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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
7/79

7 現状把握と願望

ポイント&ブクマ付けてくれた方どうもありがとう御座います!

リノアとの挨拶を終えてすぐに俺はこの状況について色々と整理をする事にした。


「リノア、とりあえず色々と質問したいんだけど、またさっきと同じ質問になるかもしれないんだけどいいかな?」

少し申し訳ない気がしながらもお願いしてみた。


「しょうがないな〜おじさん、さっきは凄くフザケてたもんね!わたしにわかる事なら何でも聞いていいよ!」


「いやぁ〜寝たフリしてたのは本当悪かったって〜すまんすまん。」


リノアは何処か誇らしげに腰に右手を当て左手でトンっと胸を叩いく、俺はそれを見ると嬉しくなり笑いながら片手だけで拝むフリをした。


「そっちじゃ無くて、そっちもだけど…わたしが言ったことを意味がわからないフリをした方だよ!全くおじさんフザケすぎだからね?」


頬を膨らませながら苦言を言うリノアはとても愛らしく、どうやら俺が今まで巫山戯ていたと思っているみたいで、好都合だと思い俺はその勘違いに乗っかる事にした。


「今度は真剣に聞くよ。本当に助かる、ありがとな」

俺は右手で頭を掻きつつリノアの優しさに感謝した。



それから俺は色々な質問をリノアへとぶつけた。


まず、ここは何処なのか?


そもそも、リノアという名前から日本人では無い可能性が高いのでどこの国の生まれなのか。


家族構成や年齢など本当に多岐にわたって色々と質問をした。


またその際リノアにも俺の年齢などを伝えておいたのだが俺の年齢を聞いたリノアは『ふ〜ん』とだけ言うと特に興味を示さなかった、正直悲しい、もっと興味を持ってもいいんだよ?


まず、リノアは8歳だそうだ、正直見た目は5歳くらいにしか見えない。生活習慣や食事の栄養面等が大きく関わっているのだろうか?


両親については父親は居ないと即答したが母親については口籠った。

ただ、少しだけ不思議に感じた事がある、父親は死んだとかではなく、最初から居ないという様な印象を受けた。


母親の方はリノアの表情から察するに話そうとはするものの、次の瞬間にはとても悲しい表情を浮かべているので余り治安も良くなさそうだし亡くなっているのかもしれない。


そしてこの場所は家だという、それも日本ではなくバーレニアという国の王都の外れにある森の中にある小屋だと言う事だ。


正直この場所を最初に見た時必要最低限しか生活道具が無かった為、倉庫か何かだと思ってしまった程だ。


ちなみにリノアはバーレニア人でした。


バーレニアという国は階級社会で成り立っているらしく王族を頂天に貴族を中心とした上流階級、実業家や教師や爵位を持っていない騎士などの中流階級後は一般的な労働者などの平民に分かれるらしい。


ちなみにリノアは零民と呼ばれるいわゆる、平民にも分類されない国民であると苦笑いしながら教えてくれた。


ただ、この零民という階級も俺には何が基準で決められるのかがさっぱり分からなかったのだがリノアの表情や仕草を見るにあまり良いものでは無いのだろうと追求をやめておいた。


そして、奴隷制度なども存在するらしく、性奴隷、戦闘奴隷、犯罪奴隷の3種に分類されるらしい。


しかし、性奴隷といっても性的に酷い扱いを受ける者たちの事ではないらしい。


容姿に優れ、気品がある、いわゆる元上流や中流階級から何らかの理由で奴隷落ちした者が殆どらしく、そういった者は勉学にも優れているものが多く私生活や仕事上のパートナーとしての側面が強いらしい。主人に気に入られるとそのまま夫婦や愛人に収まるものも多いと言う。


戦闘奴隷とはそのまま戦う事を前提とした者達で、元冒険者や、兵士、傭兵がほとんどだそうだ。


犯罪奴隷は、何らかの犯罪を犯し、罰金を払う事が出来ないものが行き着く先の様だ。例外もあり、殺人や盗賊行為は一発アウトらしい。


ちなみにパンを盗んでその罰金が払えなかった場合でも犯罪奴隷に落とされるという。


しかし、お金が払えないから盗む者がいるわけでそういった者達が、罰金を払えるとは俺は思えないのだが、何とも嫌らしい制度だと感じてしまう。


(というか、うん、もうここアレだ、異世界!!間違いねぇーよ、だってもう、貴族に奴隷、おまけに冒険者だよ、これ異世界でしょ!そもそもバーレニア人だった時点で俺気づいてたし?余りにもあり得なくてビビって認めたく無かったとかじゃ無いし?リノアの説明の仕方が一生懸命で可愛かったから聞いてただけだし?後俺はロリコンじゃねーし?父親目線だし?)


