プロローグ2
この物語は全くの創作と考えてください。史実と似たところがあっても、史実に即しているわけではありませんので「ここが史実・事実と違う」というような御意見は無用に願います。方言もいい加減です。宗教の話も出てきますが、この物語の進行上の事であって、史実や事実とは異なります。あくまで創作上の架空の設定です。許せんと言う方は、どうかお読みになりませんように。特に仏教に深く帰依しておられる方は、お読みにならない様、お勧め致します。読んでみて御不快になられても当方は関知しませんので悪しからず。なお最後にお願い致します。趣味で書いておりますので、誤字脱字の指摘を含めどの様なご意見を頂戴しても読みませんし、返信しません。(時間がありませんので) ご了承ください。
「(優也)おぉ、いい出来だな。全部シュウメイが作っているのか?」
「(秀明)畝の作り方とか肥料のやり方とかはじいちゃんに教わっているけどな、概ねそうだわ。」
「(咲耶)ねえ、トマト採って良い? 赤く熟れてて美味しそうなのが沢山あるし。」
「(秀明)ああ、斎藤さんはトマト好きだったな。持てるだけ採っていっていいぜ。手水舎で洗って神様に少しお供えしてから、お余りを食べてみてもいいし。ただ、ジャガイモはまだ早いぜ。葉が一部黄色くなってからでないと。」
「(優也)オレ、キュウリも欲しい。シュウメイん家行けばミソあるよな? それと、このカボチャもいい?」
「(秀明)ハイハイ、どうぞ好きにして。どうせ食べきれないほどある。カボチャは植えたんじゃなく、誰かが捨てた種が腐葉土に混ざっていて勝手に生えてきたの。だからそれも取っていいよ。」
各自好みの野菜を収穫して、手水舎で手と顔を清め、うがいをした。神社の正面に回って、洗った野菜をお供えした時にそれは起きた。黒雲なぞ無いのに、晴れた空から稲妻が千木のあたりに落ち、一瞬、目が見えなくなる程の真っ白に包まれた。もちろん女子2人は(実は優也も)悲鳴を上げて、斎藤さんは優也に抱き付き、勅使河原さんはヒシッっと俺に抱き付いている。柔らかくていい匂い(ゲフンゲフン、何でもない)きっと3秒かそこらだろう。漸く視力が戻って来たが、何か変だ。ー-前よりもちょっと明るい。目線を上げると、里山の様子が違っている。手入れもされずに鬱蒼と茂っていた筈が、樹木の背が低く、もっと管理されている感じで下枝打ちもされて日の光がふんだんに入って来ている。丁度目に入った内削ぎ(=女神様、外削ぎ=男神様)の千木は、稲妻で焦げているどころかいやに新しく、茅葺 -あれっ、檜皮葺じゃなかったか- の屋根は新品同様でおかしい。いや、正面に見える逗子の扉なんかも新品だ。如何いう事だろう? と思っていると、女性の声で、
『もう落ち着いて、目は見えるようになったかや?』
へっ、誰? 賽銭箱の内側の社殿に、神職が着るような衣装の女性が立っている。先ほど迄誰も居なかったのに。ちょっと光っているようにも見える。聞いてみるべ。
「えーと、私は桜井秀明といいます。何方様でしょう? 何か周りの雰囲気も違っているんですが、ここは氷川神社ではないのですか? 」
『ああ、吾が神明神社に間違いない。ただし、700年近く前の、ではあるがの。吾は、巷では天照と呼ばれているようじゃ。』
「「「へ、何ですって~!」」」(勅使河原さん以外)
「あのぅ、私、勅使河原美香といいます。天照って、天照坐皇大御神様(あまてらしますすめおおみかみさま:神職の唱える正式名称、さすが勅使河原さん、教養が毀れる)でいらっしゃいますよね?」
『さようさ。面倒ゆえ、アマテラスで良いぞえ。久しぶりに若人が揃って参拝に来てくれて、おまけに、前々から食してみたいと思っていた瑞々しいトマトの供え物もあるでな。心惹かれて、それこそ400年ぶりに人間界に降りてみた。道祖神ならともかく、これだけの規模の小さくもない神明社にトマトを供えるというのは、ありそうで、なかなか無いでな。みな、米の飯とか、塩とか、饅頭、おはぎばかりじゃ。あー、吾は甘みも好きじゃからの。』
勅使河原さんは平静に見えるが、他の二人は神の存在感に押しつぶされてアタフタしている(実は俺もだ)。祭壇の前のお供え物を見ると、トマトとキュウリが消えている。神様も御降臨なさって、物を食するんだ。
『此度、其方等に会いに来たのは頼み事があっての事じゃ。』
ほら、来た。嫌な予感しかしないぜ。
『すまないが、650年程時を遡って貰いたい。』
「(優也)へっ、650年近く前って戦国時代じゃないですか。そんな昔に何があるんです?」
『少し長話をせねばならん。誰か来ると面倒なので、ゆっくり話せる処へ行くとしようぞ。』




