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1章-3 集結

【ここから読まれる方へ ~簡単なあらすじ紹介~】

ニートで引き篭もりの主人公は、カリスマゲーマーである「ベル」の誘いを受け、オフ会に参加することにしました。

 窓の閉め忘れをチェックしてから家を出た。

 十五坪の細長い二階建ての一軒家。盗られて困るようなものは何もないけれど、これからの一拍二日は家を空けるのだ。きっちりと戸締りしておくに越したことはない。

 

 僕は大きく深呼吸をした。町の中だというのに、空気がなぜか新鮮に感じられるのは時間帯のせいだろうか。

 午前五時。空は東の方角から、透き通るような白さを広げている。自慢じゃないが、いつもならそろそろ眠ろうかという時間だ。こんなに早く身支度を整え、活動を始めるなんていつの日以来だろう。

 

 僕はリュックをかつぎ、出発した。

 ポロシャツにゆったりとしたジーンズ、靴はバスケットシューズという格好だ。もともとファッションにこだわる人間ではないが、今日だけは快適さと動きやすさを考えて選んだ。

 わざと道のまん中を歩いてみた。ひとの姿はもちろん、車もほとんど見かけない。静かな世界に僕ひとり。特別な一日が始まるような予感がした。

 

 昨日の夜はほとんど眠れなかった。日が変わる前にベッドに入ったものの、慣れないことはやはりするもんじゃない。結局、丑三つ時が過ぎる頃まで起きていた。

 しかし睡眠時間が短いにも関わらず、まったく眠気は感じない。どころか、いつもより頭は冴えている気がするぐらいだ。

 わくわくしているらしい。自分のことをそう分析しながら、僕はポケットから一枚の紙を取り出した。


 ベルに教えられたホームページの画像をそのまま印刷したものだ。『オフ会のお知らせ』とタイトルがあり、そのあとに今日の日付と集合場所、集合時間が書かれている。


 あまりにそっけない。アクセスしたときは、思わず面食らった。

 画像が貼り付けられているわけでもなく、デザイン文字に飾られているわけでもない。白地の画面に文字が打たれているだけで、閲覧者の気を引こうという考えがまったく感じられないページだ。


 でもそこには逆の意図があるのだと、僕はすぐに悟った。もしも偶然に誰かがアクセスしてきたとしても、興味を惹くことがないように作られているのだ。まさに限られた相手だけへ向けたメッセージというわけだ。

 

 連絡事項のあとには『当日はアウトドアでのバーベキューを予定しています』とあり、着替え等の用意は各自でお願いするという旨が記されていた。

 僕が嬉しくも驚いたのは、参加費は無料で交通費も主催者側で負担するとあったことだ。さすがに言葉通りに甘えるわけにはいかないだろうが、主催者側の力の入れようがわかる一文だろう。

 最後に、次のようなメッセージが載せられていた。


『心を同じにする仲間たちといっしょに、冒険の世界を実現させてみませんか。PC等の必要となる道具はすべてこちらで用意しています。みなさんにはただ、現実世界での本名や履歴を捨て去った、冒険者のひとりとして参加してもらいたいのです。

 さあ旅立ってください。迷宮の最下層にてスタッフ一同お待ちしています。

                                    ベルより』


 この文章を読んだとき、僕の迷いは吹っ切れていた。

 あのときベルは僕のことを、理想の冒険者だと感じる、と言っていた。きっとその言葉がオフ会の本質なのだろう。そのひとがどこの誰で何をしているかなんて関係ない。ただゲームの中に生きる冒険者として、どういう人間なのかが基準となっているのだ。


『参加して頂ける方は、冒険者であるあなたの名前を入力してください』


 ページの一番下にそんな言葉とともに、空白欄が用意されていた。

 僕は「ニト」と打ち込み、エンターキーを押した。

 

 その瞬間、僕の何かが前進した気がした。他人からすれば取るに足らないことかもしれない。でも僕からすれば、知らない者ばかりが集まるオフ会に参加することは、今までにない英断だ。

 

 ずっとうつむきながら生きてきた僕だったが、このオフ会なら真っ直ぐに前を向くことができそうだった。そしてもしかすれば、これを機に新しい生き方ができるかもしれない。あまりに淡い期待だと知りながら、僕は望みを託す気持ちを抑えることができないでいる。

 ただそんな前向きな思考が久しぶりにできたのも、ひとつだけ根拠があった。


 昨日もやはり『ウロボロス』の世界へアクセスしたのだが、そのとき偶然に、ガッツたち三人と出くわしたのだ。

 今までの僕なら、いかに見え透いていても、あくまで気づかないフリを決め込んでいただろう。ばかりか、さっさと逃げ出すことさえしたかもしれない。

 

