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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
15/79

15 ばあちゃん


今起こった事に理解が追いつかずお互いに黙ったまま見つめ合っていた。


しかし、このままではラチが開かないと思い、指輪の事をリノアへと説明した。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」


最初は俺がいつもみたいにふざけているのかと思っていたみたいだが、段々と俺の真剣味が伝わったのか、リノアも真剣な眼差しを向けてくれる様になった。


俺は真剣さが伝わって嬉しくなり『リノア真剣に聞いてくれてありがとう、俺の気持ちが伝わって嬉しいよ』と伝えた所、『いや、別にパパの真剣さとか関係ないからわたしもさっきの現象見たし?毎回不真面目なパパを信用してたら何度裏切られるか分からないもんね。』と帰ってきた。


(うん、反抗期か)


俺はそう思って全く子供だな仕方ない仕方ないと自分を言い聞かせながら話を続ける事にした。


一通り説明を終えた所で、リノアが少し遠慮がちに聞いてきた。


「あ、あのパパってお貴族様なの??」


「え?超がつくド庶民だった筈なんだけど正直言って自信が無くなってきた。」

項垂れながら答えた。


「えーっとね、今のってお貴族様が爵与とかする時に起こる光じゃないの?」

モジモジしながら心配そうに聞いてきた


「そうなのか?俺正直、今の現象全く予想外すぎて意味がわからんのだが………」


「いや、わたしも見た事はないんだよ?」


「それに、その指輪………」

そう言いながら右手の指輪を指差してきた。


「あーさっき説明した通り、唯のばーちゃんの形見だった筈なんだけど…当主の証らしいわ…」

指輪を外してリノアへと手渡した。


「あ、これ…」

リノアは指輪の内側を見ながら言った。


「あーそれ、変な模様だろ?ばーちゃん、昔からそういう記号みたいな模様のついたものよく持ってたんだよ。確か、御守りや財布にもついてたわ。」


そう言って昔を懐かしんで俺は笑った。


「パパ、これ模様じゃないよ、バーレリア文字だよ」

指輪の輪っかを俺に向け穴を覗きながら言った。


「…………は?」

俺は一瞬意味がわからず間抜けな返事をした。


『愛する孫を守る ばあちゃんより ♨️ 紺野華夜(こんのかや)


「そう書いてあるよ、パパ」

そう言って指輪を俺に戻してきた。


(えぇ〜ばあちゃんや、一体どういう事だよ!いや、まぁばあちゃんから譲り受けたアパートだから何かに関わってたとは思ってたよ?それでもコンノ家当主ってなんだよ?当主が居るとすれば親父だろ?俺じゃねーだろ!大体守るつーか思いっきりそれ元凶臭放ちまくりだから!今までの原因ランキング第一位だから!というか俺にこの指輪譲ったってことは先代はばーちゃんなのかよ!もうツッコミが追い付かんわ!それにどうせあれだろ、黙ってたのは『だってその方が面白い』って事なんだろ!!)


ばあちゃんは、昔からそうなんだよ!


幼稚園くらいの時、ばあちゃんとショッピングセンターに出かけた事があった。


俺は子供の頃からばあちゃんと出かけるのが大好きだった、だからその日も前日からうきうき気分で待ち遠しくて仕方がなかった。


しかし、到着してすぐに俺は迷子になった。


幼かった俺は周囲にはばあちゃんでは無く、見知らぬ大人の人で溢れてて不安に押し潰されそうになりながらも必死に泣くのを耐えてばあちゃんを探した。


子供の足ではあるができる限り色々な場所を見て回った、食料品売り場から、よく行くレストランばあちゃんの好きなパン屋、行きつけの洋服屋有りとあらゆる場所を探した。


でも全然見つけられなくて、俺は一階のエスカレーター横のベンチに座り込み、とうとう我慢も限界にきて大声で泣きだしてしまった。


すると後ろからよく知ってる声が聞こえて来た、俺は『ばあちゃんが来てくれた!ばあちゃんも探してくれて居たんだと。』涙を流しながらも嬉しさを隠しきれずに凄い勢いで振り返ったんだ。


しかし、エスカレーターの隙間から見えたのは笑いすぎて目尻に涙を浮べお腹を抑えた、過呼吸気味なばあちゃんの姿だったんだ。


しかも最初の一言が『あー面白かった!アンタには笑わせてもらったよ』って!!


後から聞いた話によると、ショッピングセンターに入ってすぐ、俺はアイス屋さんに気を取られたんだと、その瞬間に全力ダッシュで俺を巻き不安に駆られた姿を後ろからつけ回して笑い死にしながら見守ってたんだとさ……


なんでそんな事をするのか聞いた俺にばあちゃんは……『だって、普通に買い物するよりその方が面白いだろ』って言いやがった。


(どうせ、今回の事もそんな感じだったんだろ!!)


黙り込んでしまった俺にリノアは勘違いをしたのか。


「素敵なおばあちゃんだね。」


と言いながら涙を溜めて微笑んできた。


「………うん」


とだけ、俺は答えておいた。



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