天文19(1550)年5月14~25日
ここから数日、番線で重複部分を結んで鉄筋を上につなぎながら、コンクリブロックを積んでいき、土台部分を除いて8段積んで周囲の壁が完成した。ドア枠と窓枠をはめ込みながらの作業が一番苦労した。最後に、12cm角の柱で、二分されているがホゾ組を使って接続すると2.4mの長さになるものを購入して、四隅とその間に立て、貫通させた穴を使って柱をブロック壁にネジ止めし、ブロック壁を補強した。また、対向する柱の上端をさし渡すように横木を通して鎹で固定し、柱および横木にはステンのL字工具などでさらに補強した。この上に、板材などを使って三角屋根を乗せられるように工夫し、厚手のスレート2枚を重ねて、三角屋根の形になるように工具で固定した。重ねたスレートの間は5cmほどの間隙があり、部屋の中の2つの薪ストーブから屋根の一番下の軒先に暖かい排気が出され、スレート板の間隙を通って、最後に屋根の天辺三か所の煙突から逃げるように設計されている。ストーブを焚いている限り、屋根の雪は融けて積もらない。また熱的に遮断するため、壁の内側全面に断熱材入り二重合板を巡らした。暖かさが全く違う。
入口の扉は、俺の趣味で凝ってみた。ローズウッドの厚板を組み合わせ、優也に彫刻を施してもらった。優也は、彫塑の部門のコンクールで3年連続入賞や金賞を取るほどの腕前。優也作の20cm程の咲耶の立像は、御開帳した事の無い彼女のお宝になっている。なぜ知ってるかって? 渡す前に撮影した立像を優也が携帯で送ってきたからね。掛け値なく素晴らしい出来栄えだった。ドアは、磨きを入れて品よく、渋く出来上がった。また、壁から5mほど外側に杭を並べて立て、玄関に至るところには木戸を設けた。細い電線をぐるりと巡らしてセンサーに接続し、何か大型動物が近寄ったら警告音が鳴り響くようにした。羆であっても、壁にアタックしている間に気づいて反撃できるだろう。此処迄の作業に3週間かかった。気づくと6月(水無月)に入っていた。太陰暦だと一月が短いかも。
ところで、早い段階で気が付いてはいたのだが、水回り(台所・洗面/風呂)とトイレをどうするか? 雪が積もるまでは今のままでもかまわないが、歩けない程になったら無理だろう。結局、台所と洗面/風呂は屋内にした。洗面/風呂は屋内に湿気が溜まるとまずいので、洗面/風呂用に仕切った小部屋を北側の窓を取り込む形で作った。窓を開けば湿気や湯気が出ていく。湯船は一つになってしまった。そのかわり、アカエゾマツ製で香りが良く、大きいので楽々2人で入浴できる。台所や風呂の排水は、壁の一番下に排水溝を開けて、溝を小川の最下流に繋げた。この小川は我々の拠点から部落の中を通って湾に注いでいるのだが、部落を越えたところに排水を繋げたので、迷惑はかけないはずだ。冬の積雪を見越して、溝には全て蓋を施した。トイレは本当に困った。小川は、湾の舟溜まりの近くに流れて行っているので、水洗トイレには出来ない。結局、家と別途に雁木(雪よけ庇)を玄関から右回りに外に作り、裏手に此れ迄と同じトイレを設置することにした。大きな蓋つきの樽も置いて、始末したものを一旦貯め込んでおく事で解決を図った。
排水溝末端と小川の接点を見ていて気付いたのだが、舟溜まりの周りの砂浜に昆布が干してある。三郎が交易の為に来たと言っていたが、この昆布が交易品の一つなのだろう。北前船で越前辺りまで運ばれると、結構いい値で取引されるそうだし。蠣崎の権益の一つという事か。




