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万雷の中でもみつけて

「今、我が国は農業の持つ、本質的な役割を見直すときに来ているのではないでしょうか。今世界各国では食糧安全保障という言葉が使われています。『米つくって飯食えぬ』こんな国で安全保障が語れるでしょうか」

会場からは万雷の拍手が鳴る。よかった。私はほっと一息ついて、会場いっぱいの参加者に深くお辞儀をする。

「みなさん、この藤田市から、農業とくらしを守る宇喜多陽子さんを市長に誕生させてください!お願いいたします」

宇喜多さんの手をとり、高く掲げる。再び会場からは大きな拍手が沸き起こる。・・・よかった・・・。


「梶村さん、今日は本当にありがとうございました。今日の話は本当によかった」

宇喜多さんの選対責任者を務める、共立党の戸川市議が声をかけてくれた。

「ありがとうございます。そういってもらえてなによりです。ありがとうございました」

戸川市議と固い握手をして、会場の参加者を回る。


会場は多くの人で埋め尽くされ、私のもとへも多くの人が駆け寄ってきた。しかし、はるか後方で若い女性になぜか私の目が留まる。

あれ・・・この人は・・ 20 年も昔、僕はこの人に会っていた。間違いない。

大きく澄んだ瞳。光の加減で亜麻色に光る髪は、ツインテールではなく、後ろで束ねて、凛とした美しさを感じる。まっすぐこちらと目が合う。


「和宗くん・・・」口元がそう動いた気がした。


「あっ、、み、深美さん!・・」叫んだつもりがかすれて声が出なかった。


「梶村県議!」

幾人かの年配の女性グループが私を取り囲む。

「握手してください!」

黄色というより茶色かかった嬌声に気を取られ再び目を会場後方にやるともう彼女の姿はなかった。



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