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先生

俺は弱い。


 死に戻りにより、迷宮都市に於いて戦闘経験のみであれば誰にも負けないはずなのに侍どころか戦士と比べても弱すぎる。


 盗賊という半非戦闘員の職業であるため責められるいわれは無いがもう少しは強くなりたい、強くなるべきだ。


 というわけで参考のために俺が質問できる中で最強の人間、侍になぜそんなに強いのか聞いてみたがすげえ答えが帰ってきた。


侍いわくやり方は簡単、まず才能を持って生まれる。


 才能持って生まれることに成功したらひたすら鍛錬だ。




 鍛錬量で負ければ無才の人間に負けることもあるが誰よりも努力すれば才能の差で絶対に勝てる。


 時間は一緒何だからひたすら集中、戦闘時でも成長のためにやれることはいくらでもある。とほざいてた。


 暇な時間を全て鍛錬に捧げるのなんて当たり前の生活を送っている人間なんてゴロゴロいる。


 そんな必死な人間との競争を勝ち抜くにはそれ以上に必死になって時間当たりの効率を上げるか才能の暴力でなんとかするしかないとのこと。


 まず才能持って生まれるの何て狙って出来ねえよボケカスとか色々とツッコミどころはあったがこの後も鍛錬について語る侍の言葉には努力する他者への敬意が滲み出ていた。


 それ以上に自身の才能と努力への誇りが滲み出ていたが。


 この後もグダグダ語る侍から話を聞いていたものの結局俺の強化には役立ちそうな話は無かった。


 言うまでもなくあらゆるベクトルにおいて俺の才能は無い。


かと言って努力するのも嫌だ


 血を吐き泥をすする様な鍛錬は余計な苦労をせず楽してクレバーに生きるという俺の理想のスタイルからもかけ離れている。


何より俺が全身全霊をもって鍛えたところで侍のような努力する天才にはかなわない、


 もっとお手軽に強くなれる奥義とか教えろよ、使えねえな。







 






■□■□


 次の日の酒場で魔術師が地下一階にまだ探索してないところがあると言い出した。どうやら探知魔法で探ったところ新たな探索箇所を見つけたらしい。




 そこにあったのは訳の分からない言葉が書かれた像。




 調べたところ湧き上がるような不浄な気配。




 出現したのはゾンビらしき謎の影。






 ゾンビに似ているがそれとは別種のようだ。いや、いまは別の問題がある。




 本能のすべてが告げている、こいつは俺の同族、つまりゴミクズだと。




 侍がいつも通り突撃して斬撃を放つ。しかし腐った体からは想像できないほどの加速でゾンビもどきは回避した。侍の斬撃を躱すやつが一層にいるのか!?




 俺は警戒レベルを最大にしろと叫ぶ。応と馬鹿どもから返事が飛ぶ




 司祭僧侶のターンアンデッドが飛ぶがあっさりレジスト。




追加で放たれた魔術師の火炎も掻き消される。まるでこの世に魔術自体が存在しなかったかのように。




 対魔術結界!魔術無効化とかいう新能力持ちを一層で見ることになるとは。






 本当にこいつこの階層に存在して良い敵じゃないだろ。




 








 5層のやつが紛れ込んできたのか?


 




こんなふうに不測の事態で鍛え上げられたパーティですら死ぬからここは悪意の迷宮なのだ。




 強化された俺の知覚能力でもギリギリ認識できる程の速度で俺の前に飛び出してきたゾンビもどきを前に俺は死に戻り後の事を考えていた。




像を調べることで出現するなら余計な事せず抜ければ良いだろと。藪をつついて蛇が出るのなら藪を突かなければ良い、単純な話だ。




 しかし次の瞬間俺に訪れた感覚は軽い痛みだけであった。




 




 




 




 あれ?もしかしてこいつ火力は低いのか?




 




 




 




 火力が低いとわかってからは侍が超速度に適応し攻撃をクリーンヒットさせる。魔術師が有機物の動きを鈍らせ無機物を腐食させる暗黒魔術にて足を奪い止まったところを全員でボコボコにする。俺が糸を使って罠を張り超高速移動を封じる等、超回避への対策をすることで時間はかかったが倒せた。




 




 




 




 俺達はほぼ無傷だった。




 




 




 




 再び像を調べたところまたもや出現。




 




 




 




しかし一戦目と同じように張り倒す。




 




 




 




 レベルアップの元になる魔力が大量に俺達の体に染み込む。




 




 




 




 あれ、ここ稼ぎ場として良くね?




 




 




 




 そこで俺は三秒で考えた泣ける創作エピソードを言ってこの真の勇士は死ぬことを望んでいる。俺達の手で救済を与えようとか言った。




 




 




 




 侍僧侶司祭のマヌケトリオは泣いてた。




 




 




 




 戦士魔術師は俺が嘘ついてると察したようだが黙ってた。




 




 




 




 ともかくここは絶好の狩場なのだ。




 




 モンスター相手と言えども死んでは蘇り死んでは蘇りの地獄の責め苦を与えるのは善人にはきついだろうが俺様の嘘のおかげで嬉々としてゾンビもどきに地獄のループを味合わせてる。




 




 




 




 殺し、蘇らせ、焼き殺し、蘇らせ、切り殺し、蘇らせ、刺し殺し、蘇らせ、焼き殺し、蘇らせる。




 




 




 




 おれ以上のクソ野郎は俺よりも苦しんでくれ。




 




 具体的に言うとあの二層での地獄のループで味わった苦痛全てを味わってくれ。




 




 




 




 俺様ですらこんなに苦しんだんだからそれ以上のクソ野郎はもっと苦しまないとだめだろう。




 




 




 




 え?こいつクソ野郎だっていう根拠はお前の勘以外にないだろって?




 




 




 




 舐めるなよ、俺のクズ発見力を。




 




 




 




 同族嫌悪から派生したクズ探知の精度は今のところ100%だ。




 




 




 




 こればかりは善人に対していくら説明しても理解してもらえないだろう。俺たちがあなた達のことを理解するのが困難なようにあなたたちも俺らの事を理解するのは困難なのだ。




 




 




 




 まあ今回は実際にクズだったから許してくれ。




 




 




 




 




 後でわかったことだがこいつの名は宮廷魔術師にして魔法の先生でもあるマーヴィー。




 




 




 




平民でありながら王に取り立てられた魔術師ワードナに嫉妬して散々最悪な嫌がらせをしていたらしい。




 




 




 




 中でもひどいのはワードナの妻を毒で流産させた挙げ句、それを詰められたら一族皆殺しにされたのかってレベルで被害者ヅラし始めた事だ。




 




 




 




 暴走する正義ガーとか加害者の立場で言えるのすげえよ、俺にも真似できねえ。




 




 




 




 その結果ブチギレたワードナに不死化させられ迷宮に縛られ死ぬこともできない状態にされて今こんな事になっているようだ。




 




 ざまぁ




 




 明日も狩りに来てやろう。

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