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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
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2 俺が死んだ日


5分くらいだろうか、俺はショックと混乱からなのか、全ての思考をシャットダウンさせていた。


いつもつけている指輪を摩りながら、ただ無意識に2人の後をストーカーよろしく追っていたみたいだ。


その間、2人がイチャイチャイチャイチャしまくっていた事だけはハッキリと覚えている。


腕を組みから恋人繋ぎに変えたり、信号待ち中に軽くキスしたり・・・


そんな様子を見せられ追い詰められすぎたのか?俺の混乱していた思考も段々と正常に稼働し始めた。

俺は唯、その様子を眺めながら、あぁ〜愛子は浮気していたんだなという事実だけを淡々と受け入れはじめていた。

しかし、受け入れるのと何も感じないと言うのは別の様で俺はギュッと拳を握り締め、今他人が見たらまるで暗殺者の様な鋭い眼差しをしている事だろう。


今も目の前でどちらが買い物の袋を持つのか等とイチャイチャと揉めている、全部俺が飲んでやるよ!そう叫んでしまいそうだった。胸のあたりがモヤモヤする、今この場所で吐いてしまいそうなほど気分が悪い。


勿論、結婚を考えるほど好きだった相手だ、今この瞬間に嫌いになれるわけが無い。

嫌いになれるわけは無いが完全に好きでは無いという矛盾。


だが、そんな事よりも嫉妬でおかしくなっているのだろうか?好き嫌いよりももっと激しい別の感情が俺の心に渦巻いていた。



_____あいつは裏切った…もう要らない。




そう感じた瞬間に今度はスーッと今までの気持ち悪さやモヤモヤする感じ、嫉妬心すらも薄らいでいった。何かがストンと胸の隙間に落ちてきた感じがした。


思考もクリアになり、俺はこれから何がやりたいのかを考えていた。


戻ってきて欲しいわけでも無い、別れさせたいわけでも無い、謝って欲しいわけでもない、勿論復讐したいわけでも無い。


じゃあ何がしたいのか俺は必死に考えた、だが何も無い、何も出てこない。


そこでふと俺の足が止まった、きっと此れがそうだと思った。


昔誰に聞いたのかも覚えていない、好きの反対は嫌いじゃないという言葉が頭を過った。


(そうか、これか。好きの反対は無関心…。)


そして俺の望みはその瞬間に見つかった。もう俺に関わらないで欲しい。


だがそこでまた少し違うなと疑問が頭に浮かぶ。やはり人間はそんなに単純な作りでは無いらしい。簡単には白と黒のニ色に分けることが出来ない様である。


ほんの一握りではあるが確かに裏切られた怒りの感情も残っていた。


そもそも関わるなと言うということは結局怒っているのではないかと考えた。


ただ、どうしたものかと考えていると2人の姿を見失っていた。


しかし、浮気を見ました、別れようと俺からいう気にもなれなかった。


別にあんな姿を見て今更好きなわけでは無い、ただ、嫌いと言うわけでも無い。やり直したいとは全く思っていないが、多分これは俺の最後のプライドなんだと思う。


惨めに寝取られて、俺だけ1人というのが何か嫌だったのだ。


そのことに気がついて自分に笑ってしまった。


「はははは、俺は本当に小さい男だな。」


そう気づいて笑った瞬間に俺の中から『藤川愛子』という存在は完全に消えてしまっていた。



そして消えた瞬間にはっきりと俺の望みがわかった。


彼女よりも幸せな人生を送りたい、俺はクズなのかもしれない。

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