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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
14/79

14 ファミリーネーム


リノアが泣き止んでからすぐ俺たちは日本で今後の準備をする事にした。


ちなみにレベルやスキルの話をしてみたが何のことだかよく分かっていない様だった。


何もしないという選択はないので、とりあえず俺は電話台の上に置いてあるメモ用紙とボールペンを取り出し今後の生活に必要な物を2人で考え書き出して行く事にした。


・リノアのベッド

(どうしても布団は嫌だと言って聞かなかった。やっぱあれかカビ臭かったのか…。)

・歯ブラシ

(予備の大人サイズでは歯茎が痛いらしい)

・食器類

(自分の箸やお皿が欲しいと言われた、箸は練習用に補助付きの物が欲しいのは分かるけど、皿は俺が一度使った皿が嫌なわけじゃないよね?)

・衣類

(これはなにも問題なし!)

・日本国籍

(最後の国籍、これは無理だ、そもそも買い物リストに書くモノじゃない!いや、世の中の権力者なら買えるのか・・・・・)


等とバカな事を考えながらリストから最後の国籍を消している時に今更になって気づいてしまった。


「そうだ、リノア、バーレリアでは結婚したり、親子になったりする時に何か手続きみたいな事ってするのかー?」


「うーん、わかんない…ただ、結婚は前に村に住んでいたときに教会の神父さんに誓ってるのを見たことあるよー?」

ちょっと困った顔をしながらリノアが答えてくれた。


(さすがに8歳にする質問じゃないわな…やっぱ結婚式ってこっちでもあるのな。それにリノアって村に住んでたのか少し聞いてみたいけど地雷踏みそうなんだよね…。)


「そっかーどうしよう、やっぱり1度街に行ってみた方がいいよなぁー。」

腕組みをしながら俺は考えていた。


(しかし、街かいくなら一度異世界料理を食べて見るのもいいな、冒険者ギルドは何か怖そうであんまりいきたくねぇーな。)


そんな事を考えていると、ある点に気づいた。


純粋な日本人である俺は自己紹介の挨拶について思ったのだ。


「あーそうそう、バーレリアってやっぱり、日本と名字が逆なのかな?」


「名字?」


「あ。こっちでは家名っていうのか?日本では俺、紺野有人だろ?」


「バーレリアではアリヒト・コンノってなるのか?」


「あ、そだよーコンノが後ろであってるよー」


「ふーん、じゃリノアはリノア・コンノだな♪」

俺は少し揶揄う様に笑いながら言った。


すると……


「……えっ…うえっ…っ…ぐすん…ぐすん…」

小さく声を上げて泣き出してしまった。


驚いた俺は膝を折りリノアの目を見ながら質問した。


「嫌だったか?…その…紺野を名乗るの?」


「ち、ちがう!の…ぐすん…」


「………ひっくっ…ひっくっ…ずずずっ…」

リノアは鼻をすすりながら一生懸命涙を止めようとしている。


「・・・・・・」

リノアの頭を撫でながら話してくれるのをゆっくりと待った。


「わだ…わだぢが………ババのがめいを名乗れるとおぼわなっがっだの〜」


「うわぁぁぁん!!」


リノアは再び泣き始めてしまった。


俺は「そうか」とだけ告げ黙って頭を撫で続けた。


それからしばらくして、俺は泣き止んだ、リノアからバーレリアにおける、ファミリネーム“家名”の希少性について説明を受けた。


どうやら、バーレリアでは、家名を名乗ることができるのは貴族と一部の教職者、成功した実業家、こちらでは大商人と言えばいいのだろうか?にしか許されてない特権で有るらしい。


また更に貴族には階級が存在しているらしく上から“公爵”“侯爵”“伯爵”“子爵”“男爵”となっており、世襲制だという。


男爵の下に騎士爵と言うものも存在し、これは一代限りと言う事だった。


この爵位順は絶対であり、それを軽く扱う事は貴族の矜持にも関わる事らしく貴族の世界では絶対のタブーとされているとの事である。


そして騎士爵というのは伯爵以上の貴族が指名できる爵位であり戦働きの優れた部下や、何か手柄を立てた自治領の領民が爵与される場合がほとんどなのだそうだ。



(確かに話を聞く限りじゃ、一般人が名字を名乗るのはバーレリアでは敷居が高すぎるなぁ。

それで、リノアのあの涙だったと言うわけかー。生まれてすぐに特殊なケースを除いて、名字を持ってる日本人の俺には分からない類の感情だなー)


俺は腕を組み、更に別のことを考え始めた。


(どうせなら、こーカッコよく決めたいよな……)


そう、俺は何でも形から入るタイプなのだ。


「ふむ」と頷き


俺は居住まいを正し、威厳たっぷりにリノアに声をかけた。


「アリヒト・コンノの名において我が愛娘リノアに命ずる!今日より名をリノア・コンノと改めコンノ家の一員となり今以上に幸せになる努力をせよ!」


俺は悪戯が成功した子供の様な顔でリノアに向かって舌を出した。


「うわぁぁぁん、あだぢがんばる〜!!」


そう言って泣きながら抱きついて来ようとした


その時………………


「うわあ!!一体なんだこれ!!」


「きゃっ!」


急にばあちゃんから貰った、指輪が輝きを放ち始めた。


その輝きはどんどん大きくなっていき最後には俺とリノアを包み込むまでになった、そしてすぐに指輪に吸い込まれていく様に光は収束していきその後、すぐに俺とリノアの目の前に何処かで見たことのある、マークを浮かべ始めた。


俺はこの状況になんとも言えない微妙な感じになった。


そのマークを知らないリノアは何が起こったのかよく分からずただ大きく口を開けていた。


勿論なにが起こったか分からないのは俺も同じであるが…。


ただ俺はその指輪から放たれたマークを見て、1つだけ思ったことがある。




(あ、これ♨️温泉のマークじゃん)


…………と。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



(しかし、今の光は一体何だ?というか、リノアだ。)


俺は周囲を見渡してから異常が無いのを確認してすぐにリノアへと声をかけた。


「リノア、大丈夫か?ケガして無いか?」


「う、うん、大丈夫だけど今のなにー?」


リノアは目をパチクリさせてはいるがしっかりと返事はしてくれた。


「いや、俺にもさっぱりわからん?何だ一体今のは…」


リノアは何かを考えるように腕を組みながら目を瞑っている。


(てか、この指輪なんだ?ばーちゃんやっぱ絶対これに絡んでるよな!?)


指輪を一旦外し親指と人差し指で掴み何か手掛かりがないかじっくりと見て調べていると、よく分からない何かがスーッと俺の意識へと入ってきた。


◆神鉱石の指輪

【概要】 神によってもたらされたと言われる伝説の鉱石で作られた魔道具の指輪。

     コンノ家当主に代々受け継がれていく。

     収納・精神安定の効果(大)も有る。

【値段】 査定不可


「……は?」


「パパどうしたの?パパ?」


リノアが心配そうに俺に呼びかけていた様だが、俺は今それどころでは無かった。


俺はあまりのショックにゆっくりと意識がショートした。


ただ、1つだけこの指輪の効果があっても俺オオカミ戦あんなに泣いたのかよとそれだけは心に突き刺さっていた。

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