閑話 永遠に二十歳でいる方法
特待生合格を言い渡された次の日のこと。俺は、閻魔大王の説明を思い出しあるシミュレーションを行っていた。
まず、出発点となる閻魔大王の説明。それは、以下のようなものだった。
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この世界では、戦闘能力が高い人ほど寿命が延びる。具体的に言うと、戦闘波の周波数60Hzまでは一律で寿命は80歳。それ以上になると、その人の周波数を60で割った数値が余命にかかる倍率となる。
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これを元に、「自分の年齢を(60Hz以下の一般人で言うところの)20歳に収束させる方法」を具体的にシミュレーションしていこう。
まずは、生命力という概念を仮定する。これは、生きることで刻々と消費されていき、0になると寿命が尽きるというものだ。閻魔大王の説明に「余命」という単語が出てきた以上これを仮定するのは順当だろう。
戦闘波の周波数をαHz、人が生まれた時に保持している生命力の総量をC、人が生まれてt年後における生命力の消費速度をf(t)、寿命を全うする時刻をxと置くと、
が成立する。
俺は転生した時点で10才なので、生まれた時既にC/8を消費した状態だと言える。「永遠のハタチ」を実現するには、転生した瞬間から消費される生命力量がC/8に収束するようにしなければならない。要は、
となるようなα=g(t)を考えるということだ。
生命力の消費速度から逆算していくとしよう。適当なp∈(0,1)をとって
この値が生命力消費が収束する値だ。これをC/8にしたいので、
p≒0.905だな。
つまり、転生からt年後の戦闘波の周波数g(t)がg(t)=60・e^(t/10)となるよう自分を鍛えれば自分の年齢は(一般人基準の)20歳に収束するので、それを目標にしようというわけだ。
文字通り指数関数的な成長が求められるが、正直そこまで無理難題とは思えない成長率だ。しっかり守って永遠のハタチとして生きようじゃないか。
生命力の総量に個人差はありませんが、種族間での差は1つだけあり、エルフだけ生命力の総量が5Cです。ただ寿命の原理は全種族差異はないのでα≦60のエルフより長生きする人間はいます。
あと当然のことながら寿命を全うするのは珍しく、生命力の枯渇より病気や事故で死ぬ場合の方が圧倒的に多いです。