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天文19(1550)年5月5日-その1

・・・・・再び白い光に包まれて、どこかの丘の麓辺りに飛ばされた。ちょっと離れたところの谷合に、パラパラと10軒ほどの竪穴式住居みたいな家が見える。1軒を除いて、何れも造りが粗末だ。多少マシな造りの1軒は(おさ)とか名主とかの家だろう。部落から直ぐに海になっていて、Uの字を描いた湾を隔てて半島が見える。湾の浜辺には、幾つか漁船みたいな小舟がある。

俺と優也は185cmほどだったのに、6年遡ったため20cmくらい縮んで160cm半ばになってしまった。女子二人はそれほどでもなく6,7cmほど低くなって160cm足らず。しかしこの時代だと、四人とも大男・大女に近いかもしれない。男も成人で150cmそこそこ、女子なんか、140cm程度が普通だったようだし。皆、カバンを開けて鏡を見つめ、其々に若干幼くなった自分の顔を眺めている。腕時計を見ると、出発時が15時くらいだったのに、時間がずれて12時半を示している。腕時計が動いているのは有難い。携帯も無事だし。

「(優也)さて、これからどうすんべ。最初に、寝る処と食い物を手に入れなきゃならんぜ。」

「(秀明)先ずは、あそこに見える一番大きな家、多分、長の家だろうが、そこへ行ってみよう。我々は、結構装備が整っているので、名のある家の出でなければ変に思われる。しかし、蠣崎とか、この辺の武家の名を使うと後々面倒だ。かといって、九州などの遠方を選ぶと相手に分からんだろ。ザイロンの上下が見たこともない衣服で光っていることでもあるし、いっそ、神の使い、使徒、という事にしようか。いいかい? それと、食糧の方はホームセンターから購入すれば良い。ちょっと試すか。」

「(咲耶)私、ちょっとやってみたいー。カード出して、と。なんか説明が裏に貼り付けてある。えーと、ICの認証を人差し指で押さえて、-ピロリーンー あ、40cmくらい離れたところにメニューが出た。」

「(美香)どこどこ?」

「(咲耶)え、見えない? 操作している人だけなのかな。一旦此方閉じるから、美香やってみて。人差し指でもう一度押せば閉じるんだよね、と。」

「(美香)人差し指で押さえる。あ、出た。えーと、コンビニ、ホームセンターの名前とか、薬品屋の名前とか並んでいる。パンとかおにぎりなんかはコンビニだよね。」

「(秀明)先に入金しなければ何も買えないんじゃない?」

「(美香)左の一番下に入金のメニューがあった。でもお金ってどうしたら良いのでしょう?」

「(秀明)それぞれのカバンの中に、神様が硬貨を入れて下さっているんじゃない。どう? 俺は見つけたけど。」

「「「あったー。」」」

「(秀明)金貨(慶長小判)・銀貨は50枚ずつかな。銅銭 -永楽通宝か- は2(さし)、192枚かな。道理でカバンが重いはずだよ。」

「(優也)おい、何で200枚じゃないんだ?」

「(秀明)確か、4枚を纏め賃として差っ引かれていて、1緡が96枚だと思った。唯、江戸時代の風習だから、此れは100枚在るのかもしれない。後で数えてみたら。」

「(美香)とりあえず入金メニューを押してみます。あぁ、何か、此処に入れて下さいという入金口が表示されましたね。銀貨を5枚入れてみます。ー-消えました。メニューに買取\50000って出ました。銀貨1枚10000円ですね。そのまま入金しちゃいますね。表示が、現在残高が\50000です、に変わりました。ロー〇ンから飲み物を買ってみます。」

「(優也)俺、麦茶お願い。」「(咲耶)私、ウーロン茶」「(秀明)午後の〇茶お願い」

「(美香)私も午後の〇茶と、買いましたよ。メニューの下あたりに出てくるそうで、何かで受けてもらえます。」

「(秀明)タオル広げよう。優也、そっちの端を持ってくれ。」

「(優也)OK、出してみて。」

「(美香)排出、と--ドカドカドカドカー-出ましたね。これで、当分飢えることはなさそうです。」

「(咲耶)暑いし、ちょっと飲んで落ち着こうか。」

倒木とか大き目の石とかの上に其々腰かけて、冷たい飲み物がうまいー。暑いんで、皆、ひもを緩めてメットを脱いだり後ろ頭にずらしたりしている。全員、この時代に合わない短髪だが、どうせ蝦夷の田舎だ。如何でも良いだろう。剃刀が高価で貴重なので、武士は髪の毛を抜いて月代を作ったりする事もあるそうだが、そんな痛い事は嫌だね。女子2人もあり得ないほどの武装をしていて全くの兵士の格好だから、短髪でもおかしくないだろう。多分、我々4人に出会ったら、部落民は恐れて近づかないだろうな。というか、部落に入れてくれないかもしれない。

「(優也)さて、みんな一息ついたみたいだから、行くかい?」

「(秀明)ちょっと待て。この格好だし、武装しているし、という事で恐れられるかもしれん。問答無用で矢を射かけられるなどあり得るかも。行くときはメットを確り(しっかり)かぶってバイザーも下ろしておけよ。銃は最後の手段で、なるべく使わない方向で。」

「(優也)さっき調べてみて、火縄銃は装填されているみたいだが、火縄に火をつける手段がないぜ。」

「(咲耶)ロー〇ンで百円ライター買っておこうよ。今度は私が試すね。ー-銀貨5個入金、と。」

「(優也)アウトドアに使う防風型にして。だからコンビニじゃなく、ホームセンターで。」

「(咲耶)うゎー1つ4500円もする。ライター4つ購入。優也、受けて-ポトポトポトポトーはい、各自ライター持って。それと、拳銃も持っているでしょ。脇のホルスターに収まってるので、近距離だったら火縄銃より拳銃か刀剣だね。」

「(秀明)あの部落はアイヌのものだと思うので、アイヌ語の辞書だけは出しておこうか。」

「(美香)私やってみる。カード、認証、ホームセンターっと。あ、ホームセンターの店名が並んでて、右端に倉庫ってある。倉庫っと、契約入金・出庫・入庫のメニューがある。出庫っと。すごい、庫内の一覧があいうえお順に並んでいる。アイヌ語辞書っと。誰か受けて。」

「「いいぞー。」」 ドスッ。2cm位の厚みの辞書が手に入った。開いてみると、最初の20ページくらいに一般的な言い回しの文例が載っている。本編の前半分が日本語→アイヌ語で、後半がアイヌ語→日本語になっている。

「(秀明)優也、辞書持ってて。ゆっくり行くから、使えそうな文例を眺めながら歩こうか。--じゃあ、行くか。俺、勅使河原さん、優也、斎藤さんの順ね。斎藤さん、なるべく後ろにも注意しながら来て。」

「(咲耶)オッケー、任された。」


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