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プロローグ 第1話 日常

うっそうと生い茂る森林、点々とそびえたつ山々、そんな絵にかいたような大自然の中に一つの村が

あった。決して活気があるとは言えないけれど、人々はのどかで平和な暮らしを送っていた。

そんなある日の昼下がりに村の少年、テスラは日課の採集の準備をしていた。


「テスラ、最近あったかくなってきたことだし、

ちゃんと飲み物も持って行くんだよ。」

「分かってるっておばあちゃん、

今日もおいしいキノコとか、薬草とか持って帰ってくるからね。」


簡単な装備と水筒を持ったテスラは扉を開けて出かけようとした。

すると庭先で母親と父親が妹と干していた肉の回収を行っていた。


「ん?今日も森に行くのか」

「うん、確かこの前取ってきた分の残りはもうなかったはずだよね?」

「まあそれはそうなんだがな、

ここの所森で危ないモンスターが増えているらしいから十分気を付けろよ」

「そうね、夕方になる前には帰ってくることと、

危ないと思ったらすぐ逃げること、これは忘れないでね?」

「わかってるよ!いろいろ勉強したし、訓練だってやってきたんだから」

「ならいいんだけど…気を付けていってらっしゃい」

「おにいちゃーん、サソイダケも取ってきてねー」

「任せとけ!じゃ、いってきまーす」

「あっ!ちょっともう…あのね?サソイダケを採るのは危険なのよ?」

「でも私あれ好きなんだもん!それにお兄ちゃん訓練したって言ってたし!」

「いくら訓練してるからってあの子はまだ8歳なのよ?何かあったらどうするの」

「まあまあ、強くなってるのは本当だし心配しすぎだよ」

「そうかもしれないけど…」


家族に見送られ、テスラは森へと向かった。うっそうと生い茂っており、見るからに歩きづらそうな道を慣れた様子で進みながら、薬草やキノコを集める。道の途中には、小さな鳥やかわいらしいリスのような小動物がいる。一方で、鋭い歯を持つモモンガのようなモンスターや長く尖った爪を持つ猿のようなモンスターが木の間を飛び回っていた。この森に日常的に入っているテスラにとっては見慣れた光景ではあるが、今日の森の様子には違和感を感じ取っていた。


「今日はいつもよりみんなの動きが激しいな…やっぱり危険なモンスターが増えているのかな?」


何か嫌な予感を肌で感じつつ、いつものように森を奥へと進んでいく。リクエストを受けたサソイダケは山に近い位置に繁殖するため、森を抜ける必要があるのだ。


「匂いもするし、多分このあたりに生えていると思うんだけど…あ!あった!」


日が3割ほど傾いたかという所で、テスラはサソイダケを発見した。サソイダケは特徴的なオレンジ色の見た目とその甘い匂いでかなり見つけやすい部類のキノコである。味もよく、栄養価も高いためかなり重宝される食糧なのだが...


グルルルルゥ…

「!!」


その食料としての価値と匂いから、多くのモンスターを引き寄せるため採集には危険がつきまとうものでもある。


(やっぱりモンスターは来るよね…さて、どこにいる?)


息をひそめ集中力を高めながら周りを見渡す。鳴き声は聞こえたものの姿が見えないため、音や臭いなども逃さず捉える必要がある。


(多分もう見つかってる、逃げ切れるモンスターならいいけど…)


そう思った矢先、茂みからモンスターが飛び出してきた。


「ガルルゥ!グァァゥ!」

「!!」


突然の出来事ではあったが、目星をつけた位置から現れたため、しっかりと横に飛んで躱すことが出来た。そのまま、逃げるためにもと来た道へと走り出した。


(あれはシルバーウルフ?話で聞いたことしかないけど特徴は一致してる。

でも、何でこんなところにいるの?)


獣道をうまくジャンプやスライディングも交えながら逃げる一方で、やはりテスラの頭には違和感が浮かんでいた。しかし、そんな邪念に集中力を乱されつつも、日ごろの訓練の賜物かしばらく逃げているとシルバーウルフは諦めて追ってこなくなった。周りを見渡すともう既に日が落ちようかという時間帯だった。いつもの採集ならば既に帰っている時間である。


「ふぅ…ちょっと怖かったけど逃げ切れてよかったよ。さてと、お母さんが心配しちゃうから早く帰らないと」


この時のテスラはまだ知らなかった。頭の中に浮かんだ違和感は決して杞憂などではなかったことを。見た事の無いモンスターに襲われるなどという事が序章でしかないことを。


ドーン

「え…?な、なに?いまの」


帰路の途中、村が見えてくるかという所に来たテスラが見たものは、

天へと昇る大きな火柱だった。

異世界転生要素の有るファンタジー作品です。キャラが揃うまで少し時間がかかるのでそこだけご注意ください。

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