 でも僕はちゃんと声をかけることができた。無論、文句や恨みごとを言うためじゃない。同じ世界に生きる冒険者として、また一度はパーティーを組んでいた仲間同士として、ごく普通に挨拶ができたのだ。

 

 残念なことに無視されてしまった。ガッツが『嫌味かよ』と一言漏らしただけで、三人はさっさと行ってしまった。僕が新しく持っていた“水竜の盾”に原因があったらしいと気づいたのはしばらくしてからだった。

 でも僕に嫌な気分はなかった。どちらかと言えば、声をかけることのできた自分を、ちょっと誇りたい気持ちだった。

 

 ホームページから察するに、今日のオフ会では皆で顔を合わせながら『ウロボロス』をプレイすることになるのだろう。そのときも僕は前向きな気持ちを忘れずに、“理想の冒険者”に少しでも近づけるようにしたい。遊びに行くのにおかしな話だが、やるぞ、と僕は気合いを入れていた。

 

 集合場所は岐阜県のM駅となっていた。聞いたこともない町だったが、ネットで検索してみると名古屋からほど近い場所だとわかった。僕の町からは新幹線を間に挟んで電車を乗り継ぐことで、四時間もあればたどり着くことができる。

 

 待ち合わせの時間は十一時。五時の出発となると余裕がありすぎるほどだ。だけど涼しいうちに活動した方がラクだし、なんならあまった時間で見知らぬ町を探索してもいいと、らしくないことも考えていた。

 

 自分の町を離れるときにはまだどういう感慨も浮かんではこなかったが、乗り換えた新幹線が発車したときはいよいよだという気持ちになった。ゲームではいろいろな世界を冒険してきたが、現実の旅行をするのは中学校の修学旅行以来のことになる。

 

 当時はまだ父が生きていた。学校は休みがちな僕だったが、修学旅行へ行けるのは嬉しくて仕方なかったという記憶がある。

 振り返ればあの修学旅行が僕の人生を変えた、遠いきっかけだったようにも思う。

 

 高校の修学旅行には参加しなかった。父を事故で亡くし、一人暮らしをしている男子生徒という存在は、学校側としてもお荷物だったのだろう。金銭的にも苦しく、また家を空けるのは無用心だからと伝えると、担任教師も無理に薦めることはなかった。

 その数日間はやはりゲームなどをして時間を潰していたことを憶えている。あの頃の僕はすでに抜け殻となってしまっていたのだ。

 

 そうやって過去をたどってみると、今さらながらに僕は自分に革命が起きているのだと感じた。少しでも眠っておいた方がいいと目をつむってはみたものの、睡魔が訪れる気配はまったくなかった。

 

 名古屋に着いたのは八時前だった。まだ気温は上がってはいないものの、ホームから見上げる空は今日も暑くなるぞと予告するかのように青々と晴れていた。

 目的地のM駅までにはさらにふたつの電車を乗り継がなくてはならない。時間にして一時間ほどかかる。

 が、その前に僕は激しい空腹感を訴える腹に売店で買った弁当を詰め込んだ。いきなり狂った生活のリズムに体も驚いているらしい。

 

 弁当をつついている合い間に、往来するひとの数は増えていった。サラリーマンと学生の姿が目立つ。今日は平日だ。誰もがしっかり生きているのだと思うと、少しばかりの羨ましさと自己嫌悪の思いが胸ににじんだ。

 

 雑踏を眺めながら腹の具合を整え、少しばかり休憩したときには、通勤ラッシュの時間帯は過ぎようとしていた。

 僕はまた歩き出した。始めて出会う風景の中、駅を探し、時刻表を調べる。何だかすでに冒険が始まっているような気分を味わいながら、僕は目的地を目指した。

 

 名古屋駅周辺には都会と呼ぶべき街の姿が広がっていたが、電車に乗ってしばらくすると田畑と大きな工場が目立つようになってきた。海が近いためだろう、河川と橋の多い風景が続いた。

 電車を乗り継いだあと、やっとM駅にたどり着いた。周囲に店や住宅の並ぶ小奇麗な駅で、少し離れれば田畑が広がっているのが見えた。時刻は十時になろうとしている。

 

 改札口を抜けたとき、僕は不思議な感覚にとらわれた。

 駅前にはロータリーがあり、それを囲む円状に店が並んでいる。ロータリーの中心には広場が設けられており、奇妙な形のオブジェが飾られていた。外の道路へ続くロータリー入り口にもアーチ状の大きなオブジェが建てられていて、洒落たゲートの役割を果たしている。

 

 僕は足を止め、その風景をしばし眺めた。

 初めて訪れる場所だ。それは間違いない。なのにどうしてだろう、僕はここを知っているような気がした。

 既知感。言葉では何度も耳にしたが、経験するのは初めてのことだった。

 

