目覚めた日 午後2
森へ行こうとすると、キャロお姉ちゃんに声をかけられる。
「あ、ファーガス。何を狩りに行くの?」
「ああ、マンティコアだ。」
「あら、そう。最近森を荒らしてるやつね。それはアメリアが?」
「ああ。俺は別の獲物を狩るからな。」
「ふーん、そうなのね。じゃあ、頑張ってね、アメリア。家から応援してるわ。」
キャロお姉ちゃんはニッコリ微笑んで私の頭を撫でた。そして、家の方に帰って行った。…え、え、待って。なんで?マンティコア狩り行くんだよ?なんで止めないの?え、おかしくね?お父さんはまあ脳筋キャラ作ってたし、今更それを撤回するのも私に悪いとか思って言わないだけかと思ったからさ、まだ分かるんだよ。でもなんかおかしくね?なんでキャロお姉ちゃんまでサラッとそのことスルーしてんの?普通止めるよね?え、止めるよね?もしかしてお姉ちゃんまで狂ってるんですか?おかしいと思いませんか?ばかなんですか?え?
「おーい、アメリア。大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫!」
「そうか。じゃ、ここをまっすぐ進んでいけばマンティコアを遭遇するはずだ。俺は別のところで狩りをしてるからなんかあった時は、時はその剣を振り回せば何とかなるから、がんばれよ。」
うん、ちょっとおかしいの分かる?普通はね?なんかあったら俺を呼べ的な感じのこと言われると思うんですよ。でもね、今剣振り回せばなんとかなるって言ったんだよ。脳筋キャラ抜けてないんじゃないの、お父さん?そしたら、脳筋の時の前歯キラーンみたいな笑顔じゃなくて、優しいイケメンスマイルなんだよねぇ。あれ、お父さんやっぱ狂ってる?
「う、うん分かった。アメリア、頑張るね…!」
「ああ。じゃあ、マンティコアを狩り終わったらここで待っててくれ。」
「うん!じゃあ、行ってきます!」
「ああ、行ってらっしゃい。」
私は森の中へ入っていった。
「あのままマンティコアに会わなかったら聖域に入ることになるが…大丈夫か。さて、俺は美味い獲物でも狩りに行くとするか。」
「んー、いないなー。」
まっすぐ行けば会えるって言ったけど、中々出てこない。そう思った瞬間、ガサリと近くの茂みが揺れる。マンティコアか!?…なーんて、そんな都合いいこと…人間みたいな顔、ライオンっぽい体、それとゆらゆら揺れる尻尾、それの先についてる尖った針…わー、マンティコアだぁ!本物初めて見た!体赤いんだね!…死ねよッ!いや、私が死ぬよ!全速力で駆け出す。てかなんで村の方から出てくんだよ!退路塞がれたじゃんか!バカやろぉぉぉぉぉぉ!それよりあのタイミングででてくるか、ふつー。都合よすぎかよ!ご都合主義かよ!最悪だよ!
剣を引きずったままひたすら走る。それで追いつかれない私も凄いけどさ、ていうかなんで追いつかれないのか謎なんだけどさ。だって幼女だし、こんなクソでかい重い剣持ってんだよ?なんで追いつかれないの?異常だよね、これ。まあ追いつかれないならいいんだけどさ。でね、ちょっと笑えるのがマンティコアが疲れてきてる事だよね。さっきよりスピード落ちてんだよね。…で、もしマンティコアが消耗して止まったらどうする?全く考えてなかった。…あ、これもうあれだ、お父さんが言ってた剣振り回すやつやればいいじゃん。
さっきよりスピード出してマンティコアから距離を取ると振り返る。そして剣を思い切り横振りした。すると突っ込んできたマンティコアが切れた。具体的にはかなりグロいから言わないでおくことにするけど。まあグロ耐性あるから私的には特に問題ないんだけど。うん、お父さんの言う通りだった。狂ってたわけじゃなかったんだね、お父さん。良かった良かった。で、マンティコアはどうしようか。…あれ?そういや私チート能力色々つけさせたんだった。確か無限収納もその中にあったはず。えーっと、手をかざして
「収納…?」
でいいのかな。すると、シュッとマンティコアが消えた。おお!便利!あ、ステータスまだ確認してなかった…!でも、後ででいいか。とりあえず帰ろ。さっきマンティコアがおってきた方の道を辿って帰る。マンティコアがなぎ倒してった木々のおかげで帰り道迷わなくて住む。便利だ。ま、そんなんどうでもいっか。走り出すと、思ったより早く光が見えてくる。あ、もちろん剣は持ってるから大丈夫。あー!帰れるー!最高!
今日は帰ったらステータスの確認とスキルを試してみよーっと!