天分19(1550)年5月6日-その1
5月6日。 この辺りは5月に入っても、明け方はまだかなり寒い。しかし、さすがアウトドア派御用達のコー〇マン製スリーピングバッグだ、快適に眠れた。エアーマットも何気に良い仕事してる。背中や腰も全く痛くない。ケチらないで高めのものを買って良かった。ワンゲルに入った当時は、母さんが安物を買ったので酷い目に遭った記憶がある--オヤジ、母さん、爺ちゃん、今頃心配してんだろうな・・・・いや違うか、神様曰くその辺は大丈夫と謂う事だった。さて6時半だ、起きるか。部落の方は、大分人々が活動を始めている。
「(秀明)優也ー、起きたか?」
「(優也)あー、着替えるか。」
着替えて外に出ると、気配を感じたのか女子連も出てきた。
「(美香)おはようございます。直ぐに朝ごはん作りますから、洗面を済ませてきて下さい。」
「(秀明)悪いね、作って貰っちゃって。」
「(咲耶)私たちの女子力を見せてあげる。帰りがけに少し薪を集めてきて、焚火台の上で火を熾して。」
「(優也)OK!」
良い香りのコーヒー(インスタントでなく豆から淹れたやつ)と紅茶、フレンチトースト、厚切りハム・葉野菜・ニンジンの炒め物とトマト、結構朝から贅沢。トマトは裏の畑のものではないので、ちょっぴり味薄、素材のせいだから、まぁ仕方ない。
コーヒーは凄く美味かった。豆だろうか、それとも淹れ方、両方か? 何れにしろ、また飲みたい。余韻に浸っていたら、三郎、イカシパと10歳くらいの女の子が来た。砂糖とミルクを利かせた(安物ティーバッグの)紅茶を出してやる。三人とも一口飲んで吃驚している。
「(三郎)こんな美味い飲み物は初めてです。これは何でしょうか?」
「(秀明)紅茶という。実は、茶と同じ葉から作るのだが、処理の方法がまるで違う。それから、砂糖とミルクというものが混ぜてあって、甘く感じたはずだ。」
牛の乳なんて言ったら吐き出しそうだから、わざとミルクと言っておいた。
「(秀明)それで、朝から何か用か?」
「(三郎)茶は聞いて知っているだけで、茶そのものを飲んだことがありませんので、処理の方法がと言われても想像できませんよ。イカシパが、食糧などの礼をしたいというので来ました。--*@+##$%ー- イカシパが、お礼に何か出来る事は無いだろうか、と言っています。」
「(秀明)それなら、我等の家造りの手伝いを願いたい。我等は、少なくとも来年の今頃まではここにいるつもりなので、冬を越せる頑丈な家が必要になる。一旦立ち去ってもまた来ることがあるかもしれないので、確りとした拠点を残して置きたい。毎日交代で、5,6人ずつ手伝って貰えると有難い。手伝ってくれた者には対価として一塊の肉を与える。」
「(三郎)えー、肉なんて言ったら全員が来かねませんよ。女子でもかまいませんか?」
「(秀明)2~3貫目(約8~12kg)を持ち運べるのなら女子でも構わない。」
「(三郎)それは良かった。男が戦士として働いて死んでしまい、後家さんと子供が残された家もありますので。だから昨日、各家に粟や稗を戴けたのはとても有難かったようです。」
「(秀明)あれだけじゃあ足らんだろうから、イカシパの家に置いた稗にも手を付け始めたら、また与える。その時は言ってくれ。あと、四半刻(しはんとき、30分程度)したら集まってもらいたい。」
「(三郎)分かりました。それからこの子はチッカといい、イカシパの末っ子の長女です。某とよく話すので、和語が出来ます。この子にも通詞(つうじ、通訳のこと)を手伝わせます。」
「(チッカ)チッカ、デス。ヨロシク、デス。」
「(秀明)ああ、チッカ、宜しくね。和語がもっと上手くなるように我等とも沢山話そう。」
イカシパがニコニコ笑いながら右手を伸ばしてきたので、こちらも右手で答えると、肘のあたりまで掴むようにして腕を重ね合わせた。どうやらこれが握手の代わりのようだ。