 集合時間まではあと一時間。見て回るような場所もなさそうだと勝手に決めつけ、僕はロータリー内にあるコンビニで立ち読みをすることにした。

 集合場所の目印として記されていたのは、中央に立てられたオブジェだ。そこへ迎えの車が来ることになっている。

 

 僕は漫画雑誌を立ち読みしながら、ときおりオブジェの方を注意していた。

 どんな参加者がやって来るのだろう。そのことを考えるとやはり緊張せずにはいられなかった。

 出会えたことを喜べるような相手を期待しているわけじゃない。普通に接し、普通に話せる相手ならそれでいい。僕のことをつまらない人間だと思わずにいてくれれば……。

 

 やがて時間が近づいてきた。好きな作品が載っていたにも関わらず、雑誌の内容はほとんど頭に入っていなかった。

 僕は店を出てオブジェの前に移動した。約束の十一時まであとニ十分。参加者らしき人間はまだ誰も見当たらない。

 ひょっとして場所を間違えているのかもしれない。ふとそう考え、焦りながらホームページを印刷した用紙を取り出そうとした。


「ねえ、そこのひと」


 不意に声をかけられた。

 若い男だった。長袖のサマー・シャツにカーゴパンツという格好で、左耳にはピアスがはまっていた。だが何よりも目を引くのは、その中性的な顔立ちだ。顎は小さく、輪郭も細い。化粧をされたなら女性と見間違いそうだった。

 男はにこやかな微笑を浮かべて訊いてきた。


「もしかして、オフ会に参加するひと?」

「あ、そうです」


 意表を突かれたような思いで僕はうなずいた。男が「ああ、良かった」と破顔する。


「ジャンヌです。職業は戦士をやってます」


 男は手を差し出しながらそう言った。

 一瞬呆気に取られてから、すぐに意味を悟り、僕も応じた。


「僕はニト。同じく戦士です」


 僕とジャンヌは握手を交わした。ちょっと照れ臭い、奇妙な自己紹介だった。

 ジャンヌは早くに到着していたものの、誰もいないようなので喫茶店で休んでいたのだと言った。


「だってここ、日なただから熱いでしょう。こんなところに立ってたら、日射病になりそうだものね」


 ジャンヌの指摘で、僕はようやく日差しの強さを感じた。どうやら暑さも忘れるほどに緊張していたらしい。

 しかしジャンヌと会えたことで、僕は張り詰めさせていた神経をやっと緩めることができていた。物腰が柔らかでひとあたりの良さそうな彼なら、僕も気負うことなしに話せそうだった。


「ジャンヌさんはよく僕が参加者だってわかったね」

「そりゃわかるよ。こんな辺鄙なところに旅行者らしき風体のひとがいればね」


 いちいちもっともだった。周りを見渡しても、リュックをかついだ人間など僕たちふたりしかいない。

 と、そのときひとりの女性が目に止まった。長い髪とサマー・ジャケットをひらめかせながら颯爽とやって来るその女性も、肩にリュックを引っ掛けている。

 ジャンヌと目を合わせると、彼はウインクをしながら、


「きっと当たりだね」


 と、いたずらっぽく微笑み、すぐさま彼女の元へ近づいて行った。


 見知らぬ女性によくも平然と声をかけられるものだと感心しながら、僕はジャンヌの背中に隠れるようにしてついていく。

 彼女の反応は僕とまったく同じものだった。ジャンヌの自己紹介に目をしばたかせたあと、すぐにうなずき、魔術師のライデンだと名乗った。

 

 続いて僕も名と職業を告げ、彼女と握手を交わした。

 情けないことだが、生身の女性にちゃんと触れるのは、おそらく成人してから初めてのことだった。自然と振舞ったつもりだったが、他人の目から見ればどうだったろう。少なくとも内心では、自分でも困惑するほどにあがっていた。

 

 彼女の口調は無愛想で、表情も硬かった。それが僕を余計にひるませた。

 見知らぬ僕たちのことを警戒しているのだろう。彼女は敵意さえこもっているような目つきで僕たちを睨んでいた。握手をしている間、目を逸らさずにいた自分を褒めてやりたいほどだった。


「ライデンって、男のひとの名前っぽいね」


 挨拶が終わったあと、ジャンヌがそう言って首をかしげた。

 ライデンも負けじとそっけない口調で返す。


「そういうあなたのジャンヌは女性の名前じゃない。オルレアンの聖処女……でしょう?」

「君、いつもそんな風なの?」

「どういうこと?」

「何だか怒ってるみたいで怖いってこと」


 微笑みながら指摘するジャンヌの隣で、僕は大いに焦った。いきなり何を言い出すのか。

 ライデンの視線がいっそう険しくなった。


「ライバル同士、仲良しこよしってわけにはいかないと思うけど」

「まあ、そう言わないでさ。ゲームはフェアプレイでいけばいいじゃない。そんなに張り詰めないで楽しくいこうよ」

 

