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幸せな国
その日、A国である法律が改正された。
A国では、法律を改正するには、上院下院でそれぞれ3分の2以上の賛成と、その後の国民投票で過半数の賛成が必要になる。
「これで人々はもっと豊かな暮らしができる。」
法律改正の結果を聞き、賛成派の議員と国民は手を取り合って喜んだ。
「この世界はどうなってしまうんだ。」
反対派の人々は悲しみに暮れた。スカイタワーから身を投げようとする人たちも現れた。幸いなことに誰も落ちることはなかった。
「法律第1000001条、犬よりも猫の方が可愛い。だが、犬も可愛い。」
「バカじゃねーの。」
隣国であるB国から来た男性が叫んだ。周りにいた人々は立ち止まる。
「こんなの決めたって何も世界は良くならないじゃないか。文化・技術を学びにきたのにこんな低俗なのか。」
A国の人たちは、とぼけ顔をでB国の男性に質問をする。
「自分の愛する者たちに、対しての議論よりも大事なものがあるのですか?毎日自分たちの考えをぶつけ合う戦いは高尚ではないですか。」
ちなみに、先々月は、「1000001条、猫よりも犬の方が可愛い。」に対しての議論を行なっていました。




