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3日で強制退会ね!

 どれだけやっても、どんな方法を試しても、冒険者カードを作り直して貰っても、私のレベルは1のままだった。


「ハルカ、君は特異体質の様だね……」


 ギルドマスターである勇者様に呼び出され、勇者様のマスタールームに私は居る。


「そ、そうなんですか。で、でも私、頑張ります!!」


「……無駄だな。ゴブリンを倒せる程度ではこのトップギルドにとってはゴミクズなんだよ」


 勇者様は普通通りのイイ笑顔のままで私を見つめている。


 め、目が……氷の様に冷たい目で私を見つめている。


「ハルカ、君は体の調子がとても悪い事にしよう」


「え!? 絶好調ですけど??」


「分からないか? 僕のギルドに入った者は例外なくSランク冒険者になって貰う。1人の例外も無くだ」


 勇者様はイイ笑顔のままで私に圧力を掛けてくる。


「だが、レベルが上がらない君には不可能だ」


「そ、そうみたいですね。でもでも頑張りますから!!」


「ここに書いてある文面を書き写してくれ。君は体の調子が悪いからここから居なくなるんだ。いいね?」



 自己都合により本日で退職致します  ハルカ



「ゆ、勇者様! ま、まだ3日しか経ってないです! チャンスを、チャンスを下さい! 小さな弟も居るんです!」


「フ……弟とか。弟も無能の様だ。職業診断をしたら『商人』だった。どうでもいいジョブだ」


「そ、そんな……弟はまだ6歳です。職業診断は出来ないはずです」


 職業診断は10歳になった時に教会で受ける。司祭様がジョブ鑑定用の水晶球で鑑定して下さる。


「世の中には色んな方法があるんだよ。ゴミクズが居る場所はここには無いんだ。早く出て行ってくれると助かるな」


 勇者様が一段とイイ笑顔になって私を見た。


 も、もう駄目だ……ここに居られない……


 言われた通りに脱会届に記入をした。


「ちなみに君はこの国に居られないからね。ウチの悪評が広がったら困るから。よく考えて行動した方がいいよ」


 世間で騒がれた大魔導を育てる事が出来無いと思われるのが嫌なみたい……


 勇者様は聖剣を抜いて私の首にピタッと向けた。


「イ、イヤーーーー! こ、殺さないで!!」


「黙れ……本当にやるぞ?」


 こ、これが勇者なの? 


 世界を救う英雄じゃないの?


 無理。無理。無理。


 こんな所に居るなんて絶対に無理!


「出ていきます……」


「ああ、そうしてくれ。ゴミの弟を忘れるな」


 グッ……私は何を言われてもいい。あんな小さな弟までゴミ扱いするなんて!


 許さない! 絶対にこの事は忘れない!


 いつか……いつか必ずこの借りは返してみせる!!



 

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