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フスマin異世界  作者: くりぼう
第一章
10/79

10 現状説明


「ん、ふぁぁ〜体がいてぇぇ………」


昨日、コンビニで彼の攻撃を避けたせいなのかよく分からないが筋肉痛みたいに体が痛い。


(次の日に来るとは俺まだいけるな…)


起き抜けの頭でボーッとしながら俺は昨日の事を考えていた。


(はぁ〜今まで生きてきて1番濃い1日だった…。ファミレスで彼女と別れ話をして、フスマから異世界に行ってそこで娘ができて、コンビニで不良に絡まれる……。あーそうだった、押し入れボックス忘れてた…駄目だ自分でも余りに濃すぎて全く意味がわからん………。)


そしてふと昨日のコンビニでの出来事が気になった。


(しかし、あのゴリラ君のパンチ…あれ、ゴリタ君だっけ?が妙に遅く見えていたのは何だったんだ?異世界に行った事と関係があるのは間違いないとは思うんだが情報が少な過ぎて現段階ではさっぱり…だな。)


だが分からない事を考えても仕方がないと思い直し、俺はこれ以上考えるのをやめた。


考える事を放棄した俺は、とりあえずタバコを吸いに換気扇の下へと移動した。


そして昨日、俺は1つ寝る前に決めた事があるのだ。


リノアに異世界の説明をする必要もあり、何より一緒に暮らす事になったばかりでいきなり1人っきりにするのも心配だ。


だから俺は有給休暇を使う事にした。


1番の理由は疲れすぎて俺が行きたくない!


(どうせ、使わずに消えて無くなるんだし別にいいよな…)


そうと決まればさっそく電話である。


(んー何だろ……有給休暇使うだけなのにこの彼女に隠し事がバレた時の様なソワソワ感は……早く電話してこのソワソワを消さねば!)


俺は何故だか緊張しながらスマホで会社に連絡を入れた。


「あ、もしもし、おはようございます。紺野でしゅ………(くそっ噛んだ)あ、はい、実はですね、ちょっと体調が……あ、そうです、はい、それで有給休暇を…あ、はい、5日くらいで、そうです、そうです。それでは、はい、宜しくお願いします。」

小さく息を吐いてスマホの通話を切った。


(うん、上出来なはず、噛んだけど…)


会社への連絡も終わり、リノアの方を見てみると何故か起きていて固まっていらした。


「おーい、リノアさーん?」

リノアの目の前で右手をヒラヒラとさせた。


「起きてるかー?」


「・・・・・・・・・・」


反応がない。しばらくまっていると。


「どーこーこーこー!?」

リノアは急に大声を上げて周囲をキョロキョロとしはじめた。


(うん、そうなるよな!わかるわかる。)


俺は朝食の前に先に説明をすることにした。


「リノア、まずはおはよう。」

ほっぺを両手でプニプニした。


「パパ〜ここどーこー?」


(あれ、俺娘におはようっていうの秘かに夢だったのに…)


「リ、リノア、これから色々説明するから、とりあえずお茶でも飲むか?」


「ん、飲む。」


俺はお茶の入ったコップを2つ用意して、2人掛けの小さなソファーに座りながら説明をすることにした。


「信じられないかもしれないけど、ちゃんと説明するから最後まで聞いてくれな?」

真剣な目をしてリノアを見つめる。


「‥良くわかんないけど、うん、分かった。」

リノアも真剣に頷いてくれた。



それから俺はゆっくりとお茶に口をつけて渇いた喉を潤した。


ここが異世界である事。


初めて会った時言葉が伝わっていなかった事。


今いる場所が俺の家である事。


昨日の部屋は隣にある事。


ここが地球の日本という国である事。


部屋の明かりがついたのは電気という技術である事。


水が蛇口から出てくるのはこの国では当たり前に行われている事等


本当に言い聞かせるように丁寧にリノアへ説明を続けた。


ゆっくりとリノアへと視線を向ける。


「どうかな?信じてもらえるかな?」


「・・・・・・・・・・・やっぱり…夢の国。」

リノアは腕を組みながら何か呟き少し考えはじめた。


「あのね…わたしは…その…」

もじもじとしながら俺の腕を掴んできた。


「納得できない事があるなら遠慮せず聞いていいぞ?」


「ここが何処なのかなんとなくしか理解できてないんだけど…どうしても気になる事があるの……」

不安気な表情でこっちを見つめてきた。


「何処にいても、わたしは…パパの娘でいいんだよね?」

泣きそうになりながら更にこっちを見てきた。


(えー気になるとこそこなの?何この可愛い生き物…)


