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「ツイてない」言語記号使いの生活  作者: 七夕 和水
俺は「ツイていない」
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プロローグその2(前編)

「———というわけだ…藤木君…すまない…すまない…!

すべてはこの馬鹿がやらかしたから許して…といっても許せないと思うが…」

「いた…痛い!蹴らないで!手が滑ったんだから仕方ないでしょ!いた、おい!血が出たぞ!おっさん…やめろ!戦神だろおっさんは!すぐ直るからって言っても痛いのは痛い!」

「うるせぇ!てめぇは権利はく奪されてもおかしくねぇんだぞ!このクソ神!庇わなかったらてめぇは消えていたんだぞ!これくらい当たり前だ!」

「そんなことより早く藤木君に謝れ!この馬鹿!それに戦神もおとなしくしろっての!頼むから!収集つかなくなる前にやめてくれ!」



比較的イケオジ…とでもいうのだろうか。仕事できそうな感じの…30代後半くらいの見た目だろうか。スーツを着たイケオジな神が謝罪したり怒ったり…

戦神と呼ばれた和風な服…というより作務衣をきたちょい悪なおっさん…?が簀巻きにされている派手な格好な…チャラい感じのお兄さんに蹴り入れまくっていて…そのチャラい感じのお兄さんは笑ってるんだか泣いてるんだかわからない顔だし…



「あ、あのー…その、もうその辺でやめてあげてください…見ているこっちが痛くなるから…」



思わず助け舟を出す。ってかほぼほぼ同じことをやられたから…思い出すからやめてほしいというのが正直なところだ。

俺の話を聞いた三人はバツが悪そうに…あれ、なんで…ってそうか神だから俺の過去とか全部知っているのか。



「…すまない、いろいろ思い出させちゃうな…おい!この馬鹿!いつまでも痛がる振りしてないで藤木君に感謝と謝罪を早くしろ!」



イケオジな神が言うと簀巻きになっていたチャラいお兄さんの縄がふっと消え…

すぐさまチャラいお兄さんが立ち上がり…見事な角度でこちらに頭を下げてながら謝罪してくる。



「…その…あまり痛みを感じないとはいえ、リンチまがいな状況から助けてくれて助かったし…神としてすまなかった。痛みは感じなかったと思うが…ってそんな話じゃねえよな…俺は何されても文句いえねぇ…俺うまい具合に言葉が出せないけど…すまねぇ!許してもらえないと思うが…すまねぇ…」



…俺としてはいきなりだったうえになんか現実なのか夢なのかあやふやだし、それに…あんな救いもないような状況を変えるならばこれもいい機会なのかなとか思いつつ、目の前で必死に謝罪をしてくるお兄さんに話しかける。



「…いいですよもう…頭上げてください。それに神の都合で殺してしまったから時間を戻すと元の世界に影響が入ってしまって戻れないのも先ほど伺いましたし、正直…生きているだけで地獄みたいな状態だったので何とも思いませ…あ!あの、雷が落ちた後どうなったかとか伺ってもいいですか?」



そうだ、忘れていた。

大切な話を聞かなきゃいけなかったな。一体あの後どうなったのかとか。

すると今度はちょい悪っぽい見た目の戦神が、何とも言えない表情をして声をかけてくる。



「あー、その話についてだが…こちらの不手際なのと、藤木の人生経験から(家族が全員死んだ際に一緒に死んだ)という事実に改変してきた。だから藤木。お前はもうあの世界では死人扱いだ、本当に何も残せずすまない…」



…まあ、それならそれでいいや。叔父に迷惑かけるわけにはいかないしね…

ただ今までの人生が否定された気がして何とも言えない気持ちになったけど。



「…まあ、もう終わったことはいいのですけど…

こんな話をしていいのかわかりませんが二次創作などではこの後いろいろある的な話ありますけど、俺はどうなるんですか?」



そう聞いてみると、イケオジ神が頷きつつ話し始める。


「ではここからは僕が話そう…

普通の人間…まあ、聖人などは別だけど…普通の人間の場合は輪廻転生といって記憶やそういったものを真っ新にして赤ちゃんからスタートするのが基本なんだけど…」


といったところで両手を叩くイケオジ神。

すると何もない場所から木製の机と白い革張りの椅子…というよりソファーだろうか。

それが二つ浮かび上がる。

そしてイケオジ神が座りあとの二人…?神…?はその後ろに立つ。

反対側に座るよう手でジェスチャーされたので座…って何だこのソファー!

