天文19(1550)年5月5日-その5
「(優也)まず、発電機のSWを入れる。このポッチを押し込むと一発でエンジンがかかる。そしてからメインSWをONにする。止めるときはメインSWをOFFにして、ポッチをもう一度押すと手前に飛び出てきてエンジンが止まる。止めるから、斎藤さんやってみて。」--発電機が止まって暗くなる。とはいえ、旧暦の5月は太陽暦だと真夏に近いから、19時半でもまだ十分明るい。
「(咲耶)うん、やってみるけど、斎藤さん・勅使河原さんて言うの止めない。咲耶・美香・優也・秀明でいいでしょ。私達4名、これからずっと一緒で、私は優也の奥さん、美香は秀明の奥さんていうことになってるからね。いい?」
「「「分かった(わ)」」」
「(咲耶)ポッチを押して、あ、エンジン入った。メインSWをONと。--向こうのターフテントのLEDが点灯した。」
「(優也)よっしゃ、美香もOKだよね? トイレは、使用前にこの袋の中から処理用の袋を取り出して敷く。終わったら消臭/抗菌作用のある凝固剤を入れる。後は処理袋の口を縛って、あっちに掘ってある穴に捨てるだけ。小だけのときは凝固剤を放り込むだけで、いちいち捨てるまでやらなくても良いだろうと思う。ま、そんなに倹約する必要はないけど、慣れてくればタイミングは分かるだろう。あ、トレペ買ってない。」
「(美香)私が買うわ。はい、6ロールずつ。優也さん、男子の分を持って行って。ついでにテイッシューも買ったので、後で男子も2箱持って行って。」
「(秀明)それじゃ、風呂の方を見てみる? それとも明日にする?」
「(咲耶)やだ、ここに着いてから歩いたりして汗かいたし、風呂入りたい。」
「(秀明)じゃ、行くべ。--はい、まずLEDを点けて、片方は昼間に水を入れてあるので、もう一方にいれてみようか。まず、パイプのコックを開けて、次にこのSWを入れるとウォーターポンプが水を流してくる。コック開けるのを忘れてポンプを先に始動しちゃうとジョイントの処でパイプが外れて、そこら中がびしょ濡れになるからね、忘れずに。美香、やってみて。」
「(美香)はい、コック開けOK、ポンプ始動OK。水が来ました。」
「(秀明)水を止めるときは逆手順ね。ポンプを先に止めて後からコックを閉める。分かるよね。水が丁度良く入るまで時間がかかるから、あっちの水が入っている浴槽の方で温める手順を行ってみよう。--これ、温度調節器付投げ込みヒーター。小型のものは化学実験なんかで使ったよね。原理は同じだけど、このヒーターは温度調節があって、本体の周りが覆われていて感電しないようになっている。まず、41℃くらいかな、温度を合わせてヒーター部を水の中に規定線迄入れ、SWをONにすれば良い。簡単。傍に手を入れてみて。」
「「(美香・咲耶)うん、暖かくなってる。」」
「(秀明)このヒーターは既定の温度になると自動的にSWがOFFになり、ブザーが鳴るので安心。もっともそのまま放置するとお湯が温くなっていっちゃうけどね。あっちも水が入ったらヒーターを入れよう。」
「(咲耶)水はもうちょっとみたい。-ー-いいみたいだから、ヒーター入れておくね。」
「(優也)ちなみに、キッチンへの浄水は、フィルターを通った後、あそこの高いところに設置してあるタンクに一定水量まで溜まる。水準器SWがあって、満タンになると自動的にポンプのSWが切れ、下まで減るとSWが入るようになっている。便利だろ。」
「(咲耶)お風呂もそうすればよかったじゃない?」
「(優也)風呂の方は、形状からして取り付けにくいんでね、まあ勘弁。」
「(秀明)じゃあテントに戻って、寝る準備をしようか。寝間着や着替え、バスタオル、タオル、ナイロンタオルなんかを買う必要がある。」
「(優也)今度は俺が買うぜ。まずパジャマかな。シュウメイはMか?」
「(秀明)ちょっと待て、以前は間違いなくLかLLだったが、この身長だとLとMの境目じゃないか?」
「(優也)じゃあさ、パジャマ、下着上下を一揃いだけMで買ってみる。着てみてから決めようぜ。ポチっとな。」
パジャマの上やアンダーシャツは少しキツイような気がするが、Lにしたらダブダブだろう。Mで仕方ない。多分、こっちで成長したらLになるだろう。12歳という設定年齢から考えると、きっと直ぐだね。
「(秀明)Mでいいみたい。あと2揃いくらい買ってくれ。バスタオル、タオル、ナイロンタオルと26cmくらいの靴下、歯磨きと歯ブラシ。」
「(優也)OK--ほら、ドサドサドサッ、秀明の分。」
「(秀明)ありがとよ。」
「(優也)じゃ、俺も同様にっと--ドサドサドサッ。」
遠くから、ブゥワーブゥワーというブザーが聞こえてきた。
「(咲耶)ちょっといいー? 私たちの方、お湯が沸いたので美香と先に入ってくるね。周囲の監視、よろしくー。」
「「おー、分かった。まっかせなさい。」」
女子の風呂は長い。まあ髪の毛を洗って乾かすだけでも大変だろうし。あー、ドライヤー買ってないね。自分達で買うかな。一応、風呂の前室の着替えるところにコンセントを1つ付けてあるので気づくかも。
1時間近く経って、女子たちが風呂から上がった気配がして、ブワーというドライヤーの音がかすかに聞こえてきた。どうやら気づいて無事購入していたようだ。あと15分位だろう。5月とはいえ、夜になると結構冷える。流石は北海道。
「(咲耶)はーい、お待ちどう様。上がったよー、交代しよ。」
「(美香)いいお風呂でした。有難うございました。」
「(秀明)じゃあ、俺らも行ってくるわ。湯冷めしないようにして、辺りの警戒よろしく。なにしろ、北海道だからね。常に拳銃を手にして、火縄銃とライターも傍に置いておいてね。多分、拳銃よりも火縄銃の方が威力は大きい。拳銃は接近戦用だね。何かあったら大声で呼ぶか、発砲しちゃって。」
「分かったー(分かりました)。」
我々男子も風呂と歯磨きを済ませて20時半頃になった。
「(優也)そろそろ寝るべ。今日は疲れているだろうし、この時代、朝は早起きの方が良いだろう。俺、発電機止めてくるわ。シュウメイ、LEDの説明よろしく。」
「(秀明)ちょっと此方へ寄って。この吊り下げてあるLEDの照明は、さっき見せた通りつまみを回すことで消灯からフルビームまで光量が変えられる。寝るときは光量を絞って。それから、横のSWで電源を電池にも切り替えられる。この蓄電池は、フルビームで36時間持つので心配ない。切り替えてみて。」
一瞬、瞬くが点いた儘で変化は無い。
「(秀明)それじゃあ、他のLEDも全て切り替えてみて、自分のテントと調理場の上。」
「(美香)やりました。便利ですね。」
遠くで発電機の音が止まり、優也はトイレ付近で何か作業して帰ってきた。」
「(優也)今は最小にしてあるけど、トイレのLEDも電池に切り替えた。夜中も、つまみを回せば明るくなるから。」
「(咲耶)じゃ寝よっかー。テントの光量絞るね。」
「「「おやすみなさい。」」」




