閑話 瞑想部屋とアルジェブラな1日
閑話なので少し短いです。
前話のバイトで常軌を逸した根性を見せつけた正弦。今回の閑話は、そんな彼が根性の片鱗を見せた別の場面を描いた物です。
瞑想部屋に入って1年ほど経ったある日のこと。半年間ぶっ通しで解析学のことばかり考えていると、流石の俺でもマンネリ化してくる。
というわけで、戦闘波とは一切関係ないが今日は気分転換としてガロア理論について考えてみようと思う。
出発点は原点にして頂点、2次方程式の解と係数の関係だ。
2次方程式の2つの解をα,βとすると、2次方程式の係数はα+βとαβによって表される。そして、α+βとαβは共に対称式なので、この2つの解を入れ替えても2次方程式の係数は変わらない。
これが「任意の2次方程式は代数的に解ける」ということの根拠となるわけだ。
3次方程式についても同様だ。3次方程式の全ての係数は解の対称式として書くことができる。そして、これがまた「任意の3次方程式は代数的に解ける」ということの根拠となる。
4次方程式についても・・・ちょっと待て。この方針で続けてると日が暮れるぞ。
ここら辺りでちょっと方針を変えて、解と係数の関係からラグランジュリゾルベント、果ては対称群の正規列の話へと発展させていくことで、「5次以上の方程式は必ずしも代数的な解を持つとは限らない」という結論を導くのだ。
これを考案した数学者ガロアはフランス王権に対してデモ活動を行う前に「時間がない」と書き記したそうだ。
だが、今の俺はといえば当時のガロアとは正反対で時間はたっぷりある。というか、時間しかない。
せっかくだからやっぱり4次方程式の解と係数の関係を全部出して時間を持て余そう。
・・・この他にも、4次、5次の対称群の正規部分群(右剰余類と左剰余類が等しくなる部分群。これの剰余類は群になり、剰余群と呼ばれる)を、置換を全部書き出して調べるなどと無駄なことばかりしていたので、俺のオフの1日は矢の如く潰えてしまったのだった。