だいにわ
二話目です。
よろしくお願いします。
そして今僕は天国らしき所にいる。
僕の周りには何千、何万、数えるのも億劫になるほどの光の球がある。
おそらく自分自身もそうなんだろう。
僕達光の球は、ひたすら前に進んでいる。
目的もなく、まるでそれが正しいと知っているかのように。
それが恐ろしくなり、僕は一足先に前に何があるかを確かめようと思った。
何故か僕だけが他の光の球とは違って自由に動けたから、前にたどり着くまでそんなに時間はかからなかった。
いや、僕にもこれが「前」なのかわからない。
なぜなら僕が行けども行けども光の球の波が切れる場所がないのだ。
その時だった。
空、というか上からUFOキャッチャーのアームみたいな物が降りてきて、それを見た僕は思わず硬直した。
あれはおそらく僕達を回収するための物か…
僕はそう理解した。いや、理解させられた。なぜならそのアームは少し前にある光の球達をごっそりと上に持って行ったからだ。
これは、良くないものだ。
僕は本能的にそう感じていた。
だから僕はとりあえずあれからは逃げることにしたんだ。
あれからどれくらい経っただろうか。
もう時間の感覚などない。
僕はこの時間を食べることに費やしていた。
何を食べるか。疑問に思うことだろう。
光の球がウヨウヨと入る中に、稀に黒い球が紛れ込んでいるんだ。
僕がそれに初めて気づいた時、僕はそれを食べたい、という欲求に逆らえなかった。
むしゃぶりつくような形でその黒い球を食べたら何かが僕の中で弾けたような音がした。
なにが起こったか考えても分からなかったからまぁ、いいかと思って僕は黒い球の捜索を続け、見つけては食べ、見つけては食べを繰り返してきた訳だ。
そして僕はまた黒い球を探している。
ウゴウゴと移動し、黒色を見逃さないように神経を集中させる。すると、前の方に、結構デカめのやつがあった。
僕はそれを認識するとすぐに向かった。
僕がそれにたどり着き、食べ終わるのと声が聞こえたのは同時だった。
「やっと、見つけた。」
この声を最後に僕の意識はまた、闇に消えた。
「ん、んん。なんだ…??」
僕は目を擦り、ん⁉︎目⁉︎慌てて確認すると僕は人間の頃の姿に戻っていた。
あまりの事に放心していると、
「目が覚めましたか。虚戯夢幻よ。」
と声が聞こえた。慌てて周りを見回すと、後ろにすごい美人がいた。
「まぁ、美人なんて。嬉しいわ。」
本当に美人だ。
なんというか、色々と超越した美って感じだな。
あれ?僕美人なんて声に出して言ってないような気がするんだけど…
「心を読んでいるんですよ。」
さぁ、そろそろ僕も現実逃避せずに認めるべきだ。
なにか僕には計り知れない事が起きているって事を。
僕はとりあえずこの女の人と話す事にした。
「あの、僕は、どうなったんでしょう?」
と、とりあえず一番の疑問だった事を聞く事にした。
異世界トリップ、してみたいですねぇ