21 出逢い
何故かこんな時間に目が覚めたので更新します。
俺は今王都の商人ギルドに来ている。
身分証を発行する為に商人ギルドに加入する事にしたのだ。
「すみません、ギルドに加入したいのですが?」
ギルドの受付嬢に声をかけた。
「あ、はい。身分認証プレートをお持ちでしょうか?お持ちでない様でしたら身分認証プレートの発行が必要になりますので、銀貨で7枚程必要になりますがよろしいでしょうか?」
営業スマイルで語りかけてくる
「あーすみません、プレートを持っていませんので発行したいのですが初めてなので少し説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ、でしたらご説明させて頂きますのであちらのカウンター席に移動して頂けますか?」
やはり営業スマイルのまま、カウンター席のある場所を手のひらで指し示した。
「あ、はい。お願いします。」
受付嬢さんの教えてくれたカウンター席を視線で確認しながら答えた。
カウンター席に移動した俺は早速説明を受けた。
「お客様は初めてと言うことですので詳しくご説明した差し上げた方がよろしいでしょうか?」
「あ、はい、是非詳しくお願いします。」
「はい、承りました。それでは先ず此方の説明から……」
・各種ギルドの加入には身分認証プレートが必要である。
・プレートの発行は商人ギルド、冒険者ギルド、教会、王城の4箇所で可能である
・どこで発行したプレートでも各種ギルドや施設で使用可能である。
・身分証の作成方法はプレートを身分認証機と呼ばれる機械に差し更にその機械に付属している受け皿に血を一滴垂らし機械に取り付けてある水晶に魔力を通すだけで可能である。
・身分認証プレート作成後は自分のプレートは自分の魔力とこの機械でしか認識しない。
・プレートは魔道具であり名前や年齢、階級に至るまで一切の詐称は不可能で有る。
受付嬢さんの話を纏めると、こう言うことだった。
(鑑定ぽい魔道具なのかねぇ〜?)
「説明は以上になります、何かご質問はございますか?」
やはり完璧な営業スマイルである。
「いえ、大丈夫です、とりあえず発行していただきたいのですが…」
少し緊張しながら返答した。
「それでは準備して参りますので、さっそく商人ギルドに登録もなさいますか?登録される様でしたら、そちらの説明も致しますが、どうされますか?」
(んー身分証作れるのなら商人ギルドはまた今度でもいいかな…)
「ギルドへの加入は今日はやめておきます。」
俺は少し考えてから笑顔で答えた
「分りました、それではプレート発行の準備を致しますので少々お待ち下さい」
そう言ってから受付嬢は席を立った。
受付嬢さんはすぐ隣の部屋へと入って行った。
移動してから1分後くらいだろうか、部屋の中からは『ブーン』という機械音が鳴り響いていた。
(さっき説明してくれた機械の電源を入れたのかな?)
その様なことを考えているとその部屋のドアが開かれた。
「お待たせ致しました。準備が整いましたのでこちらへお越しください。」
軽く会釈をしてから俺を招き入れてくれた。
中に入ってみると割と大きな電子レンジくらいのサイズの機械があった。
先ほどの音はどうやらこの機械の音で間違いなかったみたいだ。
「こちらになります、御確認ください。」
まず最初に認証前のプレートそのものを見せてくれた。
そのプレートは半透明でライター位のサイズのものだった。
俺はそれに意識を集中してアイテム鑑定を使ってみた。
◆身分認証登録プレート
[概要] 身分を登録する魔道具の板。
素材は水晶、細かく砕かれた鑑定の石が組み込まれている。
[価格] 銀貨7枚
(へぇー何か不思議な板だな?適正価格だったか、それに鑑定の石ってなんだ?)
そんな事を考えていると受付嬢さんが声をかけてきた。
「それでは早速始めたいと思いますがよろしいですか?」
俺が頷くと受付嬢さんはプレートを機械へとセットした。その後小型のナイフを手渡され指先を切る様に指示されたのだが…。
(みんなこんなのよく出来るよね?自分で指切るのちょっと怖いわ!)
一瞬受付嬢さんに『早くしろよ!』って言う視線を向けられた様な気がしたが勘違いだと自分を言い聞かせてペースを乱さず自身のタイミングを貫いた。
ちょっと呆れてるかなと受付嬢さんを見てみると完璧な営業スマイルだった。
(うん、凄い社会人として見習おう!)
