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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
27/79

27 いただきます。


約束したファミレスへと須藤と一緒に入ってきた人物は何と新山さんだった。


知る限り同期という以外に接点の無さそうな二人が一緒にやって来たことには違和感と同時に驚きを感じたが、まず言うべき事は先に言うべきだと思い、さっき係長の監視から助けてくれた事の感謝を新山さんへと伝える事にした。


「新山さん、朝も助けてもらったのに午後一番でも助かったよ、本当ありがとう。」


「いえ、それは良いんですけど…何か紺野さん物凄く監視されてるというか、係長から他の人よりも嫌われていませんか?あの人皆に嫌味言いますし、キツイ人ですけど紺野さんへの辺りはそれ以上にキツイ感じがするんですけど、係長と何かあったんですか?」


正直、新山さんの指摘に驚いた、実際あの人は新山さんの言う通り誰に対しても当たりがきつい、だからこの事に気付いた人は今まで一人としていなかったのだ。


「え?そうっすか?俺にも係長はキツいっすけど?」


「うーん、紺野さんに対する当たりはそんなものじゃ無いと思うよ?ん〜言葉悪いけど恨まれてる感じかな〜?」


これは本当に驚いた、恨まれてる事まで気付いていたのか。普通は須藤の様に自分がされていればあの人は全員にそうだよね?となり優劣なんか付けたりしないものだと思う。だが新山さんの言う通り係長は俺に対してある事をずっと根に持っているのだ。


俺が驚いた顔をして新山さんを見返すとふふんと鼻を鳴らし胸を張る仕草をして見せた。


「驚きました?私人間観察が得意技なんですよ?」


「あ、あぁ素直に驚いた、今まで誰にも気づかれた事無かったからね。」


戯けた様に両腕を上げながら降参のポーズを取りながら新山さんへ視線を送ると須藤も驚きの声を上げた。


「え、じゃ先輩だけ余計にキツく当たられてるって事っすか?」


「まーそうかな、ある事があってから俺を目の敵にしてるんだよ。」


「えー何すかそれ!差し支え無ければ教えて欲しいっす。」


須藤が係長への怒りを露わにしながらそう言うとそれと同時に新山さんも興味があるのか、頷きながら俺へと視線を向けて来た。俺は少しだけ困った様な表情を浮かべ、隠すことでも無いし別に問題無いかと思い直すとその理由を二人へと語る事に決めた。


「簡単に言うとさ、係長が何年か前にある大きな契約を取れそうになった事があってさ、その契約というのは今まで誰がいっても取る事ができず、その時は次長なんかも大喜びで係長の事を褒めちぎってたんだよ。勿論契約書何かも自分で作成したり、精力的に頑張ってた時期でさ。」


「え?あの係長がっすか?」


「今では全然考えられませんよね?」


俺の言葉に二人とも信じられない様な顔をして、口を大きく開けっ放しにしている、二人が驚くのも無理はなく、今の係長からは考えられない人物像であろうことは俺にでも想像に容易い。


「いや本当だよ、係長にも頑張ってた時期はあったんだって。それでいざ今日が契約の日って意気込んでたんだけどその契約書に問題があってさ、桁が一桁違ってたんだよ。契約を交わす前だったから会社に損害は出なかったんだけどね。」


「え?それは…。」


「でもそれと先輩はどう繋がるんすか?」


「いや、それを発見しちゃったのが俺なんだよね?で、係長にも伝えたんだけど、金額はちょっと大きいから言うのを控えとくけどそれが原因で契約は無くなるし、次長には褒められた分倍くらいで怒られるし、何でも相手に説明に伺った段階で間違った単価で説明してたらしくてさ、勿論その契約相手にも土下座モノの謝罪が必要で係長、結構キツい目にあっちゃってそれを今でも根に持ってるんだよね。」


俺が巫山戯たように肩を竦めながら言うと二人とも全然納得できないという表情をし少しムスっとした表情をしていた。それから直ぐに須藤が口を開いた。


「でも、それって先輩助けただけなんじゃ無いんすか?」


俺がどう答えようか困った顔をしていると新山さんも須藤の意見に賛成な様で頷き始めた。


「助けたとか良い悪いじゃなくてさ、係長のプライドを傷つけちゃったのが問題なんだよ、別に係長を庇うわけじゃ無いけどね、要は係長自身が助けられたと感じるより、俺に間違いを指摘されたっていう事でプライドを傷つけられた!出世の邪魔された!とかそういう風に感じちゃったんじゃ無い?そこは本人じゃ無いとわかんないけどね。」