 ライバルだとかフェアプレイとか、話の筋にいまひとつわからない部分があったが、それどころじゃなかった。一触即発の空気を感じ、僕の緊張感は最高潮に達した。

 が、以外にもライデンの反応は、


「そうね、あなたの言う通りだわ。まだゲームは始まってないんだものね」


 苦笑といっしょにライデンはいくらか表情を和らげ、反省すると言うように肩をすくめた。ジャンヌの方は相変わらず微笑んだままでいる。

 僕はジャンヌの手腕に感服した。あれだけ緊迫していた空気があっさりと流れている。美男子だけに許された魔法を見せられた気分だ。


 それからジャンヌはゲーム中において女性キャラを、逆にライデンは男性キャラを使っていることを白状した。

 なるほど、これもオフ会の楽しみのひとつだろう。ゲーム上の性別や年齢が、そのまま現実と同じだとは限らない。お互いの正体を知ることが驚きであり、発見でもあるのだ。


「だけどわたしが参加者だって、どうしてわかったの?」

 

 またも僕と同じ反応をするライデンに、ジャンヌがリュックを指差して種明かしをする。

「なるほどね」とつぶやいてから、ライデンは言った。「それなら向こうにも変わった子がいたわよ」


 ライデンに導かれ、僕たちは駅沿いにロータリーを抜けた。

 小さな公園に出た。砂場の他には唯一の遊戯具としてブランコが設置してあるだけだ。


 ライデンの言う“変わった子”はすぐに見つかった。

 ひらひらのレースがついた白の服に黒いスカート、頭には黒のリボンが結わえられていた。いわゆるゴスロリ・ファッションというやつだ。

 そんな奇抜な衣装に身を包んだ女の子が、ブランコに揺られている。しかもその手に握られているのは子供の喜びそうな、大きな棒つきキャンディーだ。揶揄するわけではなく、僕はそこに異世界が広がっているように感じた。


「これはなかなか……」


 嬉しそうにつぶやいたのはジャンヌだった。臆することもなく彼女に歩み寄り、早速声をかける。

 僕は公園の外からその様子を見守っていた。唖然として動けなかったというのが本当のところだ。

 いっしょにそばに残っていたライデンが呆れるような口調で訊いてきた。


「彼、変わってるわね。友達?」

「いえ、ライデンさんに会うほんの少し前に会っただけです」


 どう話していいかわからず、ついつい女性に対しては丁寧な言葉遣いになってしまう。

 見抜いたようにライデンは言った。


「もっと普通な話し方でいいわよ、ニトさん」

「え? あ、うん。わかったよ」


 どぎまぎしながら僕はうなずく。会話が途切れるのを怖れて、懸命に話題を探した。さっぱり思いつかない。頭が麻痺したようになって、ただ『早く話せ』という命令だけが繰り返される。

 あと三秒沈黙が続いていたら、僕はきっと、今日はいい天気ですね、などと間の抜けたことを口にしていただろう。そうならずに済んだのは、ひとえに彼女の方から話しかけてきてくれたからだ。


「ねえ、ニトさんはどうして参加しようと思ったの」


 ピンチはしかし続いていた。彼女はその大きくも鋭い瞳をひたと見据えるようにして、僕のことを見つめてくる。その視線には物理的な圧力があるように感じられた。

 僕はブランコの方を眺め、なるべく目を合わせないようにして答えた。


「最初は迷ってたんだけど、こうやってじかに顔を合わせていろいろ話すのも面白いんじゃないかと思ったんだ。普段、ゲームしてるときはひとりでこもってるわけだしね」

「それって本心じゃないわよね。やっぱり警戒されてるってことかしら?」

「え?」


 唐突な言葉に僕は彼女を見返した。彼女はいかにも不審なものを見るような目つきで僕を見据えていた。


「だってそうでしょう。ゲームが始まれば、楽しくおしゃべりなんて言ってられないじゃない」


 僕も眉をひそめた。


「さっきから気になってたけど、ゲームって何のこと? ジャンヌさんともライバル同士とかフェアプレイとか言ってたよね」


 僕の言葉にライデンは目を見開いた。


「何も知らずに来たの?」

「オフ会でバーベキューをやるってこと以外はまったく……」


 ライデンは唇を引き結び、考え込むように視線を落とした。そこへジャンヌがゴスロリ少女を連れて戻って来た。


「やっぱり彼女も参加者でしたよ」


 ゴスロリ少女はキャンデーを手に持ったまま、ぺこんと頭を下げた。


「エステマン神殿より参りましたエルフェンです。もとは神官ですが、冒険者として活動するときは僧侶を生業としております。みなさま、よろしくお願いします」


 丁寧ではあるものの、どう対応していいのか戸惑わされる相手だった。表情の乏しい顔と、焦点の合っていない視線。僕たちには見えない何かを見つめているような、どこかズレを感じさせる雰囲気をエルフェンは持っていた。もちろん“エステマン神殿”というのも聞いたことがない。きっと彼女の空想した設定なのだろう。