先ほど説明を受けた受け皿に1滴血を垂らす様に言われたので垂らすと、ボンヤリと水晶が光り始めた、このタイミングで魔力を流すらしい。
俺は言われるままに魔力を流した、すると受付嬢さんが固まった…。
不思議に思っていると何やら俺の手を突き抜けて水晶から文字が浮かび上がっていた。
【名前】アリヒト・フォン・コンノ(32)
【性別】男
【種族】人族
【階級】上流階級 貴族
【爵位】公爵
【職業】公爵家当主
(えーっと何々…あーやっぱ貴族だったか。このフォンっていうのは貴族にはみんな付くのかな?…え、何これ。貴族なのは♨️見て指輪を鑑定した時から覚悟はある程度はしてたさ?でもさ?は?公爵?いつ貴族になったのかすら分からないのに何でいきなりトップ貴族の仲間入りしちゃってんの?だめだ、全然ついていけん…)
俺がゆっくりと死んだ様な魚の目になりはじめた過程で受付嬢さんの姿が急に視界に飛び込んできた。俺はその姿を見るや一瞬にして活力を取り戻した。
「え?ちょっとお姉さん何やってんの?」
俺は混乱しながら問いかけた。
「も、申し訳有りませんでした!お貴族様がお相手で御座いましたら、私では無くしっかりとギルドマスターが担当すべきでした。本当に申し訳有りませんでした。」
受付嬢さんは顔色を青白くさせ土下座をしながらそう懇願してきた。
(えー何その理由ちょっと面倒くさいんですけど…)
内心面倒だなと思いつつも、話が進まないので復活させることにした。
「いやいや、そんな全然、俺、お姉さんが担当で超満足だったよ〜いや〜運が良かったなぁ〜さぁ、もう土下座なんかやめてさ、説明とかあるなら俺全然聞いちゃうよ?」
そう言いながら受付嬢さんの手を掴み強引に立たせた。
「は、はい。ありがとうございます❤️」
そう言うと何故か彼女は頬を赤く蒸気させていた。
おや?
説明については特に何も無かったので俺は一刻もはやくこの場所を後にしてプレート確認をしたかった、この受付嬢さんはチョロインだろうとすぐに気づいたが、面倒くさそうなので、『この事は秘密でお願いね!』とだけ伝えてさっさと料金を支払い、商人ギルドを後にした。その際彼女は明らかに営業スマイルでは無くなっていた残念!
〜〜〜〜〜〜〜
それからすぐに商人ギルドの裏手の路地に入りさっそくプレートの確認をする事にした。
プレートをよく見てみると先ほどは無色半透明でだったのだが、今は半透明ではあるが少し黄色がかったモノに変化していた。
俺の情報が登録されたからかなと思いながら早速魔力を通してみる事にした。
【名前】アリヒト・フォン・コンノ(32)
【性別】男
【種族】人族
【階級】上流階級 貴族
【爵位】公爵
【職業】公爵家当主
(うーむ、やっぱり貴族で公爵なのは変わらんか…しかし、職業って普通剣士とかそういうのじゃねー?…あ、見たくないもの見ちゃった…)
俺は只々、深く瞳を閉じた。
(はぁ〜っ…指輪の鑑定で見た事は本当だったか…)
その後俺は何度も何度も身分証を見直す事になった。
「駄目だ、やっぱり結果は変わらない、俺当主になってんな…あ、ちょっと待て…リノアあの時なんて言ってたっけ?爵与する時の光に似てるとか言ってなかったか?)
俺は自分が仕出かしてしまった事へ、目眩を覚えた。
(これ、もしかしたら俺が調子に乗ってカッコつけたせいでリノアも巻き込んでるんじゃね?……くそ俺があの子を…リノアを巻き込んだかもしれん!絶対に何とかしないと…でも、でもどうやって……)
俺は更に考え込んだ。
(バレない様に隠れて生活するのはむずかしいか、でも日本でなら……)
「あのーあのー………」
「あのーどうかされましたか?困ったわー」
「聞こえてますかー?あらあら?いらっしゃいますかー?」
「もしもーし!…………よーし!こうなったら…」
(あーこれもう部屋から出なけりゃ大丈夫な案件か…)
俺は考えが纏まらず虚な目で現実逃避をしていた。
すると…いきなり『えいっ!』と言う掛け声と共に頬っぺたを挟まれる感触がした。
驚いた俺は「ひゃい!」と情け無い声を出しその人物を直視し
………………硬直した。
ゆるふわストレートのシャンパンゴールドといえばいいのだろうか?
光り輝く髪にとてつも無い爆弾を2つも抱えたグラマラスな美女がそこにいた。
腰には剣を携え、左腕にはバックラーって言うのかな?丸い盾を付けている、この美女は冒険者なのかもしれない。
彼女が何か話すたびに俺はそのぷっくりとしたピンクの唇から視線を外すことができなかった。
(……………び、美女だ、目の前に何故か絶世の巨乳美女がいるぞ!日本で見かけても100%話しすら出来ないレベルだぞ!)
「あらあら、またですかー?仕方が無いですねー?」
そういうと目の前の絶世の美女は困ったように眉を下げながら人差し指で下唇を摩りながら、首を傾げた。
(やばい、カワイ過ぎだろ!!結婚して下さい!)