二人はまだ納得のいかない様な顔をしていたが俺はこの話はもうお終いとでも言うかのように話を変える事にした。


「それで二人は何で一緒にやって来たのよ?俺の中のイメージじゃ同期という以外に接点は無いと思ってたんだけど?」


俺がちょっと揶揄い口調でそう言うと須藤は慌てた様に「何か食べるっすか?」とあからさまに話題を変えようとして来た。さすがに新山さんもそんな須藤の姿にこめかみを抑え自分が説明をしようとしていたが、どうやら何かのプライドが後押しをしたのか、自分が説明すると言い出した。俺はそんな二人の様子を見てある程度予想は付いていたが面白そうなのでそのまま見守る事に決めた。



「じ、じ、じ、じ、実は!」


意を決して須藤が話し出そうとしたときに俺は何だか面倒臭くなってもうこの流れは終わらせようと決めた。見守ると決めてから15秒後の事だった。


「あ、うん、いいや、お前ら付き合ってんだろ?」


すると二人ともさすがに俺の方から言われるのは予想外だったのか、ビックリしていたが直ぐに両名とも頬を赤く染め始め新山さんに至ってはクネクネと気持ちが悪い動きをし始めた。一瞬アレと思ったが見間違いだと自分に言い聞かせて、見なかった事に決めた。


「それで、交際報告の為に集まったとか言わないよな?」


俺は少しだけ呆れた様な感じで揶揄いながら二人に確認を取ると、俺の予想外の返事が二人から帰って来た。


「はい、先輩には報告したかったので、それが一つです、他にもあるんですが、報告したかったのは本当です。」


「彼から紺野さんには絶対に報告したいと聞いてました、私も今日話してみてその気持ちが納得できました。」


俺はてっきり『報告じゃ無いっす』と別の用件なんですと否定が来ると思っていたのだが、不意打ちすぎる告白と二人の気持ちが嬉しくて少し泣きそうになってしまった。須藤に至っては〝っす〟って言ってすらないし。


「そ、そうか報告ありがとうな。」


俺はあまりにも二人の視線が恥ずかしく自分が泣きそうなのも相まって顔を背けて言うことしかできなかった、そんな俺の様子を二人は嬉しそうに笑いながら見ていたのだが、俺の交際報告じゃないのに何で俺の方が恥ずかしい目に合っているのか、これは誰の罠なのか正直後で考えても理解できない現状だった。



それから直ぐに話を変える様に照れ隠しをしながら二人に話しかけた。


「それよりお前ら何か頼まなくていいのか?」


俺のこの須藤と同レベルの行動に新山さんは「ぷっ」と噴き出す様に笑った。俺も自分自身でまさか似た様な行動に出るとは思わず、すぐに後悔で頭を抱える羽目になった。ちなみに二人ともドリンクバー単品で頼んでいた。



「あの先輩これからが相談なんすよ。結構マジな話なんでお願いしますよ!」


しかもまさかの須藤からのツッコミである、俺はもう駄目かもしれないと視線を須藤へと向けると何故かテーブルの上に手を置いて二人は恋人繋ぎで握り合っていた。一瞬意味がわからなかったが、付き合いたてなら仕方がないのだろうと無理やり納得させた。


「はぁ〜わかったよ…ただ、俺ホントあんま時間ないからいちゃいちゃは他所でやれよな?」


俺が少し面倒くさそうに頭を掻きながら言うと、二人は嬉しそうに頷きながら見つめ合い始めた、ハッキリ言って頷いてるけど全然分かっていないとすぐに分かった、俺がため息を吐きそうなのを我慢していると須藤が何かを思い出した様に口を開いた。


「そういえばさっきも残業は当分やらないとか言ってましたよね?何か先輩こそあったんすか?」


「あ〜俺娘ができたんだわ。」


俺のいきなりの娘が出来ました宣言に二人は一瞬ぽかーんとした顔をしたが、急に口元を緩ませると大声で笑い出した。


「あはははは!またまたー先輩知ってるっすか?娘さんより結婚の方が先なんすよー?先輩が言いたく無いなら別にいっすよー。すぐそうやって冗談で誤魔化そうとするんすからーまぁーそこも先輩らしんすけどねー!あ、もしかして愛子さんと出来ちゃった結婚とかっすか?」


須藤は捲し立てる様に話し始め勝手に納得をし勝手に驚き始めた。忙しい奴である。


(いや、まぁ、別に良いんだけど、俺の場合娘の方が先だったからね?出来ちゃった結婚どころか俺別れちゃってるからね?寝取られちゃったからね?嫁さん?候補すらいませんが?)


