら!」


 一閃!!撃破!!討伐完了!!


「またこれか……」


 "霊魂(森)"である。

 とても貴重なものだと思ったのに、これも複数あるらしい。がっかりである。


 アイテムボックスへしまい、洞窟を出る。


「……なるほどね」


 なんとなく、この迷宮のからくりが見えてきた。


 ループ現象――に見せかけた、完全別マップだ。

 同じところをぐるぐるしているように見えて、ちゃんと進んではいるらしい。看板メイドが繰り返し僕にアピールしてくるのは、マップが変わったからだと推測できる。


 よし、次だ。もう一度メイド探しと行こう。



 ◇



 探し物は案外見つかると言う。であれば、探しメイドはもっと簡単に見つかるのかもしれない。


「世の中には三度目の正直、という言葉がございますね」

「そっすね……。僕、一生この森から出られない気がしてきたよ」

「そのためのメイドにございます」

「じゃあ……ヒントをくれたり?」

「うふふ、欲しがりなご主人様♡ そんなご主人様に私奴からスペシャルな情報をプレゼント致します♡」


【選択肢】

 1、メイドの性癖

 2、迷いの森脱出方法

 3、メイドのマル秘ポイント


 ……僕は、ダメな男だ。


【1、メイドの性癖】


「素早いご判断、お見事にございます。エッチなご主人様には私奴のコトを少々……♡」

「……よし、聞こう」


 心を整える。自らの欲に従う。これが人間の姿だ。決して真似しないように。

 

「私奴、これでもとっても強い女にございます」

「だろうね。これでもも何も超強いでしょ」


 薄々察してはいた。神様チートのおかげか、メイドがわかりやすいのか。

 あの自称神様と同じ臭いがする。具体的には超上位存在。


「はい♡ ですので少しばかり強引に手を取られ、押し倒され、私奴の濡れそぼった〇〇に〇〇を挿し込まれたらと思いますと……ふぅ」

「ただのMっけじゃん……」


 訂正、このメイド、超上位変態である。


「それはそれとして純粋なイチャラブも大好物にございますね。ご主人様には是非私奴とラブ♡ラブ♡な関係を目指していただき、ファイナルラブバトルに挑んでくだされば、と」


 なんだよファイナルラブバトル。

 無駄に語感良いし、ちょっと興味出ちゃうじゃん。


「……ちなみにそれ、どうやったら参加できるの?」

「残念ながら、もう少々私奴の好感度が必要にございますね。まずはパンティをコレクトすることから始めてくださいませ♡」

「……すべてはパンティコレクション次第か」


 何はともあれパンティを探せと。


 するりと消えるメイドを見送り、キリっと表情を引き締める。


「パンツだ」


 何をするにもパンツ。きっと僕の冒険は、パンツと共に始まる。


 決意を新たに、看板を離れ迷宮を進む。

 わかりやすい誘導路。花の小道に運ばれるが如く、一歩、目に見えない陣へ。

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