「あのー本当に大丈夫ですかー?何処かお加減の具合でも?」
絶世の美女さんは心配そうに顔を覗き込んできた。
「だ、だいじょぶでしゅ!!」
顔全体を真っ赤に茹であげ噛んだ。
「あらあら、うふふっ♪」
口元を抑えコロコロと笑った。
「そ、それで私に何かご用でもお有りでしょうか?」
俺は緊張からか顔色を真っ赤に染め上げたが出来る限り丁寧な口調で聞いた。
「いえ、お元気ならいーんですよー?何かお困りのご様子でしたのでお声をかけさせて頂いたのですが、聞こえていらっしゃらないご様子でしたもので、ご迷惑かと思いましたがどうしても気になってしまったもので。」
そう言って太陽のような笑みを浮かべた。
「あ、それは大変失礼致しました。体の具合が悪いという訳ではないのです…………余りにも受け入れがたい現実に直面してしまったというか……何と申しますか………」
絶世の美女さんは何故かジーーーッと俺を見つめると何かに納得したように頷きニッコリと微笑んできた。
「申し遅れました、私はリュノミアと申します。」
「あ、これはどうも、私は紺…アリヒトと言います。どうぞよろしく御願いします。」
微笑み返した。
「それじゃ早速アリヒトさん、少しお話しをしませんか?」
「はい?」
リュノミアは強引に俺の手を握ると噴水がある広場まで連れ出し広場のベンチに座るといきなり質問をして来た。
「それで、その受け入れがたい現実というのは今から逃げる事は可能ですか?」
軽く微笑みながら言った。
(逃げる?いや、それはどうなんだ、隠して生活を続ける?でも、こっちに来る限り不可能だろう、そもそも身分証を隠しながらでは街や下手したら村にさえ居場所がないだろう。
それに恐らくだが、リノアも貴族になってる筈だ、あの指輪が光った時確かに♨️がリノアにも浮かび上がった。)
「…………逃げるというのは………不可能だ。」
「それは何故ですか?」
「俺の、この受け入れ難い現実というのは……もう、俺だけの問題じゃ無くなっている。」
「・・・・・・・・・」
リュノミアは真剣に聞いている。
「俺のこの問題は俺の大切なモノを既に巻き込んでいる。俺だけなら逃げることも出来た。でも………もう今更逃げるわけには行かない。」
「そうですか、それならどうすれば上手くいきますか?」
真剣な表情をしながら、しかし優しい目をしてリュノミアが聞く。
(どうすれば上手くいくんだ・・・身分証は隠せない、隠せないなら当然貴族としての扱いを受ける。そうなればある程度の立ち居振る舞いも求められる筈。これから先、きっと色々なしがらみや問題が必ず出てくる。だが、そんな事だけじゃない、リノアを巻き込んでるんだ。
この状況に抗う為には何が必要だ?慎重に考えろ。まずは武力だ、それに経済力あとは何だ……権力かこの公爵という立場や力がどんな物か分からないがそれだけじゃ絶対にだめだ、他者との繋がりもきっと必要になってくる。)
と、ここまで考えて。
「あぁ、なんだ、そんな事か・・・・・」
そう言って俺は空を見上げた。
「どうしましたか?覚悟をする事は出来ましたか?」
そう言ってコロコロと笑った。
(俺は腹を括ってなかっただけか、面倒そうだからと逃げ回る事や隠す事しか考えてなかったなぁー。)
「はい、お蔭さまでこれ以上ないくらい覚悟を決められました。」
そう言って笑った。
「よかったです♪」
と言って彼女も笑った。
その後他愛もない話をしてリュノミアさんと別れた。
別れ際、『リュノミアさんありがとう』とお礼を言った。
するともうお友達なので『ミア』と呼んで欲しいと言われちょっとだけテンションが上がった。
ちなみにミアは冒険者らしく家族を養う為に必死に出稼ぎの様な形で依頼を受けまくっているのだとか。
彼女にも色々ありそうだったが聴ける雰囲気では無かったのでそこには触れないでおいた。
ただ、彼女がもし何かに困った時は今日のお礼は絶対に返そうと心に固く誓った。
俺は帰り道、ミアに話を聞いてもらったおかげで大分冷静に物事を捉える事ができるようになっていた、余裕が出てくると今度は別の事が気になり出した。
(俺が貴族の血筋だと言うのは理解した、だが当主というのはいつ決まったんだ?俺は勿論承諾した覚えはない、それに公爵と言うからには領地なんかも持ってるはずだよな?帰る前に調べたいが伝手が何もねぇ〜、マーロンのところに戻るか、だがなんて聞く?この地方にコンノ領ってありますか?って聞くのか?あまりに不自然だ。それにリノアの事も身分証で確認が必要だな。)
考えた末に俺は一旦家に帰ることにした。
大事な約束を忘れている事など知る由もなく。
面白いと感じたり、続きが気になったらブクマ&ポイントよろしくお願いします。作者のやる気が跳ね上がります。