 エルフェンはゴスロリ・ファッションをしているということもあって、遠目でいるときは若く思えていたのだが、間近で顔を合わせるとそうではないことがわかった。目を強調した化粧のせいではっきりと判別するのは難しかったが、少なくとも少女と呼べる年齢ではない。


 しかしこうして向き合ってみると、ますます驚かされる格好だ。指には髑髏の指輪、手首には蛇を模したブレスレットがはめられ、ネックレスの十字架は逆さまになっている。額には奇妙な紋章が、目元には涙を思わせるペイントが施されていた。ここに来るまでの道中では、多くのひとが度肝を抜かれたに違いない。


 なのに有無を言わせないような説得力を感じるのは、きっと彼女の堂々とした態度のせいだろう。他人の目にどう映ろうが、彼女自身は自らの格好に微塵も疑念を抱いていない。そう伝わってくるほどに、エルフェンの態度は自然なものだった。


 ひと通りの自己紹介を済ませ、僕たちは再びロータリーへ戻ることにした。時刻もじきに待ち合わせの十一時を指す。

 ジャンヌとエルフェンが並んで前を歩き、僕とライデンがそのあとからついて行く。ジャンヌはエルフェンのことを気に入ったらしく、積極的に話しかけている。対するエルフェンも乏しい反応ながらときおりうなずいているのを見ると、立派に会話は成立しているようだ。どんな相手とも話せてしまうというのは、もはやジャンヌの才能と言ってよさそうだった。


「ねえ、ちょっと」


 そっとライデンが小声で囁いてきた。


「さっきのことだけど、あとでちゃんと説明するから、今は黙っていて欲しいの」

「さっきのことって?」

「ゲームのことよ」

「あ、うん。別にいいけど」


 僕はうなずいた。正直、特に気になっていたわけでもない。

 それよりもライデンという女性を相手に、普通の会話が交わせていることに僕は満足していた。まずは快調な出だしというところだ。


 ロータリーのオブジェ前に戻ると、三人の男性が待っていた。

 もはやパターンと化したように、最初に声をかけるのはジャンヌの役目だ。僕は一歩下がったところで三人の挨拶に耳を傾けた。


「わたしはジゴクマルと言います。でもちょっと言いにくいでしょうから、本名の司馬と呼んでもらって結構です」


 そう名乗ったのは、青ぶちの洒落た眼鏡をかけた男だった。サマーコートを着込んだ姿が、白衣をまとった学者のように見える。


 職業が「忍者」だと聞いて、さもありなんと僕はひとりで納得した。『ウロボロス』で選択できる職業の中でも「忍者」は上級者向けとなっている。僕が司馬に抱いた第一印象からは、あえて上級者向けの職業を選び、ゲームを緻密に解いていくという彼の姿が想像できた。

 だからと言って、司馬に堅苦しい雰囲気は皆無だった。声は静かだがよく通り、物腰も随分と落ち着いていた。小さく丸い顔は若く見えたが、単に童顔なだけかもしれない。

 次に司馬の隣に立っていた男が頭を下げた。


「多賀です。よろしく」


 見上げるほどの大男だった。身長は一九〇センチほどもあるだろうか。がっちりとした体つきに顎鬚があいまって、山男という言葉を連想させた。服装もイメージそのままで、Tシャツの上から袖のないベストを羽織り、下は作業着のズボンに分厚いブーツを履いている。これから山へ木を切りに行くのだと言われても、すんなりと納得できそうだった。

 

