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微笑んでいる家族

そっと我が家のドアを閉める。玄関のセンサーライトの明かりが灯り、私は靴を脱ぐ。


誰もいない廊下を通り、二階にあがる。

木造の古い梁と、真新しい漆喰の壁この家を買い、リフォームした際、選挙や後援会の会議など、たくさんの方が出入りする我が家の特性を見越してプライベートスペースは全て二階に上げたのも妻の発想だ。


二階に上がり、リビングの灯りをつける。誰もいない。私はリビングの横にある和室にも灯りをつける。パッと和室全体が明るくなり、私は床の間にある仏壇を開けた。


「ただ今。今日も遅くなってごめん」


仏壇の中にあるのはいつもどおり、仏像ではなく、中心には十字架とマリア像。その下にはフレームに入った写真。写真の中にあるのは、笑顔の妻と娘の顔だった。


静かに手を合わせる。


私は宗教など、人間の気分を紛らわせるものだと思っている。ただ、妻と娘との別離以来、何かの物にすがりたくなった。

たまたま、祖父母、そして父が長崎県の教会で洗礼を受けていたため、拘りのない私は、それにすがっただけだ。


部屋には誰もいない。

ただ、写真の中の妻と娘が生きている頃とおなじように微笑んでいる。

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