「俺のことはいいんだよ、いや…違うか、須藤には言うべきかもな、俺も報告をしてもらった訳だし。」


俺がちょっと真剣な表情を作ると直ぐに二人とも察して同じように真剣な顔つきになってくれた。


「どうしたんですか?紺野さん。」


新山さんが不安そうな視線を俺へと向けてきた。


「んー今日は相談の前にもう一つ俺からいいかな?新山さんは面識ないと思うんだけど、須藤は会ったことあるからさ、一応な。」


正直面識のない新山さんにはかなり申し訳ないと思ったが、これから何だか須藤と付き合っていくなら今までとは違う関係になる様な気がして、思い切って一緒に聞いてもらう事にした。


「俺が面識あるって事は愛子さんの事っすか?」


「あーまぁ、端的に言うとさ、俺ら別れたんだよ、中々言い出し辛くて悪かったな?」


「え、まじっすか?と言うかさっきすいません、俺変な事言っちゃって…」

須藤はさっき自分が言ったを俺に対して申し訳なく思ったのか力なく項垂れた。


「いや、それは別にいいよ、俺も言ってなかったしさ?」


それから俺は愛子との間に何があったのか、大雑把にではあるが説明を続けた。


その際須藤は微妙な顔をしながらしかし黙って聞いてくれた。


新山さんは関係が全然無いのでやはり付き合わせて申し訳ないと言う気持ちの方が強かったが、それでも静かに真剣に聞いてくれて何だか嬉しかった。


よくよく考えるとこの事を他人に話したには初めてだった、もう少し早く話せばあの時1ヶ月も悩まずに済んだのかもしれないと少しだけ後悔した。


「とまぁ、俺の話は以上かな、あぁ〜須藤に話せてスッキリしたよ、新山さんも聞いてくれてありがとね?」

俺は柔らかい笑みを作り、自分の正直な気持ち伝えた。


「いえ、先輩大丈夫だったんすか?あ、だから1ヶ月くらい鬼の残業量だったんすか?」

少し心配気な視線をを向けてくる。


「まぁ、そうかな?」

俺は苦笑いを浮かべた。


「今は、もう吹っ切れてるんですよね?」

新山さんが遠慮がちに質問をしてきた。


「うん、もう全然大丈夫かなぁ?これ報告したかっただけだから?2人とも気にしないでよ?」


平然とした顔で言い放つ俺を見て2人は納得してくれた様で、笑顔で頷きながら了承してくれた。


「あ、だから先輩何か変わった感じするんすね?他の人も先輩何か妙に落ち着き払ってるって噂してたんすよ?」


可笑しそうに笑いながら須藤が言うと同意するかの様に新山さんが頷く。


「え、そうなの?俺全然そんなの自分で意識してないぞ?」


俺が不思議そうな顔で2人を見ていると新山さんが笑いながら口を開いた。


「いえ、少しだけ紺野さん変わりましたよ?何処がとは言えませんが雰囲気かな〜?」


(何だかよくわからないが、俺はどうやら変わった様に映るらしい)


それはそうと、俺はとりあえず話の本筋を元に戻す事にした。


「まぁ、俺のことはこれでお終い!それで2人の相談事って言うのはなんなの?」


「あ、はい…実はっすね、俺さゆりん以外にもアプローチされてるんすよ?その相手が………」


「ちょっと待て!」

俺は右手を須藤の顔の前に突き出し発言を止めた。


「まずさゆりんってだれだよ?」


「やだなー先輩マジいってるんすか?目の前に居るじゃないっすか?」


俺はゆっくりと新山さんを見た。


「さゆりんこと新山小百合です♪」

さゆりんは両手を頬に添えていやんいやんと繰り返した。


俺は遠い目をしながら「さゆりんよろしく……」と言った。そしてあのクネクネした気持ちが悪い動きは勘違いではなかったのだと理解し、今まで真剣な顔をして俺の報告を聞いてくれていた、営業課のアイドルの姿を探した、しかし俺の能力では探し出すことは不可能だった。


