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剣と魔法の同棲生活RPG※ゲーム制作進行中  作者: 坂水 雨木
第0章 森とメイドと銀の妖精
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第16話 隠し部屋

 ――隠し部屋


「この家って、空間的にどうなってるの?」

「それは、次元の話でしょうか?」

「えっと、うん。そんな感じ」

「ですか。ユウリでもわかるように言うならば、ここは隔離空間です」


 エイラ曰く、「隔離空間」で「立入禁止」で「認識不能」らしい。


 本来は立ち入るどころか見つけることさえできない別次元の場所だと言う。


「じゃあなんで僕はここに?」

「あなたが加護を授かっているからでしょう。上位存在の加護は、次元の壁を超えて効果を発揮します」

「神様の力かぁ」


 なんとなくそうかなと思っていたけれど、やっぱりそうだった。


「何か使命を受けているでしょうが、できるだけ早く熟すことを推奨します」

「うん。ありがとう」


 未来の人類がかかっているらしいし、頑張らないとね。やることは男装教団の討滅だからアレだけど……。


「ちなみに外界へは現在再接続ですので、外出はおやめください」

「そうなんだ。窓の時もそれ言ってたね。窓は死ぬとかだったけど……ドアは? 再接続中とやらに出たら?」

「肉体が捻れ魂は千々になり消滅するでしょう」


 淡々とした物言い。だからこそ余計に怖い。


「……絶対出ないから大丈夫」


 玄関から目を逸らした。

 ちょっと状況もわかったし、アヤメちゃんと戯れよう――と思ったら、お姫様と目が合う。


 ぶんぶん手を振られた。おぉ僕はミツバチ。ぶんしゃか飛んで花に吸い寄せられてしまう……。

 と、視線にフラフラと呼び寄せられたわけだが。


「ふっふっふ」


 壁際にて、何故か意味深に笑っている美少女。ただ可愛いだけである。


「アヤメちゃん、楽しそうだね」


 アピールしてくる子には応えてあげよう。


「えへへー、ユーリにひみつを教えてあげますっ」

「ほほう。秘密とな」


 なんだろう。エッチな――……だめだ。脳が変態メイドに汚染されている。


 クールに行こう。イエスDTノーHENTAI。


「はいっ! じゃーん! 見てくださいこれを!」


 バーンと、アヤメちゃんが示したのはすぐ傍の床だった。

 何やら魔法陣が浮かんでいる。


「魔法陣だ……!」


 僕には魔法の才能がないので見てもよくわからない。


「どんな魔法陣なの?」

「知りません!」


 ふふんと自慢げに胸を張っている。


 全然自慢じゃないけどね。可愛いね。

 可愛いからなんでもいいや。


『魅了をレジストしました』


 ……可愛いからなんでもいいや。

 これ本当にレジストできてるのかな。何も変わってないよ、僕。


「えへ、移動しますよっ」

「え、うん」


 言われるがまま魔法陣に踏み入った。


 視界が明滅し、景色が切り替わる。

 ついでに流れるBGMも変わる。また異色な曲。ずいぶんチルってるな……。


 しかし……なるほど。自宅に秘密の部屋か……。


「そそるぜ、これは……っと、そそるじゃんね、秘密基地!!」

「叫んでいるのは構いませんが、ユウリ」

「え、はい……」


 羞恥心。やめてくれ。孤独モンは独り言が多いんだよ。許してくれ……。


「この部屋は何だ、と思っていますね?」

「う、ん。……秘密基地……にしては殺風景だよね」

「ふふーん、わたしが教えてあげましょー!」


 横入り美少女。なんて可愛いのか。この子のドヤ顔は天使ちゃんだ。大天使ドヤエル。ベリーキュート。


「わー、ありがとー。教えてください」


 棒読みここに極まれり。


「えへへ、ここはわたしとエイラの物置……になる予定の場所です!」


 棒読みでも嬉しそうに教えてくれる。

 アヤメちゃんにとって、モノを教える行為そのものが新鮮で楽しいのかもしれない。


 なんだか胸がぽかぽかする。これが慈愛のココロ……。


「アヤメ様、ユウリからの好感度が上がりました」

「ええっ! よくわかりませんが嬉しいですっ!今いくつでしょうか?」

「現在17程度でしょうか」

「ふむむ。その数字が高いのか低いのかわかりませんっ」


 考え中お姫様も可愛い。けど。


「僕の好感度を勝手に決めないでほしいな……」


 結局アヤメちゃんから教えてもらったこの隠し部屋は「物置」だけだった。アヤメちゃんもあんまり知らないので、エイラから聞いて、とのこと。


 当のエイラから隠し部屋の成り立ちについて聞いていたら、いつの間にか壁際に何か生まれていた。「成り立ち」自体はアヤメちゃんの「ネットで見て憧れたから」らしい。姫様に甘すぎる従者である。


 早速壁に飛んでいった姫様の下へ。


「急に生えてきたなぁ……」

「む~」

「どうしたの?」

「さわっても、全然反応してくれないです」

「あ、もう弄ってたんだ」

「はいっ!」


 急に現れた何か。見た目ラジオのようだが、アヤメちゃんは早速弄っていたらしい。

 怖いもの知らずというか、なんというか……。


「アヤメ様は危機察知能力も人間を超越していますから、心配は無用です」

「さいですか……」


 僕の心配は無用、と。

 アヤメちゃんに「ユーリも弄ってみてくださいっ」と急かされたので、適当に触ってみる。


【選択肢】

 1、太陽騎士との最終決戦>

 2、月命騎士

 3、VS自称神様

 4、VSショップ店員


 うわ。これもしや……。


【3、VS自称神様】

【SetBGM:God's proclamation】


「うわっ」

「わっ、音楽が流れてきましたっ」


 やっぱりだ。……うっ、神様にボコられた時の記憶が!! トラウマBGMだ!!


「こ……これ、ラジオから?それとも脳に直接?」

「ご安心を、ラジオからです」

「そりゃよかった……本当に」


 脳だったら止められなくて臨死体験してしまうところだった……。早速アヤメちゃんに蘇生されるところだったぜ。


「ユーリ、ユーリ」

「はい、はい」

「いろんな音楽、聞いてみたいですっ」


 頭痛を堪え、そわそわお姫様の要望に従い僕が選べる限りの曲を流してみる。


「むふ~」


 ラジオでトラウマ呼び起こされたが……まあまあ、アヤメちゃんがご満悦だからいいか。


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