君との邂逅とカレーライスと
・・・「え?」
言葉を失う。私の耳には軽快なジャズが響く。
「覚えてる?」
深美が私の眼を真っ直ぐみて、微笑む。
「あ、当たり前じゃないか。忘れるわけないよ」「み、深美。ひ、久しぶりだね。元気にしてた?」
「うん。和宗くんは?」
「・・・あ、ああ!元気だよ!このとおり!あははは」
何を話していいのか、言葉が頭の中から、次々と出てくるのに、喉で渋滞して出てこない。
一瞬とも、永遠ともとれる時間、ただ僕らは眼をあわせることしかできなかった。
そう、まるで20年前にタイムスリップしたように。
あの頃のような二重顎はないが。
彼女は変わらない大きな瞳と艶やかな口元。
そして、うまく表現できないけれど、身に纏っている空気が、なにか、小柄で細身ながら、凛とした美しい女性へとさらに成長をとげていた。
一瞬にして永遠の時間はいとも簡単に終わった。
「すみませーん!」
向こうのテーブルのサラリーマンが呼ぶ。
「はーい!今いきまーす!」
「カレー美味しいよ。ゆっくりしていってね!」
深美はそう言うと、にっこりと笑って奥のテーブルへと駆けていった。
私は静かに見守る・・・というよりは結局何も話せず、見とれていただけだった。
「へえ。。県議会イチの弁論の達人がこんなになっちゃうとはね。面白いものを見せてもらったよ」
「!!からかわんでください!」
必死に反論を試みるも、ニヤニヤと笑う立花さんに顔が赤いと指摘され、墓穴を掘るばかりとなった。
話を反らすように、この照れ臭い空気を変えるように、私はカレーをかきこんだ。
「・・・なん!うまっ!」
カレーからは湯気と共に芳醇なスパイスの香りが漂う。口に入れた瞬間から辛さとともに旨味がいっぱいに広がる。
重厚な旨味と、鮮烈な辛味がやみつきになる。
あっという間にたいらげ、一息つく。
「で、彼女との再会と、このカレーが、のこり2つの用件でしょうか?」
立花さんはふっと吹き出して笑う。
「はは。実はね、もうひとつあるのさ。聞いてくれるかい?」
「ふう、こうなった以上、選択肢はありませんよ。聞きましょう?」
私は重くなった胃袋をさすりながら答える。
「ありがとう。じゃあコーヒーをもらおうか。すみません!コーヒー2つ」