 年齢を聞かずとも多賀が最年長であることは間違いなかった。目元や頬の辺りにしわができ始めている。おそらくは四十代の半ばだろう。

 続ける言葉に迷う多賀に、司馬が横から口を挟んだ。


「ゲーム中ではジムビムというキャラ名で、アーチャーの職に就いているそうですよ。でもキャラ名で呼ばれるのはどうも馴染めないということで……」


 大きくうなずいてから、多賀は言った。


「俺はそういうの馴れちゃいないもんだから、本名で頼みます」


 多賀は野太い笑い声を響かせた。何とも豪快な男だ。

 アーチャーという職業もまたぴったりに思えた。多賀なら本当に弓矢だけで熊でも倒してしまいそうだった。

 最後に残ったのは太った体格の男だった。


「ユマノンです。多賀さんと同じくアーチャーをやってます。どうぞよろしくです」


 体格に似合わない、ぼそぼそとこもるような声でユマノンは言った。Tシャツにジーンズという一般的な服装だったが、頭と首にそれぞれタオルを巻きつけていた。それでも汗は吸い取れないのか、こめかみからは濡れた筋が尾を引いている。


 他のみんなはどう思ったか知らないが、僕はこのユマノンとならゲームの深い話ができそうだと直感した。内心を吐露すれば、集まったメンバーのほとんどは僕の想像していた人物像からは掛け離れていた。偏見や先入観を持っているわけではないが、ネットゲームのオフ会にジャンヌやライデンといった美男美女や、多賀のような野性味ある男が参加してくるとは思ってもみなかったのだ。


 三人の自己紹介が済むと、代わってこちらも順に挨拶していった。

 以上七名、これが参加者の全員であるらしい。なかなか個性的なメンバーが集まったようにも思うが、仲間に加われずに辛い思いをするようなことにはならないだろうと、僕は冷静に判断していた。少なくとも七人の顔ぶれを眺めるに、内面にずかずかと入り込まれて傷つくようなことはなさそうだ。そう思えるだけで僕にとっては十分だった。


 お互いの顔合わせが終わったとき、見計らっていたかのようなタイミングで、僕たちの前に大型のワゴンが停車した。

 助手席から降りてきたのはスーツ姿の男だった。その顔には営業スマイルと呼べそうな表情が張り付いてる。


「わたしたち、ヘンな旅行会社に騙されたんじゃないでしょうね」


 小さくつぶやくライデンに僕は苦笑したが、胸中には似たような思いが過ぎっていた。

 男は待たせたことを謝りながら僕たちの前に立つと、気を取り直すように咳払いをしてから言った。


「冒険者のみなさん、はるばるようこそ。私は案内役を勤めさせていただく佐々木です。どうぞよろしく」


 またも先陣を切ったのはジャンヌだった。


「ねえ佐々木さん。あなたはベルのオフ会のひと?」

「ですけど、何か?」

「これって怪しい勧誘とか宗教の類いじゃないよね」

「いやいや、違いますよ。『ウロボロス』の世界を堪能して頂くために……」


 佐々木の言葉をさえぎって、ジャンヌがずばりと問う。


「参加費無料、交通費支給だよね」


 はい、とうなずいたあと、佐々木は営業スマイルを崩さずに言った。


「私ってそんなに怪しいですか」


 ジャンヌも微笑したまま、そうだね、と返した。なかなかキツイことを言う。

 しかしこのやり取りで僕たち一同に安堵感が流れたのも事実だった。どうやらみんな、同じような危惧を抱いていたらしい。


「では信用して頂いたところで」


 そう前置きして、佐々木は乗車するよう僕たちに薦めた。

 車はうしろが三列シートになっており、補助席を使用することで最大十一人が乗車できるタイプだった。

 それぞれの荷物を佐々木に預け、車に近かった者から順に、多賀、司馬、ユマノンが最後列に座っていく。気の毒なことに、多賀は天井が低くて苦しそうだったし、司馬とユマノンは多賀の巨体に押されて非常に窮屈そうだった。

 そのとき佐々木が「おや?」と首をひねった。


「どうやらおひとり、まだ来ていらっしゃらないようですね」


 そこで初めて佐々木は点呼を取り出した。この男、愛想はいいが随分といい加減だ。

 結果、「サブロー」というキャラクター名の者が来ていないことがわかった。


「弱ったなぁ。ちょっと待ってみるかなぁ」


 そんな佐々木のつぶやきに、僕たちの視線は自然と駅の改札口の方を向いた。しかしそれらしき人物がやって来る気配はない。

 日差しはいよいよ強く、先に車に乗っていようかと僕が考えたとき、ライデンが声を上げた。


「ねえ、あれじゃない」


 ライデンが指差したのは、さっきまで僕がいたコンビニだった。ライデンの言う“あれ”が誰なのか、問い返すまでもなかった。


 コンビニの店内、ガラス張りの壁の向こうに、金髪の頭をした男がいた。やはり僕のいた雑誌棚の前で同じように立ち読みしている。ただひとつ違っていたのは、男が雑誌に夢中であることだった。何を読んでいるのか知らないが、ひとりで笑い声を上げているのがわかった。


