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辺境国に追放ね!

 勇者は手切れ金として小さな袋を渡してきた。こんなお金要らないと投げ付けてやりたかったけど……


 小さな弟もいる……


「失礼します……」


 銅貨が少しだけ入った袋を受け取り、ギルドハウスを出て行った。


「お、お姉ちゃん? どこへ行くの? 冒険はいいの?」


「もう冒険は止めなの……ごめんね」


 冒険者になって王都へ向かう時に部屋は処分した。私達にはもうこの国に住む場所は無い。


「そ、そっか! お姉ちゃんと一緒ならどこでもいいよ!」


 弟くん……こんな可愛くて賢い弟くんをクズ呼ばわりしたあのクソ勇者め!!


 今は……今は逃げるしかない。ここに居たら殺される!


「北へ……北へ行きましょう」


 ここから一番近いのはドワーフの国『ドワンゴ』。


 辺境の国で、ど田舎だけど小さな弟を連れて逃げるのだから近い方がいいわ。


 それから何日も掛けて国境の村に辿り着いた。


 村にはちゃんと冒険者ギルドがあったのでドワンゴ国で受けれる仕事を探してみた。


 クエスト  鉱山の管理人  


   炭鉱の入口でカンテラに火を灯す簡単なお仕事です

    

   報酬要相談 住み込み可

       

   場所  ドワンゴ国 ガガンゴ鉱山村 


「これなら出来そう。住み込みもいいって」


 冒険者ギルドの受付でクエストを受けた。親切な受付嬢はガガンゴ行きの馬車が出る場所を教えてくれた。


「何とかお金は足りそう……」


 食べる物も満足に食べれず旅を続けてきたけど、もう少しの辛抱だわ。


 ガガンゴ行きの馬車に乗り込むと途端にお腹がグーグーと鳴り出した。我慢、我慢……


「何じゃお前ら? 腹が減っているのか? ほれ!」


 同じく馬車に乗っていたドワーフ族のおじさんがパンを2個くれた。


「ありがとうございます! ありがとうございます!」


 弟くんと何度も御礼をした。


 誰かに優しくして貰うのがこんなに嬉しい事なんて……


 ポロポロと涙が溢れた。


「オイオイ……大袈裟だな。ホレもう1個食え!」


「ううう……本当にありがとうございます」


「狐っ子達は何しにオレ達の国に来るんだ?」


「クエストを受けたのでガガンゴ村で暮らすつもりです」


「んんん? それオレがさっき依頼したクエストだぞ」


「あ、そうなんですね。住み込みで働きたいんです」


 それからドワーフ族のおじさん、ドンガさんにガガンゴ鉱山村の事を色々教えて貰った。


「お姉ちゃん! 親切な人が居る村で良かったね!」


 本当に良かった……かなり田舎みたいだけどそんなの関係無い。静かに弟くんと暮らせればいい。


 何時間も馬車に揺られてガガンゴ鉱山村に着いた。そこは村と呼べるのか分からない程の集落だった。


「最近、ここで鉱山が見つかってな。みんなで本格的に掘ってみようと思って越してきたんだ」


 ドワーフ族ばかりの10人しかその村には居ないらしい。


 ちょっと想像していたのと違うけど贅沢は言えない。


「狐っ子達はそこの小屋に住んでくれ。オレ達は洞窟の中と小屋に分かれて住んでいるから」


 村にある小屋は3軒しかない。その内の一軒がドンガさんの家らしい。


「みんな洞窟の方が好きであまり出て来ない。オレは外のほうが好きだからあっちの国に行くのもオラの仕事だ」


 ドンガさんはドワーフ族の中では変わり者らしい。


 小屋に入るとベッドと寝具が置いてあった。これだけでも嬉しい。小さな小屋だけど充分に暮らしていけそうね。


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