「パ、パパ?」


「いやいやいや、そこは当たり前だろ?異世界だろうが、何処だろうが、リノアが娘であることは絶対かわらん!!」

そう言って俺はリノアを抱えて膝の上に乗せた。


「うん!!じゃ、他はどうでもいい!」

リノアはニコニコしながら俺に背中を預けてきた。


「いや、どうでもは良くないだろ…」

俺は呆れた声で言った


「んー要はパパは遠い国からきたってことでしょ?…というか夢の国」

言葉の最後にボソッと何かを呟いた気がしたが小さすぎて聞き取ることができなかった。


「んー?そうと言えなくもないのか…?」

俺が少し考え込んでいるとリノアが尋ねてきた。


「あーでも、パパ何で話せるようになったの?」


「んー俺もわからん、1度気絶したことあったろ?あの後何故か言葉がわかるようになってた…」


「ふーん、パパ何か()()でも使った?」


「え?何だって?」

無意識に難聴スキルが発動した。


「だーかーらー倒れる時に自分を守ろうとして魔法使ったりした影響かなって思ったの!」


俺絶句である。


「・・・・・・・・」


「ま、魔法だと……」

ワナワナと震えながら俺は言った。


「う、うん…?どうしたのパパ?」


「リノア!!!」

俺は大声でリノアを呼んだ。


「は、はい!!『あぐぁぁっ』

驚いたリノアが急に立ち上がり俺の顎へとリノアの頭がHITした。


だがそんな事は今はどうでもいい。


「バ、バーレニアには、やっぱり、ま、魔法があるの…か?」

俺は蹲ったまま確認した。


「え?う、うん、普通にあるけど…ちょっと、パパ大丈夫ー??いきなり大声出すからだよー!!今のはわたしのせいじゃ無いからねー!!」


その後、大慌てしたリノアを宥め、魔法について詳しく教えてもらった。


アニメやラノベである様な詠唱をしてド派手に撃ちまくると言うものではない様だ、また体を綺麗にしたりするような生活魔法も存在していなかった。


もちろん、攻撃用に炎を出したり、風を起こしたり、土で攻撃をしたりと言った事はできる様なのだが、バーレニアでは魔力の量と質に重点が置かれている事が分かった。


まず、魔力量なのだが、これはアニメ等と同じく、大きければ大きいほど、戦闘で有利だという。


身体能力を向上させるいわゆる“身体強化“の魔法も存在していた。


バーレニアの戦闘では主に炎を出したりするよりもこちらがメインとして使われていることも分かった。


身体強化は魔力を持っている人間なら誰でも使う事が可能だという。


ここでも魔力量の差で身体能力強化で〝纏う“事のできる魔力に差が如実に現れるという事だ。


どういう事かというと、身体強化を使うと誰でも等しく能力が10上がるというものではなく、魔力量100の人が身体強化を使うと最大で10しか上がらないが、魔力量10000の人が身体強化を使うと最大で1000上がるという事らしい。更に訓練により纏える魔力量を調節する事も可能だという。


又、持続時間にも差が現れると言う。


そしてこの魔力量だが個人差が激しく、血筋などによっても遺伝したりするみたいだ。


人には魔力の器と呼ばれるものが存在しその器に大気中の魔力を体内の魔力として吸収、貯蓄出来るらしく、その器が大きければ大きいほど魔力量が多いと言うことになるとの事だ。


そしてこのサイクルは戦闘中に即吸収というような永久機関は不可能らしい、ずっと使っていると必ず魔力の方が先に切れると言っていた、吸収量より消費量の方が多いという事だろう。


まぁ、そうでないと俺の感覚から言うと国民全員が大賢者の国になってしまう。


また、バーレニアではこの魔力を使った道具が希少品として存在している様だ。


(それ、この指輪それなんじゃねーの!?)


ちなみに魔力の質についてはよくわからない様だったので、頭をわしわしして『ありがとう』とだけ、つたえておいた。


ただ、リノアの説明を聞いているとやはり完全に理解しているようでは無さそうな印象を受けた。


魔力には何かもっとある様な気がしてならない。


しかし、リノアが8歳と言う事を考えると出来すぎなのも事実で、正直凄い助かってはいるが、いったい誰からもたらされた知識なのか少しだけそこも気になった。


気になりはしたが勿論感謝は伝えるべきである、なので俺は。


「リノア天才!マジ大先生、最高〜♪もう今度お布施しちゃう!」

褒め称えておいた。


「なんか全然お礼言われている気がしないのだけど…寧ろちょっとバカにしてない?」

何故かジト目で睨まれた。


(うん、可愛らしい!)


「はぁーホント、パパって残念な感じだよね?」


そう言って溜め息をつかれた。


…何故に?


(しかし、魔力かぁー…器の話とかは分かったんだけど、実際どうやって魔力量増やすんだ?レベルとかあるのかな…)


俺はふと自分にも魔力が有るのかどうかが気になった。


「なぁーリノア、この魔力があるか、どうかってすぐわかるのか?」


「うん、わかるよー?」

と言いながら指先にライターくらいの火を灯した。


「うお!!!」


「凄えええ!!!うちの娘は魔法少女やってましたぁぁ!!写真だぁ!記念撮影!写真撮らねば!」


俺は大興奮で、スマホで撮影した後そのままリノアの脇を抱え上げ『高い高い』をしてしまった。


「わ、わかったから、少し落ち着いて!ちゃんと説明させて!!」


足をバタバタさせて抗議の声をあげてきた。


「あ、すまんすまん、初めて魔法みちゃったからさー」


「ま、全く!ホントしょうがないんだから!」

口調は怒っているが表情はにへらっとしていた。


リノアの説明によれば各種属性の状態を想像して使えば、魔力を持っていれば発動するとのことだった。


ちなみに魔力量を量りたければ教会へ行って有料で水晶により調べる事が可能らしい。


(水晶の事はよくわからんが、火はライター、水は水道やシャワー、風は扇風機やエアコンなんだろうけど、土って何だ…?アニメの魔法でも想像すればいいのか?いや、それでいけるなら全部アニメでいけるんじゃね?)


さっそく開始しようかと思ったがスマホで時間を確認すると9時30分を過ぎていた。


(ふむ、とりあえず昨日何も食べさせてないし朝飯が先かな…。)


俺は測定中にリノアへ朝食を食べさせる為に昨日買っておいた、オニギリや、パンをテーブルの上にひろげた。


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