「ちょっと確認してきます」


 ただちに佐々木がコンビニへ走った。僕たちの見守る中、佐々木が男に接触を試みる。


「あんなのがメンバーじゃないことを祈ってるけどね」


 ライデンはため息混じりにそう言ったが、祈りは空しかった。しばらくの問答のあと、佐々木に連れられて男がいっしょにやって来た。

 密かに落胆したのは僕もだった。わざわざ言葉を交わさなくとも、男が僕の一番苦手なタイプだということぐらいはわかる。すなわち周りのこととは無関係に、何でもひとり勝手に振舞うタイプ。協調性がなく無神経、とまで決めつけては言い過ぎかもしれないが。


「大正解でした。彼がサブローさんです」


 胸を撫で下ろす佐々木の隣で、その男――サブローは「悪ィ、悪ィ」とへらへら笑った。

 金色に染められた髪に鼻ピアス。チェーンのぶら下がった半ズボンに、竜が踊るTシャツを着ている。体格は痩せすぎと言ってもいいぐらいで、肌も病的に白かった。


 意外だったのは、ゲーム中の職業が「忍者」だということだった。印象からすれば『ウロボロス』のような複雑なゲームは、すぐに面倒くさいと投げ出しそうに思えたからだ。

 サブローはライデンを見つけると目を輝かせた。


「まさかこんな美人がいるとはねぇ。無理して参加した甲斐があったぜ」


 差し出された手を、しかしライデンは完璧に無視してみせた。


「わたし、時間にルーズな男って駄目なの」


 そばで見ているだけで僕は硬直した。ライデンはもとの容姿が優れているだけに、ちょっと凄むだけで威圧感がにじみ出るようだった。もしも同じ態度に出られたら、僕は何も言えずに降参してしまうだろう。

 だがサブローは飄々としたものだった。


「あんたのような美人がいるってわかってたら、俺も遅れるなんてことはなかったさ」


 他人に対し自分の思いをはっきりと伝えられる強さと、厳しいことを言われても平然としていられる強さ。僕は両者の応酬を見ながら、僕の持っていない強さを持っているふたりのことを、少し羨ましく思った。


「そんじゃ、お互いの誤解を解くためにも、車は並んで乗って行こうぜ」


 そう言ってサブローはさっさと車に乗り込んだ。後部座席二列目の右窓際席。そこに腰を落ち着けると、隣の席を叩きながらライデンの名を連呼した。

 当然ながらライデンは苦い表情を作った。そして睨まれたのは僕だ。


「ニトさん、先に乗ってよ」

「え、僕が?」

「そうよ。まさかニトさんは、わたしをあの男の隣に座らせるつもり?」

「いや、そうじゃないけど……」

「言っときますけど、前の席に座るってのも却下だからね。あんな男に髪をいじられでもしたらと考えると、ぞっとするもの」


 僕に反論や拒否という選択肢はなかった。

 大きなため息を吐き出したい気分をぐっとこらえて車に乗り込む。愛想笑いを浮かべながら頭を下げたが、案の定、サブローは露骨に顔をしかめて舌打ちした。


 続いてライデンが僕の隣にやって来る。ライデンだけは補助席の固いシートを我慢しなくてはならなかったが、そのことに関する不満はないらしく、冷房の風を受けて涼しい顔をしていた。


 残ったジャンヌとエルフェンが必然的に一列目となった。相変わらずエルフェンは無表情に近かったが、ジャンヌの話にはちゃんと耳を傾けているようで、ときにうなずいては短く言葉を返している。どんな話をしているのかは想像もつかないが、とにかくはたから見てもふたりは上手くいっているようだった。


 うしろに陣取る三人もすでに打ち解けた様子だった。『ウロボロス』についてこれまでの冒険を振り返りながら、話を弾ませている。


 僕はがくりと肩を落とした。どうしてこうなってしまうんだろう。気がつけば僕だけが、戦々恐々とした状況に追い込まれている。


 最後に皆の荷物をうしろに詰め終えた佐々木が助手席に乗り込み、「では出発します」と陽気に声を響かせた。

 大型の草食動物が立ち上がるように、ワゴンがのそりと動き始めた。そのときになって僕はようやく、運転手がいたことに気づいた。考えれば当たり前のことだったが、車から降りず、身動きさえほとんどしないその姿に、それまで意識することがなかったのだ。


 運転手は作業着と思しき紺色の服と、それに合わせた帽子をかぶっていた。うしろ姿から察するに小柄な男のようだった。

 僕はルームミラーを通して運転手の顔へ目を向けた。

 瞬間、僕はひるんだ。

 男は初老に差しかかろうかという年齢に見えた。日に焼けた肌には深いしわが幾本も走っている。ただ運転手として雇われただけなのかもしれなかったが、それでもネットゲームのオフ会に関わるにはそぐわないように思えた。


