AIのべりすと紡ぐランダム小説3
湿っていたアスファルトがようやく本来の姿を取り戻してきたと思っていたら、
今の本来の姿はこっちだと言わんばかりに潤いを取り戻していったのを、ぼんやり眺めていた。
「あの……」
と声をかけられて振り返ると、そこにいたのは見知らぬ女性だった。
「えっと、何か?」
「いえ、私もここで待ち合わせをしているんですけど……その、まだ来てないみたいで」
「降ってきちゃいましたね、雨」
「今日こそはふらないと良いなと思ってたんだけど……」
「そうですね。でも、雨の日のお花見も素敵だと思いますよ?ほら、あそこなんか凄く綺麗ですし」
彼女が指さす先に目をやると、そこには小さな屋根のついた休憩所があった。
確かにそこでなら雨宿りできそうだ。
アスファルトはどうだが知らないが、人間はいつだって雨に濡れたりしないものだ
と、せめてもの抵抗に鞄を頭にのせて駆け出した。
「あっ!待って下さい!」
そんな僕を見てか、彼女もまた慌てて走り出し、そして案の定二人してずぶ濡れになった。
「……ごめんなさい」
「謝ることなんてありませんよ。それに、こういうのもたまにはいいじゃないですか」
「それにほら、綺麗だったでしょ?」
雨粒が滴ったままの指で、紫色の花を指さした。
確かに悪くない、そう思うと同時に淡い罪悪感を感じた。
「待ち合わせの相手、おそいですね」
「そうですね」
「もしかしたらもう来ないかもしれませんね」
「そうなんですか?」
「はい。きっと、今頃どこか遠くに行ってるんですよ」
そう言った彼女の表情はとても穏やかで、少しだけ寂しそうでもあった。
「こんなに綺麗なのに……」
コトンコトンと電車が走る音の合間にサーという車の通り過ぎる音が聞こえる
紫陽花が雨粒に揺れるのをしばらく黙って見つめていた。
何も言わないのもお互い気まずいと、話しかけようとしたところ
「あの、この人に何かようですか?」
突然背後から話しかけられる。またしても見知らぬ女性。
「ん?いや、えっと」
と、困惑して隣を見ると、先ほどまで寂しそうな顔をしていた彼女は、少し意地悪そうな顔に変わっていた。
「遅いよ、お陰でずぶ濡れなんですけど」
「ごめんごめん、電車に乗り遅れちゃって、それでこの人は誰?またナンパされてたんでしょ?早くいこ」
「うん」
差し出された傘に入り、こちらに一礼をすると
「楽しかったです。雨の花見」
と言って、雨の中に消えていった。
呆気に取られて立ち尽くしていると、歩いていった先から何かに驚いたような声が聞こえる。
僕はクスリと笑って、一緒に取り残された証人に聞いた。
「なあ、ナンパされてたのは僕のほうだよな?」
紫陽花は相変わらず雨粒に揺れていた。
終わり