「…やべーマジで異世界じゃんここ、もっとも俺みたいな、おっさんじゃ無くて学生とかにしとけよ!クラスで1、2を争うくらいのイケメン辺り呼んで俺が全員守ってやるぜ(キリッ!とかやってろよ!いやマジで!俺寝取られ男で、家族も持ってないし、最近枕に変な匂いする事あるし、蜜柑の食べ過ぎで爪とかもちょっと黄色いし…マジで人選間違えてるって!」


俺がつい言葉に出して混乱しているとリノアが心配そうに何度も何度も『おじさん、おじさん大丈夫?元気出して!』と言ってくれた。


(うん、この子マジ天使)


リノアのお陰で復活を遂げた俺は話の続きを聞く事にした。


今度はこの国のことでは無くこの世界のそのもののことを聞いてみた。


この世界にはバーレニア王国以外にも幾つか国は存在するらしい。


エデルゲン帝国という国の名前しか覚えていないと恥ずかしそうに言っていた。


あと地球の様に惑星を指す様な呼び方は無いみたいだ。


この世界にはいわゆる人族以外にも亜人種◯◯族というものが存在していることも分かった。


モフモフ等は亜人種に分類されるらしく、別に人種差別などは無いとのことだ。


ちなみに魔族というものは物語などに出てくる空想上の種族らしい。


俺はこれを聞いて一番安堵した。


(いや、魔王倒してこいとかマジで無理だからね?勇者とかマジでイケメン専用のジョブだから?)


ただ、魔物いわゆるモンスターは存在しているらしく村や街に被害が出る事もあるとかで、冒険者や騎士団等の討伐対象になっている様だ。


しかし、余りにも初歩的な質問&魔王などという意味不明な質問が多過ぎた為。


こいつ本当に大丈夫か?というリノアの訝しげな目が終始凄く痛かったとだけ…


「さて、リノア、長々と質問して悪かったなー凄い助かったよ、ありがとな。しかしお前すげーな。詳しすぎだろ。」

リノアの頭にポンポンと手を乗せた。


「んーん、このくらい全然大丈夫だよ?それよりわたしはおじさんが非常識すぎて逆に心配だよー。」


「あはははは、悪い悪い。」

とりあえず笑って誤魔化す事にした。


腕時計に目をやるともう22時を回っていたので今日は休む事をリノアに伝える事にした。


「よし、リノア今日は本当にありがとな、俺はもう帰って寝る事にするけどリノアはどうする?」

俺は日本人の感覚で本当に何も考えずに簡単に聞いてしまった。


そしてその自分の迂闊さを激しく後悔した。


「えっ?言ってなかったっけ?わたしの家ここだよ?ここは唯一、ママがわたしに残してくれた場所なんだよ。」

そういうと、リノアは少し悲しそうな笑顔を見せた。


(確かにリノアの家だとは聞いていない、聞いてはいないが少し考えりゃ分かるだろ!なにやってんだよ…俺は…)


俺は一瞬で血の気が引いていくのを感じながら周囲を見渡した。


(こんな、必要最低限のモノしか無い場所で一人で暮らしていたのか…母親の唯一残してくれたモノか…やはり亡くなっていたのだろう。俺はなんてバカなんだ。)


そう考えると俺は余りの自分の能天気さ、バカさ加減に苛立ちを隠す事が出来なかった。


俺は下唇を噛んだまま、両手を力一杯握りしめていた。


俺の状況に気づいたリノアがすぐにフォローを入れてきた。


「……ははは、確かになーんにも無い所だけど、夏には涼しくてイイんだよ〜!」

明らかに無理をした笑顔を貼り付け力無く笑った。


「そっか、そうなんだ。」

無難な返答をしながら俺は考えていた。


(確かにここは日本では無い、だから軽い同情や哀れみは偽善でありかえって迷惑でしか無いのかも知れない、でも俺はリノアにこの世界の知識をもらった、結果的に凄く助けられた、だからそれを返したい。それにどう考えてもこんな小さい子放っておけないだろ…。)


「なぁ、リノア、ここで1人で暮らしてるんだよな?もしリノアが嫌じゃ無ければなんだが、俺の家に一緒に来ないか?もちろん、家賃なんかも要らないし、食事や風呂もある。ただ、代わりと言っちゃなんだけど、俺はリノアも知ってる通り常識がまるで無い、だからその辺りのフォローをリノアにお願いできないかな?」