ふっかふかすぎるでしょ…えっこれやばいでしょ…

そんな素晴らしいふかふか感を堪能していると、目の前のチャラ男お兄さん神がソファーに手をかけ乗り出して話始める。



「お、気に入ってくれたか!いやー!それは俺の———」

「馬鹿は黙っていろ!今はお前の自慢話じゃねえ!話が進まないだろ!」



まあ、すぐに横に立っている戦神に止められたけど。

そして咳払いをしてイケオジ神がまた話し始める。



「あー…ごほん。すまない藤木君。話を戻すね。君には三つ選択肢がある。

一つ目は通常コースの転生でまた元の世界で何も知らない赤ちゃんとしてスタート。補正として少しだけ幸運を与えた状態でね。

二つ目が、これは僕のおすすめなんだけど…聖人として転生する。聖人といってもまあ、知識だけ持った状態で元の世界で転生。記憶はなし。死んだあと最低でも下級神として生まれるのが確定。…記憶がないのはいじめっ子たちに復讐という考えが浮かぶかもしれないから、だね。

三つ目が、最近いろんな神からの申請やそんなもので作成した異世界に転移。

元の世界の時間で言うと…制作して凡そ一万以上経過しているね。神話的なものは…まあ、僕たち神が人々を救って土地作ったーって話になっているよ。詳しくは向こうで学ぶといい。二次創作とかではやりの異世界転移!ってやつだね。

当然最強チートまではいかないけど…ボーナス補正がいろいろ入るよ。

中世ファンタジー世界だから藤木君の身体能力では苦労するだろうしね。言語理解なども付けてあげよう。お詫びのモノもいろいろある。それに———」


話の途中というのに、その話を打ち切るように戦神がにやにやとした表情で話始める。


「さらに英雄補正でもつけてやればきっと面白———

「脳筋は黙って!そんなものつけてしまったら藤木君がとんでもない運命に巻き込まれること確定だから!」


さらにそれにかぶせるようにチャラ男お兄さん神がさらに話始める。


「いや、ここはやはりチーレムつけたりしてそれはもううっはうはな転生———

「だー!馬鹿は静かにして!今真面目な話してるんだから!」


…目の前で起こっている取っ組み合いはほっといて、改めて考えてみる。

なんという心くすぐる選択肢なのだろうか…!

正直どれも悩む。安全な元の世界に戻るのもいいけど…

…けど。どうせだったらテンプレっていうんだろうか。異世界…だよな。

ぐっと心の中で覚悟を決め、目の前で取っ組み合いをついに始めた神たちに話しかける。


「…俺、異世界に行きます。元の世界に戻っても、いい思い出も何もないので、せっかくだったら転移してファンタジー味わいたいですし!何かがきっと変わる気がするし…ええと…それでどういう世界か説明を———」


そう声をかけると三人は動きが止まりこちらを見る。

…何か間違ったことでも行ったのだろうか。

次の瞬間ちょい悪戦神とお兄さん神が顔を見合わせ、ニヤリと顔を歪め肩を組んで笑い始め…イケオジ神はため息をつく。


「がっはっは!ほーらみろ!やはり男の子だろう?だから最初っから異世界に行く方向で話進めたほうがスムーズだって言ったんだ!」

「そうだぜ!やっぱ魔法!剣!見たことない生物!いやー!ロマンだよロマン!」


それを聞いたイケオジ神は自分の髪の毛に手を伸ばしくしゃくしゃっとかき回し、再度ソファーにドカッと座ってから話始める。


「…だからこの二神をここに連れてくるのは反対だったんだ…藤木君?いいの?言っては何だけど結構血腥いと思うよ?前の世界より死は…っと、その話もしないといけないね。というより二神はさっさと帰って!真面目な話できないんだから!」


そういいつつ、帰ってくれとばかりに片手で追い払う動きをする。

それをみた戦神が肩を竦めつつ、こちらに笑いながら話始める。


「あー、そうだな。ほら行くぞ馬鹿。ワシ等にはめんどくさい話なんだからな」

「…そういやそうだな。まあ、またな藤木ちゃん!謝ってもどうしようもないけど…許してくれてありがとうな!」


あっという間に消えていく二神。瞬きした瞬間にいなくなったと…言ったほうが正しいだろう。

二神が消えたと同時に大きくため息をつきソファーに座りなおすイケオジ神。

一分くらいだろうか。頭を抱えてリフレッシュでもしたのだろうか。再度話始める。


「はぁー…当事者だから連れてこないといけないとはいえめんどくさかった…

さて、ここからが本題だ。異世界の話…だね。

向こうの世界は———」


長かったので分けてその2を投下します。

誤字脱字、改行等々読みにくい箇所あったらご報告ください。

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