ストーカーの神様に殺された
「ふんふふんふーんっと」
私は走り慣れた通学路を大声で歌いながら自転車で全力で飛ばした。
なんたって今日は録り溜めておいたアニメを一気見する日だから!早く推しを拝みたいぜ…ぐふふ。
あともう少しで家!って思って角を曲がった瞬間だった。
真正面から脳みそ破裂するような衝撃が来た。そして急な浮遊感に襲われて、そのままぐんぐん上昇していく。手、足、首、顔にすらちからが入らず、心臓あたりがやけに引っ張られる感覚がする。痛くはないのに。なんの抵抗もできないまま気がつくと優しく平らな場所に降ろされた。
ん?平らな場所?なんで、今までずっと上に上がってきたのに?え、もしかして天国とか?ww
『はぁぁぁぁぁぁ…!!やっと会えたね。』
え?何、誰?急に何…?こわ。なにやっと会えたって!怖スギィ!なに?!!
『ああ、ごめんね。嬉しくてつい…。』
肩くらいまでの金髪、整った中性的な顔、高くも低くもない身長、透けるように白い肌、の男にも女にも見える…。絶対人じゃない。
うひょおあああ!めっちゃ綺麗じゃん。やっば、灰になる…。んで、この人いまやっと会えたね。と嬉しくてつい…って言った?え、なんで?私の事知っちゃってる感じですか?
『うん、知っちゃってるよ。はぁぁぁぁぁぁ!やばい尊い…。抱きしめたい。監禁したい…。』
あ、やばいやつだ。こいつ今完全に監禁したいって言った。しかも私の考えてること分かってるわ。心読んじゃってるやつだね、うん。え、何なの?私はあんたのことなんて知りませーん。てか何が尊いの?平凡な見た目に中身は超絶オタク厨二病高校生っていうとんでもなくおそらく最高に気持ち悪いある意味最強の私のどこに尊い要素があるのか全く持って理解できない。それともそういう好み?趣味悪いデスネー。
『どこが気持ち悪いの?君は僕の最高傑作なんだよ?何なら君のためにこの世界を作り変えたっていいんだから。君の気に入らないものは全部消してあげる。どうしても我慢できなくて君を殺すようなことになっちゃったけど…痛みはなかったでしょ?』
ん?今殺したって言った?私のこと尊いっていう謎の人が私を殺した犯人?せっかく推しを拝める1週間の中で1番楽しみで最高の時間を奪ったのはこいつ?それと最高傑作?って何。色々意味わかんないけどさ、とりあえず自分のために動いたってことでしょ?自分のためだけに私の癒しを奪ったんでしょ?いや…まじで死刑。
『ああ、ごめんね。そんなに怒らないで、君を殺しちゃった代わりに何でも言う事聞いてあげるから。まあ、君の願いなら何かわ代わりじゃなくてもきいてあげるんだけどね。』
うん、とりあえずあんた誰
『んー、ボクは神様だよ。あ、一人称はボクでいいよね?』
いや、私に聞かないでもらえるかな。それで神様って…厨二病ですか?同士ですか?
『いや、ほんとだよ?ボクは神。この世界を創造した唯一神ってやつ。それで君はボクの作ったものの中で1番のお気に入りなんだ。ほかの神が「1人のヒトに肩入れすると世界の均衡が崩れる。」とかいちいちうるさいから黙らせたけど。まあ!そんなことはどうでも良くて、とりあえずボクは君のことを待ってたんだ!何が欲しい?なんでも聞いてあげる!』
いや、今さらっと怖いこと言ったね。下っ端を黙らせるって言ったよね。え、こわ。てか下っ端って何?こわい。いちいち怖い。
『そんな怖がらないで。君には絶対危害は加えないから、ね?』
いや、ね?って言われても!んー、願い?今すぐ生き返りたい。推しを拝みたい。
『ごめんね、生き返らせることはできないんだ。君はもう死んでしまったから。…出来なくはないけど。』
え、何?最後の聞こえなかったんだけど。ワンモアプリーズ。…ん?え?生き返れない?はあ??なんでも聞いてあげるとか言っといて?意味わからん。はい、死刑。
『いちいち死刑って言うのやめよう?君が喜ぶと思って転生の準備してたんだけど…しない?』