俺はそう言いながら頬を掻いた、だがリノアから視線を離す事はしなかった。


「えっ、でも…」

リノアは何かを迷う様に視線を下に向けた。


「なぁーリノア何か気になる事でもあるのか?もしかして、この家の事なら大丈夫だぞ、いつでもすぐに来れるからな?」


「…………本当?…直ぐに来れる?」


「…それにわたしちょっと話をしただけだよ。こんなによくしてもらって本当にいいの?何で、会ったばかりのわたしにそこまで言ってくれるの?」

リノアが真剣にしかし不安の入り混じった表情で問いかけてくる。


「うーん、確かにこんなおっさんがいきなりそんなこと言い出したら警戒するよなー」


「違う!おじさんの事警戒したりなんかして無い!わたし何日も扉の前で待ってたんだから!」


「ん?待ってた?俺を?」

不思議そうに首を傾げた。


リノアは『あっ』と声を漏らした


「な、何でも無いから!恥ずかしいから忘れて!」

顔を真っ赤にしてキッと睨んできた。


「えぇ〜ていう〜か〜今聞いたばかりのことを〜忘れるのは〜無理だと〜おもうわけで〜♪」

真っ赤なリノアを揶揄うように出来るだけうざい口調で問いただした。


その後、全然口を割らず『ぐぬぬぬぬっ…』と唸るリノアと不毛な戦いを約10分ほど繰り広げた。


結局は最後まで口を割らなかった…。


ただ、小さな声で〝ラッタさんが言った事本当だったかも…優しい人で良かった”と言う呟きだけが聞こえた。


リノアを問い質す雰囲気でも無くなったので俺は先ほどの話に戻る事にした。


「仕方なく諦めて家の話に戻るけど、もし、俺を信用してくれるなら俺が常識に乏しいのは事実だし、リノアが居てくれたら助かるのも本当だ。それに何も無いこの家で1人で暮らしていると聞いて心配になったのも嘘じゃない。でも、それは…。」


(あー何か上辺だけで微妙だな俺は。心配になった?確かにそれも嘘じゃないでもそれだけじゃ無いだろ?教えてもらったお返しがしたい、その気持ちも勿論ある、でもそれだけじゃない。信用してくれと言いながら俺は本心を言わない…。)


俺は自分の薄ぺらさに気付き嫌気が差し同時に情けなさで一杯になりつい言い淀んでしまった。


すると場の雰囲気が一瞬にして変わった。


「……もしかしておじさんは可哀想な子だと同情してる?哀れんでるの?」

リノアは先程までのくるんとした愛らしい瞳では無く表情を消し少しだけ鋭い視線を俺へと向けて来た。


「違う!そうじゃないんだ!はぁ〜ったく…」

俺はそんなリノアの変化に内心では焦りながら、自分自身に対して嫌気が差した、そんな感情を隠すように右手で頭をボリボリと掻きながらリノアを見つめ返した。


リノアも先ほどと変わらぬ表情でじっとこっちをみている。


数秒間、場を沈黙が支配した。


俺は小さくため息を漏らすと意を決して本当の想いを口にする事にした。


「いいか、今から言う事に対して絶対に笑うなよ!端的に言うと俺は自分の家庭が欲しかったんだよ!リノアにも教えた通り俺はもう32だ。結婚して子供がいてもおかしく無い、いや、俺の中の予定ではそうなってるはずだったんだよ。だからリノアに会って、話して、年齢等も聞いて娘がいたらお前くらいなのかなって…それにリノアと話して俺に娘がいたらこんな感じで毎日楽しかったのかなって思っちゃったんだよ!色々、教えてもらった事に対してお返しがしたいとかなんとか理由つけて考えてたけど、結局はそれだけだよ!唯楽しかった、リノアの為だと言いながら俺は今まで手に入れられなかった物がお前の側にある気がした、結局自分の為だよ!くそ、恥ずかしいじゃ無いか!」


俺は恥ずかしさのあまり早口で捲し立て、そっぽを向いて小さく息を吐いた。


するとリノアは急に笑い声をあげた。


「あははははは♪あ〜おっかしい、ふふっ」


「ちょ、おま、わらうn…「要はおじさんはわたしを娘にしたいって事でしょ?それで合ってる?」


俺の苦情を遮って、笑いすぎたのか目尻に溜まった涙を拭いながらリノアが飛びついてきた。


「正確には協力関係を築きつつ信頼を重ねて行かないとダメだとは思うけど、まぁ…大嶺合ってるよ。」


俺は飛びついて来たリノアを両手で受け止めると左腕に座らせる様に抱き上げた。


「ふふっ、よろしくね、おじさん…ううん、パパ!!」

リノアは少し照れ臭そうにしながらも今まで以上の満面の笑みでそう言った


「パ、パパは早すぎるんじゃねーの?今日会ったばかりだし?心の準備とかいるし?俺子育て初心者だし?子育て講習会とかあったら受ける予定だし?」


俺は突然のパパ宣言に情けなくも混乱し慌てふためいた、そんな俺を見てリノアが呆れた様に言ってきた。


「はぁ〜あのね?パパ別にわたしがもう信頼しちゃったからいいの!」


「え、いつの間に俺そんな信頼勝ち取っちゃってたの?」

きょとんとした顔で聞き返した。


「はぁ〜あのさーパパって残念な人ってよく言われない?」

リノアはこめかみを抑えながら言った。


「え、係長とかに結構言われてるけど何で知ってんの?」


「本当パパはどうしようもないよね〜?」

リノアは呆れた顔をしていた。


こうして俺に娘ができた。


だが俺は大事な事を忘れていた、俺のアパートが異世界にあるということを…。


今後も読んでもいいと感じたらポイント&ブクマよろしくお願いします。

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