「失礼ですけどさゆりんは実は新山さんの双子の妹さんか何かですか?」


「紺野先輩はお茶目さんだったんですね!ちゃーんと本人だぞー♪」

怒ったような演技をしプンプンと口で言いながら、唇を尖らせた。


「あ〜うん、はい…」


(うちの課のアイドルどこ行った!?見てるだけで小動物みたいに癒されてたのに目の前のこれはチラ見するだけでつかれるわ!)


「先輩これがさゆりんの素なんすよ。これは慣れるしかないっす!ただ、慣れても好きになっちゃ駄目っすよ!彼氏は俺っすから!」


「いやーん、ゆーくん好き〜❤️」


俺が疲れ切っていると須藤が謎の発言でさらに疲れさせ、新山さん改めさゆりんは須藤に抱き付きながら愛を囁き追い討ちをかける様に疲れさせて来た。


「あ、うん、それは全然大丈夫です。まったくこれっぽちもその心配はございません。」

俺は冷ややかな表情で返事をした。


(須藤お前はゆーくんって呼ばれてんのな!雄一(ゆういち)だからゆーくんなのな!)


「ところでゆーくん話の続きを……」


「あーえっとですねーって…先輩までゆーくんは勘弁してほしいっす!」


「話が先に進まん!!いいから話せ!!」


流石にイラだって来たので強引に話を進めさせた。


要約すると須藤達の相談はこうだった。


須藤はさゆりんと付き合ってはいるが会社等ではお互いの立ち位置等もあるのでバレないように付き合っている為それでフリーだと勘違いされ会社内のある女性から交際を申し込まれたと言うこと。


ちなみに2人は交際してまだ2週間足らずだと言う。


「先輩どうしたらいいっすかねー」


「ふーむ、普通なら彼女がいますって言えばいいと言うところなんだが、よりにもよって上田さんかよ!」


上田恵(うえだめぐみ)

うちの課内の女性社員のリーダー的存在。


学生時代の名残りなのか、少々ギャルっぽい雰囲気を残している。喋り方がギャルっぽいと言うのではなくオーラというか何というか…とにかく気が強く扱いに困る相手である。しかも仕事は出来るので上司受けも良く敵対するとタチが悪い。


「実はわたしはあの人が苦手でして……」


「あー普段の新山さんでもそういう印象はあったけど今のさゆりん見たら尚更そう思う。なんていうのかな?明かに人間の種類が違うよね。」


「はい、こー上田さんとー緒にいると何と言えばいいのか…学生時代のトラウマが蘇ってきて……」


一瞬さゆりんの瞳から色が消えた様な気がした。


「ま、まぁ生きてれば人間色々あるよね!!」


余りにも闇が深そうだった為俺は必死で誤魔化した。


「しかし、これは俺の手には負えんぞ。」


「せんぱ〜い、そんな〜!!」

須藤はテーブルに伏して微動だにしなくなった。


「とりあえず付き合えない旨はしっかりと伝えてあとはさゆりんとの事バレないようにするしか無いんじゃないか?」


「やっぱりそーっすかねぇー」


「わたしもばれるのが1番無理かなー」


「まぁー俺も全然気付かなかったから大丈夫だとは思うけどここでやってる様な行動は控えた方がいいぞ?それに須藤、万が一バレたら係長辺りから滅茶苦茶いじめられるから覚悟しとけよ!意味はわかるよな?」


「はぁ〜やっぱそうっすよね〜。」

須藤は頭を抱えた。それを見たさゆりんは苦笑いである。


この問題はここで話し合っていても解決出来ることではないので俺は家に狩る事にした、ただ、色々と話ができて今日は本当に良かったと心からそう思う事ができた。


「んじゃー俺娘が待ってるから帰るな?」


「先輩帰るのは了解っすけど、まだそれ引っ張るんすか!」


「紺野先輩、娘さんに宜しくです!」


須藤もさゆりんも何故か二人揃って敬礼のポーズを取った。よく見ると口元がにやけている。


(あ、これバカにしてやがるな!ちゃんと娘は存在してんだよ!!)



