第2話 自称神様
botと化した神様を置いて、ひとまず考える。
先を行くか、ヒントを探すか。
「……ふむ」
僕は冒険者である。
ダンジョンを攻略し、魔物を討伐し、未知を既知に変える冒険者。
この世界にギルドやらクランなんて大層なものは存在しない。……いやあるかもしれないけど、僕の田舎暮らしでは出会わなかった。
とにかく、冒険=ソロなのだ。
冒険していれば金に困ることはない。何故なら魔物は金になるから。仕組みは不明である。考えるだけ無駄。脳内謎BGMや脳内SEと同じようなものだ。これが世界の仕組み……!
「……神様は」
「さあ行きなさい」
「……」
とりあえず近くを歩く。真っ白い空間。謎めいた草地。他には何もない。The神域といった感じ。
アイテムもなければ魔物もいない。冒険しがいのない場所だ。ほんの数分で見回りは終わってしまった。
あとは神様だけだが……。もう一度、話しかけてみよう。
「神様」
「さあ行きなさい」
二度あることは三度ある。が。
「神様」
「さあ行きなさい。……まだ用がありますか?」
「あ、答えてくれるんですね。色々あるんですけど……」
三度あることは四度ない、と。やはり会話は大事だ。
「ふむ、では私と戦って勝てたら、という定番の台詞を吐きましょう」
なるほど……。
先の強制転職でステータスが変わっているのは確認している。
どうも僕は一撃必殺スキルを手に入れてしまったらしい。おれはさいきょうのパワーをてにいれたぞ……!
強くなった実感あるし戦ってみるか。神様だし手加減もしてくれるでしょ。
「私はとても強いので、戦ったらあなたは死にます。覚悟して来てくださいね。手加減はしません」
……………なるほど。
用心はしていくとして……。
【VS自称神/Battle BGM:God's proclamation】
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「し、死ぬかと思った……」
「面白いので生かしてあげましたが、何かしてほしいことはありますか? 童貞卒業以外で」
「僕を何だと思ってるんだ……。何か、これからのヒントみたいなこと教えてください」
「ではユウリ、困った時は看板を訪ねると良いでしょう。パンツと看板、そして看板前ではセーブ。これらの単語だけ覚えておけば万事上手くいきます」
なんだセーブって。ゲーム的だけど、さすがに僕のステータスにそんなシステムないぞ。
「そしてもう一つ。話は聞くことをおすすめします。意味のないものばかりですが、大事な話もありますから」
「はい……」
会話は大事、と。
「これ以上は何もありませんよ。どうせなら私も真のbotになりましょうか」
「botって成るものじゃないと思うんですけど……」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
「botにしては罵倒がひどすぎるなこの神!!」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
ほんとにひどい。
「……はぁ」
とりあえず。本当にとりあえず、なんとか神様には勝てた。
意味不明な攻撃を避けて耐えて頑張った。
勝てたというか、ただ見逃してもらえただけかもしれないが、勝ちは勝ちだ。得られた情報は……大したことなかった。
「……」
実のところ、報酬は別にもある。神様からアイテムをもらったのだ。
【オ〇ホール】
アイテムボックスから具現化すると、ピンク色の柔らかい物体が手の中に現れる。
「……さすがに終わってるか」
僕が悪い部分もあるけど、これはひどい。使うとMPが減って魔力が上がったような錯覚を覚える。使っただけでエッチなことは起きない。当たり前だ。
神様の思考回路が終わっているとわかっただけよしとしよう。僕の思考回路? ハハ、始まってないものは終わりようがないよね。
これが今回の戦利品。オ〇ホール。あんまり嬉しくない……。
「あの、神様」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
「神様」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
「神様ー」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
「だめか」
「さあ行くのです、童貞よ。あなたが二度目の魔法使い(笑)に成る前に」
だめっぽい。諦めよう。神は真のbotになってしまったのだ……。
オ〇ホールをボックスに入れ、急に現れた魔法陣へ踏み入る。
冒険の続きをしよう。オ〇ホールのことは忘れよう。あぁでも、確かにこれエロゲ世界っぽいなぁ。実感したくなかったけどね……。
キリが良いので区切ります。
ミスして1話をかなり前から公開していたようです。暫定版で編集中だったので、忘れてください。読者の方はすみません。タイトルや概要も変えています。
ゲームシナリオのノベル化はまとめて行っているので、区切り良いところまで公開する予定です。
以前の1話からはかなり変えている気がするので、ご一読いただけると幸いです。
よろしくお願い致します。