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チートなはずなんだけど。  作者: 究極のモブ
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あ、もうなんか…めんどくさい

目が覚めた。…あれ、なんでベットにいるんだろ。あの後、あの後…あ、そーだ。疲れてたから寝ちゃったんだった。お兄ちゃんが運んでくれたのかな。まあいいや、起きよう。

着替えて、下に降りようとドアに手をかけると、カタンと後ろから音がした。振り返ってみても、何もない。空耳か。


カタン


ん?振り返る。何もない。


ガタガタ


今のは完全に空耳じゃないでしょ!と思いながら振り返ると、なんかあの、剣が…。剣が揺れてるんだけど?そう、あの馬鹿でかい剣がガタンガタン揺れてるんだけど。え、何、怖。逃げよ。部屋から出ようとすると、


「こら!待てよ!」


て可愛い声が聞こえてくる。ええ…。何?ゆーっくり振り返ると、さっき剣があった場所にショタがいた。そう、ショタが。


「え、っと。…あのー、もしかして剣の妖精的な?」

「違う!オレは妖精じゃない!聖剣シグニール!剣に宿ってるんじゃなくてオレ自身が聖剣なの!」

「え、ショタじゃん…。」


反射で言ってしまう。だってまさかあの馬鹿でかい剣がこんなちっちゃいとは思わないじゃん。シグニールは不思議そうに首を傾げてる。


「ん?しょた?ってなんだ?」

「いや、なんでもない。で、シグニールは何で急にその姿になったの?」

「オレ、もう、あいつに使われないよな?」

「あいつ?」


あいつって、誰?私の前に使ってた人って事?誰?うちの倉庫にあったっぽいからお父さんかな?いや、でも違うか?


「あいつ…。ファーガスのバカヤローのこと!!!」


あ、お父さんでした。てかバカヤローて。何やったの、お父さん。


「あいつは…あいつは、色々やってきたんだ。まず、ほんとはもっと小さい剣のオレに「もっとでかくなれないか?そうだな…。とりあえず俺の背より高く。」とか無茶なこと言ってきて…」


お父さん…脳筋なの?普通のイケメンなはずじゃなかったの?小さい剣にでかくなれとかほんとにバカなの?ねえバカなの?


「それで戦う時にはぶん投げるわ、谷に落とすわ、岩にぶっ刺して抜けなくなるわ…」


…何やってんの?聖剣粗末に扱い過ぎじゃない?投げるはまだいいとして、谷に落とすって何?あ、手が滑った。って落とすの?それともわざと落とすの?どっちにしてもバカじゃん?いや、それより岩にぶっ刺すって何で?ぶっ刺す意味なくない?剣を岩に刺すとかバカじゃん。ほんとにバカじゃん。


「挙げ句の果てにはここにきてからボロ布に包んだまま暗くて埃だらけの倉庫に放置!」


お父さん…。今お父さんの評価はゼロに等しいよ。クズいよ、やってることがだいぶクズい。これはバカヤロー呼ばわりされて当然だわ。かわいそうにシグニール。


「…で、オレもうあいつに使われないよな?」

「大丈夫、私が丁寧に使うから。」

「ほ、ほんとか!?よかった、あのバカヤローに使われなくて。…あれ?」


シグニールはほっと胸をなでおろした…と思ったら首を傾げる。ん?私も首を傾げる。


「お前…あいつの娘、だよな?」

「え、ああ。そうだけど。」

「…いやだ。」


ボソリと何かを呟いて、震えだすシグニール。


「シ、シグニール?大丈夫?」

「あんなバカの娘とか絶対バカに決まってる。何も考えずにぶん投げとけばいいやって思ってるに違いない…。」

「いや、勝手にバカ認定するのやめてもらっていいかな。」


失礼な。私は何の考えも無しに投げたり落としたり岩にぶっ刺したりしないよ。てか出来る限り丁寧に扱うって。それに、こんな可愛いショタ投げれるわけないじゃん。ほんとに必要な時以外は。まあその時になったらシグニールにしっかり許可とるし。


「…投げないか?」

「シグニールの了承がなかったら投げない。」

「落とさないか?」

「それもシグニール次第で。」

「岩に刺さないか?」

「刺す時なんてほぼないでしょ。」


シグニールはじっと私の顔を見つめて、ため息をついた。


「分かった。ファーガスに絶対に触れさせないなら、使わせてあげてもいい。」

「じゃあ、お父さんに…」

「ん?呼んだか、アメリア。」


んんん!?お父さん?ここで登場しちゃいます?タイミング悪過ぎ!驚いて振り返ると、お父さんはシグニールを見つけて、


「シグニールか。」


と言った。…ん?あれ、ちょっと待って、お父さんはシグニールのこの姿知ってるの?え、それでもしかして投げたり色々してたの?こんなに小さいのに?見た目こんなだよ?可愛いんだよ?私より2、3歳くらい上にしか見えないのに、色々やってたの?え、超鬼畜じゃん!?うわぁ、今評価マイナス行ったよ。


「…ファーガス。オレは!お前のこと!一生許さないからな!この!バカヤロー!!」


シグニールがめっちゃ大声で叫ぶ。そしてそのまま私のベットにダイブして布団をかぶってしまう。お父さんは、なんか1人でおろおろしてる。さっきの大声でお母さんが上に上がってきて、なんか外も騒がしい気がする。

…なんかもうめんどいわ。

布団をひっぺがして、シグニールの手を引いて、お父さんを押しのけて下に降りていく。…これからお父さんとシグニール絶対近づけないようにしよう。

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