「あぁ、ちゃんと娘にはさゆりんに近づくなって言っとくよ!」


何か叫んでいたが帰りが遅くなるので放置することにした。


2人はまだ残るとの事で俺はテーブルに3人分のドリンクバーの料金を置いてファミレスを後にした。


ついでに帰りに少しスーパーによって食材を買い足しておいた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……じゅ〜っ。


俺の部屋は今美味しそうなもの二つに包まれていた。一つは肉を焼く音、もう一つはその肉を焼く時の匂いである。ハッキリ言ってこの匂いは異常だ、焼肉の匂いどころでは無い。


「おーなんかスゲー旨そうだぞ!」


「パパ、これ全部焼く全部焼く?」


フライパンをひっくり返しながら俺はテンション高めに言った、リノアも肉の塊を両手で掴み、頭上に抱え上げながらテンション高めに聞いてきた。明らかに二人ともこの匂いにやられていると思われる。


「いや、全部は食えんだろ!」


「えーっ、でも残りはどうするの?すぐダメになっちゃうよ?」


「いや、冷凍しとけば2週間はいけんだろ?」


(押し入れボックスは時間止めてくれたりするのかな…)


「へーっ、日本凄いね♪」


どうやらバーレリアには冷凍保存という概念が存在しないらしい。


少し日本に慣れて来たリノアでも時々こうやって驚くことがまだあるみたいだ。


「よし、リノア肉の皿、用意しといてくれ。」


「はーい!」


リノアは大慌てで準備に向かった、その間に俺はスープを温めたり、サラダを冷蔵庫から出したりした。


パックのコーンスープと最初から盛ってある、スーパーのサラダですが何か?


ただ、一人の時と違ってこうやって肉を焼いてるだけでかなりマシな方である、一人の時なんて弁当だけ食べるか何も食べずにビールを飲んでいただけだった。


「持ってきたー!パパ早く食べよ〜!」


「ハイッ!!に〜く♪に〜く♪に〜く♪」


リノアは謎の歌を口ずさみながら102号室のキッチンの席へとさっさと座った。サラダやスープ、ご飯と運ぶものは有るのに肉にしか興味がないらしい。


俺は甘いのかなと思いながらも幸せそうなリノアを見ると特に何かを言う気には慣れなかった。


(まぁーいっか。)


「よーし、それじゃ食うぞ!その前に1つ、今日からは食事の前にやることがあるからな!」


俺はそういうと手のシワとシワを合わせてのポーズをとる。


「いただきます!」


「それなーに?」

きょとーんとした顔で聞いてきた。


「リノア、バーレリアでは食事の前にお祈りしたり感謝したりしないのか?」


「うーん?特には無いと思うよ?」


「そっか、まー俺も正直ずっと1人だったからやってなかったんだけどこれからはリノアの教育上あまりよろしく無いのでやる事にしました!」


「ふーん、それやったら食べてもいいの?」


「あぁ、食べてもいいぞ。」


俺から確認をとると即座に『いただきます』っと言って食べ始めた。


(あ、うん、そんな我慢できなかったのね……)


俺は食べながらいただきますとは食材を作った人、食材を運んでくれた人、料理を作った人、命をくれた動物、今回で言えば猪本君だな。そんな様々な人にありがとうの感謝を込めた言葉だと説明した。


これが親の務めというやつかと悦に入っていたのだが…。


そんな俺の自己満足的な時間はぼそっとリノアが呟いた一言で全てが台無しになった。


「へぇ〜でもわたしがワイルドボアなら絶対に許せないけど?」


俺は一瞬考えてから、『全くその通りだわ』と妙に納得してしまった。


「あ、うん、俺もそうだな…許せるわけないよね。」


「しかしこの猪本君本当にうめぇーな」

「ホント滅茶苦茶美味しい!!」


2人して夢中になって食べた。

お陰さまで正式に累計PV数が1万を越えました!

読者の方々どうもありがとう御座いました。


面白い続きが気になるに感じたらブクマ&ポイントの方もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 職場では頼られる先輩ですから色々と背負い込んで大変そうですよ お局様がどんな動きをするのかある意味楽しみです(下衆顔 しかし、契約が取れたのは何か変化が?? とても気になります 更新あり…
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