プロローグ
俺、藤木 隆一はきっと不幸の星のもとに生まれてきたのだろう。
なぜかって?
いや、運が絡む要素で一回も勝ったことがないし懸賞、くじ引きで当たったことがない…のは事実だけどそうじゃない。
まず生まれからそうだ。生んだと同時に母親は無くなってしまった。
たまたま難産だったらしい。
その後残った家族―——父、祖父母、兄貴、妹。みんな交通事故で亡くなった。
「なぜか」俺だけ生き残った。
それが小学生三年時の話だ。幸いにも家族仲は良かった。とてもいい思い出だ。
そして幸いにも、資産家の叔父がいたので叔父に引き取られ、何とか生活できたが…叔父は忙しい上にほぼ家というか国内にいない。
そして疎遠だった。家族がなくなったときに一言二言話してそれっきり。
それ以来、顔も見ていないし声も聞いていない。向こうは定期的に金を振り込むだけの関係と割り切っているようだ。
…当然そんな状況ならば、俺は一人暮らしをしなければならなかった。
だが、お金だけ支援するとはいえ右も左もわからない子供を
さすがにそこで放り出すほど叔父は鬼畜ではなかった。
家事などの一通り生活できるまでは叔父の手配による家政婦さんを手配してくれた…が。
それも二年くらいだった。そこからはずっと一人暮らしだ。
よくある家政婦さんが期間終わってもちょくちょく~とかそういう話はなかった。現実はつらい。
生活費は最低限叔父が指定の口座に振り込んでくれるので何とか生活できた。
資産家の叔父がいて、金銭面に関して助けてくれたという事と亡くなった家族仲が良かった。
この二つは俺にとって、とても「ツイていた」と言えるだろう。
家族の温かみというものをうっすらだが今でも覚えている。そして叔父には頭は上がらない。
まあ、ここまででもかなりアレな子供時代だと思う。
…そして大体察しはつくと思うけど人間の集団は異物を好まない。…いや好むのもいるかもしれないけどさ。
まあ…なんだ。そりゃあ異物かもしれないというより…扱いにくかったりめんどくさかったりと…まあ、やばいやつと思われたに違いない。
小学校からいじめもあった。
それは中学、高校入ってからもだった。実際えげつないいじめが多かった。
味方は誰一人としていなかった。それどころか先生も一緒になる始末。ストレス発散されているのかと思うくらい酷かった。保護者や外に漏れないよう…徹底的にされた。
そして叔父からの約束と…俺自身希望はまだあると思い、高校ではきっと何か変わるだろうと…全然聞いたことも見たことない辺境の私立高校へ受験し、合格した。…あまり頭がよろしくない高校だったから受験もそこまで苦労しなかった。
入学当初には数人だが…初めての友人ができた。初めて友人と一緒に飯を食いに行ったしゲーセンにも行った。
…だが一か月もしないうちに離れていき…
数か月後にはいじめが始まった。
いじめの最中に聞いたことだがどうやら俺の出身中学、小学校の情報を仕入れた奴らがいたらしく、またもやストレス発散扱いでいじめられた。
先生には虐められなかったし、それとなく助けてくれた担任もいたので…一応最後の希望として相談してみたら…数日後、校長室に呼ばれ…
そこには担任、学年主任、教頭、校長達がいた。さらにこう通告された。
「藤木君…その…だね。学校側として…どうしようもできない。出席扱いにする。だからなるべく学校に来ないでほしい…俺は君のことをそう助けるしかできない…!」
…と男泣きしながら担任の先生に言われた。
「なぜか」生徒の中に逆らえないレベルの不良、そしてお偉いさんの生徒がいたらしく、どうしようもなかった。
逃がすこともできないのでこれで勘弁してくれと遠回しに言われた。
授業内容などは月に一回まとめたものを先生が用意してくれた。表ざたになったら大問題だろうが誰も問題にしない。
もう希望も何もなかった。乾いた笑いしか出なかったよ畜生。
俺も問題にするなら正直高校やめたかった。警察沙汰にでもしてやろうかとも考えた。
でも、俺にはいくところがなかった。耐えるしかなかった。
まあ、やめようとか自暴自棄になりたかったが…叔父との取り決めでどれもできなかった。
それが2年前。
…正直、辛い。物心ついたころから何度亡き家族の墓の前で泣いたことか。正直死んでリセットでもできればいいんではないのだろうかと何回も考えた。
だけど死んだ家族に怒られそうなので自殺もできなかった。泣いてもいい、挫けてもいい。
だけど、何があっても生き抜く。
それが…唯一できる親孝行でもあると思っている。
死んだ家族のためにも生き抜かなければならない。
だが、ここまでだったらネットの掲示板によくある自分語りスレッドなどで
「悲劇のヒロイン乙」
「おいおい対処しようがあるじゃねえか」
「情弱乙」
…とか言われたり叩かれたりで終わるだろう。
…だけどな。今目の前で起こっている出来事は———どうしようもないだろう。
気が付いたら真っ白な空間にいて…そこには自称神とか言っている人…?が数人いて頭を下げてきている。
どうやら俺は死んだらしい。
しかも目の前に簀巻きにされて転がっているチャラ男な神が殺したそうだ。
死因は…神々の宴会で宴会芸を披露した際に雷出して遊んでいたら直撃。無人で動物もいない山に落としたと思ったら…酔いのせいで手元が狂って「たまたまその日に」墓掃除をしていた俺に直撃。
本気の雷だったから即死だったそうだ。
何度も言う。「ツイてなさすぎ」だろ俺。
初めまして。七夕 和水と申します。
本当は他の小説を投稿しようと思ったのですが、ある程度まで書いたところで筆が止まってしまい…
気晴らしによくある異世界転移物を書こうと思い今回投稿してみました。
ほぼプロットなし、書き溜めほぼ無しという無謀な状態で書き殴ってます。
誤字脱字、文面がおかしいなど多々あると思いますがご指摘など頂ければと思います。