第4話 森ダンジョン
パンティ探して――ではなく、ダンジョン攻略を目指し先を行く。森の迷宮、森の迷路だ。
木々、緑、小川、草、花、緑、魔物。
「魔物!!!」
「ザァァァ!!!」
徘徊していた魔物に遭遇し。
「童貞一殺っ!!!
迸る閃光と共に、魔物は息絶えた。
「ちゃんと一撃なんだ……」
壊れ技だ……。でも名前どうにかしてほしい。
しかし、先手必勝で不意打ちしたけど、まともにやり合ったら普通に負けそうな気がする。
「……」
もう一度気を引き締め、ナイフをしまい歩き出す。
ゴールは見えない。
歩き、出くわす魔物に一撃必殺を叩き込みどうにかダンジョンを進む。
「……ん?」
道中、あからさまな洞窟を発見した。薄暗い場所だ。森の香りに満ちている。
そそっと入り、中ボスのごとく待ち構える魔物へ近寄る。武器は構え、絶対に先制攻撃を取られぬよう気を張る。
話しかける。
「儂に挑むとは良い度胸だ。いいだろう。その蛮勇には死をもって返してやろう」
【VS森神/Battle BGM:Forest incarnation】
「くそ……」
問答無用かよ。でも対話するのが人間だって誰かが言ってたから……!
一撃必殺せずに生き延びる方法は……。
『※黒レースのパンティは戦闘中に使用可能です※』
僕の脳に甦る。鮮明な文字列。
それは、パンツの導き。黒レースの力……。
「儂は迷宮の神霊だ。死の前に、一つ答えてやろう。地獄の土産にするがよい」
「急展開で追いつけない……。でもまあ、はい。じゃあ攻略のヒントをください」
「よかろう。――"迷った時は看板に"、だと。何だ、この未来は。まさか儂にも見通せぬものがあるとは……おかしなことよ」
「ははは……そりゃ僕が聞きたいですね……」
こっそりとパンツを使う。変な意味はない。――何か、気分が高揚する。
『ユウリは黒レースの魅惑で不死身の体を手に入れた!』
魔物が風魔法で僕を切り刻んできた。痛みはあまりない。
そして僕は死んだ――と思ったら生きていた。
「……ええ……」
直感でわかる。僕、どうにも不死身になっているらしい。文字列は正しいようだ。
パンツを使えば不死身になれる。覚えたぜ。……何故、は考えちゃいけない。そういうもんなのさ。
「おさらば御免!!」
秘技、童貞一殺。
「ぐざぁぁぁぁぁ!」
偉そうな魔物は死を迎えた。相変わらずの一撃必殺である。
「お」
ドロップアイテムだ。"霊魂(森)"とやらを手に入れた。
「……ふーむ」
よくわからないのでアイテムボックスへしまう。
洞窟を脱出し、森迷宮へ。
変わらぬ風景に嘆息し、少しばかりの休憩を挟んで冒険リスタートだ。
とはいえダンジョン攻略に進みはなく……。
「あー……」
似たような光景だと思っていたが、看板アピールに気づいて変化を察する。これがヒント、というやつなのだろうか。
もう一度、君とつうじる物語。
「――再びの逢瀬、楽しみにしておりました♡」
二度目の影。看板メイドである。
それにしてもこのメイド、黒髪黒目で端正な顔立ちと、理想のメイドを体現している。何よりメイド服の着こなしがバッチリだ。ホワイトプリムが眩しい。
僕の癖を刺激してくれる。
「再びというか、ほんの少し前なんだけどね……」
「左様ですか。私奴はそれはもう首を長く長くして、つい羊羹をつまんでしまっていたところにございます」
「そんなに待ってたのか。もしかして時間の流れ違うとかそういうのなの? それなら……久しぶり」
少々の切なさ。感傷。心が優しくなる。
「いえ、ご主人様と同じ時を生きておりますが」
「そっか。さようなら」
「あぁ♡ お待ちくださいませっ」
グッバイメイド、また会う日まで。