 だが僕が驚いたのはそんなことじゃない。男の陰にこもったような形相を見たからだった。

 赤黒く日に焼けた顔は、頭蓋骨に皮膚が張り付いたかのように痩せこけていた。目元には浅黒いくまが浮いており、男をいっそう陰気に見せている。左頬には引き攣れたような傷跡があった。

 一体、何者だろう。疑念に眉をひそめたとき、男と鏡越しに目が合った。


 力のある視線だった。しかもそれはとてつもなく暗い。恨みや憎しみといった負の感情が巣食っているように見えた。

 僕は何気ないふりを装って目をはずしたが、胸の中は激しく動揺していた。そんなことあるはずはないのに、男の裡にある怨念をぶつけられた気さえした。


 自分でも馬鹿なことを考えていると思う。男と会うのはこれが最初なのだ。恨みを買っているはずがない。男の風貌や目つきだって普段どおりのものかもしれない。なのにこんなことで気が滅入ってしまうのが僕という人間なのだ。

 気持ちがどんどん沈み始める。また自己嫌悪の時間がやって来たのだと、僕は自分を嘲笑する。


 自分で無価値な人生だと思うのなら、その分、自由気ままに生きればいいと思う。なのにそれができない。自分で自分を駄目だと指差し、他人と比べて駄目だと判断し、他人も駄目だと思っていると決めつける。

 いつからこんな風になってしまったのかは、はっきりとわかっている。

 中学三年生の初夏。ちょうどいまどきの時分だ。楽しかった修学旅行も終わり、受験という言葉が現実のものとして迫り出していたあの日、父が死んだ。


 それから僕はひとりになった。親戚一同にとって、母に逃げられてから酒を飲むばかりだった父も厄介者だったが、残った僕はさらに輪をかけた邪魔者だった。


 哀しさや悔しさはなかった。ただ自分のことを、いない方がいい存在なのだと悟っただけだ。そりゃそうだろうな、という感じで、自分の意味や価値のなさを受け容れたのだ。

 それなのに、そうやってすべてをあきらめたはずなのに、僕は未だに自分を捨て切れないでいる。誰かと触れ合うのを求め、そのくせ怯え、周りの視線を忌避しながら、無視されることも怖がっている。


 無茶苦茶だ。自分でも支離滅裂だとわかっている。でもわからない。どうすればこの矛盾地獄から抜け出せるのか。

 僕はただ生きようとしてきただけだ。それなのに間違ってしまった。いや、本当に間違いだったのかどうかもわからない。

 それでも現在、僕は抜け殻となっている。それが現実だ。


 駄目だ、こんなことじゃいけない。僕はきつく目をつむり、自分を叱咤した。

 このままじゃ、いつもの自分に逆戻りだ。あの決断は何だったのか。こんなに遠くまでやって来た意味を思い出せ。これから少しでも前向きに生きていけるように、ずっと無価値だった人生にわずかでも意味を見つけようとするためじゃなかったのか。


 僕は懸命に気持ちを奮い立たせた。うじうじとした思考を追いやり、頭を空っぽにしようとした。

 静かに息を吐く。ときには空元気も出してみるものらしい。念じていると、少し気分も紛れたようだった。

 ワゴンはぐるりとロータリーを一周し、ゲートへと進路を向けていた。


「ねえ、気づいてた?」


 唐突に僕の前に座るジャンヌが振り返ってきた。


「ここの駅って、『ウロボロス』の始まりの町とそっくりだと思わない?」

「あ……」


 僕は小さく声を上げ、改めて駅前を見渡した。

 確かに言われてみればその通りだった。円形の広場とそれを囲むように立ち並ぶ店の風景はまさに瓜二つだったし、中央のモニュメントが女神像に、同じくアーチ状のモニュメントが迷宮の入り口へいたる巨大な門の代わりとなっていた。


 僕がこのM駅へ降り立ったときに味わった既視感の正体もこれではっきりした。僕はこの駅の姿に『ウロボロス』の町を重ね見ていたのだ。

 待ち合わせ場所には必ずしも適当と言えないM駅がわざわざ選ばれたのも、この凝った演出のために違いなかった。


「てことでしょ、佐々木さん」


 ジャンヌに呼びかけられた佐々木は、さっきまでと同じ笑顔で振り返り、「ご名答です」とうなずいた。


「……なら、わたしたちはこれから門をくぐって、いよいよ迷宮へ入っていくというわけね」


 響いたライデンの声は、なぜか低く重たい口調だった。そして気のせいだろうか。それにつられるように車内の空気もすっと沈み込んだ気がした。

 沈黙の中、ワゴンはゲートをくぐり抜け、スピードを上げ始めた。



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