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天文19(1550)年9月9日

 季節はゆっくり移ろい、結局、長月(9月)初旬に社は完成した。優也が腕前を発揮して、ホームセンターから購入した見事なイチイの太い丸太材から天照坐皇大御神の御姿そのままの立像を彫塑し、安置した。三郎を通じて部落の皆に呼びかけ、使徒たるこの四人の主神であって、願えば部落の守護神ともなって頂ける女神様であることを説明し、納得した者に拝礼のやり方を教えた。イカシパや三郎が真っ先に拝礼したので、結局、子供を含めて部落民全てが詣でることになった。ちょうど部落の方は粟・黍の収穫が終わり、我々の畑からも盛んに収穫できているので、重陽の節句(9月9日)に当たる今夜は酒食を振舞って、収穫祭を兼ねて無事に社が建立された祝いとする。


〔奇数を陽の数とし、9月9日は陽が重なるので重陽という。ちなみに、1月1日(元日)、3月3日(上巳(じょうし)の節句,桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕(たなばたorしちせき))は全て陽の数が重なる。元日を別格とし、1月7日の人日(じんじつ)を代わりとして入れ、他の陽・陽の節句と併せて5節句と謂う。なお、偶数は陰の数である。〕


 イカシパや三郎達が、酔っぱらって満足して帰った後、我々はもう一度神饌の儀を執り行うべく、酒、餅、干魚、ナス・トマト・トウモロコシなどの野菜、おはぎ、塩、水をお供えして二礼二拍手一礼して呼びかけた。

「(秀明)天照坐皇大御神様、無事にこの地に着き、拠点を作りました。来春には蠣崎に接触して、日ノ本の国の天下統一の二歩目を踏み出す予定です。」ー-その瞬間、神社が光り輝いた。

『皆、無事に過ごしているようじゃの。重畳、重畳。』

「(咲耶)あっ、神様だ。また、お会いできた。」

『吾の立像、良い出来じゃの。優也が彫塑したのかや?』

「(優也)なかなかのものでしょ。ここの部落民も、手を合わせて拝んでいました。」

『うむ、全員分ではないがの、12名分ほどの信者が増えて、微々たるものとはいえ吾の力が増えた。今後も可能なら、行く先々で新しい神明社を建立するがよいぞ。』

「(美香)あの、この神明社ですが、氷川神社の扁額を掲げてもよろしいでしょうか? それと、誰にも分かるように、神様の立像の上に天照坐皇大御神様と書き記してもよろしいでしょうか?」

『かまわん。それで良いぞよ。』

「(秀明)良い機会なので、二つばかりお願いがあります。一つは、神様にお伺いしたいことがあるとき、神明社にお詣りして願えば、お話しできるようにして頂けませんでしょうか?」

『あまりに都度都度でなければ、それは構わん。稀に多忙の時とか、神無月で出かけている時とか、答えられんこともあるがの。』

「(秀明)ありがとうございます。よろしくお願いいたします。もう一つは、この部落に蠣崎の家臣が住まわっているのですが、その者に言われました。手っ取り早く神の使徒であることを信じさせたいならば、何か奇跡のような事を起こしてみるのが良い、とのことです。私もそう思います。そこで、チートは授けられんとおっしゃっていましたが、(いかづち)を操る力を授けていただけませんか? 人殺しに使うつもりはありません。眼前に稲光を落として、奇跡を目の当たりにさせたいだけです。」

『少し待ちや。雷は、農業神でもある阿遅鉏高日子根(あじすきたかひこね)が司っておる。訊ねてみようぞ。』

1分ほど待つと、お戻りになった。

『その程度の使い道なら構わぬという事であった。其方等に雷を操る力を与えておく。あまりに近くに降すと、所謂ショック死というのがあり得るから、実際使用まで人気のないところで練習しておくのじゃな。まあ、不信心者を一度に数人殺めるぐらいは構わないがの。』

「(秀明)怖いことを仰いますね。しかし切羽詰まったときは、人を殺めてしまうような場面があり得るかもしれません。心します。阿遅鉏高日子根神様に御礼申し上げます。何卒宜しくお伝えください。」

『うむ。来春は蠣崎に接触して二歩目を踏み出すと云うていたの。』

「(秀明)はい、先ほどの話に出ていた蠣崎の配下、渡会三郎と申す者ですが、来春には後任の者と交代で蠣崎の本拠地である松前に帰還するとのこと。我等はそれに同道しようと思っています。海路で行く予定ですが、現状では小さな舟しかないので、来春までに少し大きな船を造って、それで行く予定です。」

『海路は危険だからの。出立前にこの神明社に詣でや。神々に命じて、其方等が無事に着くように図らってみようぞ。』

「(秀明)ありがとうございます。何卒よろしくお願いいたします。」

『それでは、無事での。できれば次回もそなた達が丹精したトマトを食したいの。』

お戻りになったようで、御姿が見えなくなり、お供え物も消えている。多少は御気に入っていただけたようで、良かった。


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