第三十話 最強の女
- 第三十話 最強の女 -
俺と色夏は謎の美少女を1秒足りとも見逃さず視界に捉らえ、同時に地面を蹴り飛ばし謎の美少女に距離を詰める。
そして、俺と色夏の拳が謎の美少女に当たるその瞬間だった。
<管理者、直ちに防御へ切り替えてください>
いきなりなんだ?防御へ切り替えろって……。
でも、ストレイターが言ってるんだから防御に切り替えとくか。
俺は言われた通りに防御へと移る。
念の為、色夏にも「絶対防御結界」を付属しておこう。
俺は攻撃を辞めた為、色夏のみの攻撃となる。
確実に当たるはず───
「シンクロ率が100%という噂は本当だったんだ。でも、攻撃方法が残念だわ」
何言ってんだ?確実に当たる所まで来ているのに。
その瞬間だった。
謎の美少女の目は赤く輝き、その光が溢れるように現れると、俺と色夏は有り得ない速度で吹き飛ばされた。
超限空間により限られた場所になっていたので近場に飛ばされたが、外だったら一溜りもなかっただろう。
砂煙が俺達を隠し、お互いの姿が確認出来なくなってしまう。
「いててて……絶対防御結界を使用してんのにこんなダメージ入るのかよ。使ってなかったらノックアウトされてたな」
「今のは…威圧?衝撃波だとしてもとんでもない威力」
俺の最大限の防御とまでは行かないが、大抵のものを防げる防御ですらこのダメージは今までにない経験だった。
<色夏の防御結界が破壊されています。もう一度付属を推薦します>
ただの衝撃波で!?あの美少女どんだけ強ぇんだよ……。
付属する絶対防御結界は通常より衰え、回数制限があるのだが、それは万を越えている。
つまりあれは衝撃波では無く、美少女による圧倒的なスピードで何発も打ち込んで来た打撃と考えれるな。
「あれれ?もう終わりなの?」
美少女の一言で辺り一面に出ていた砂煙が大きな風の音と共に消滅。
俺は美少女を視界捉えようと目線を前に向ける……が、そこには何も居いなかったのだ。
魔力の流れも感じ取れない。
<管理者、上>
上?おいおい!めっちゃ構えてるじゃねぇか!それに俺狙いかよ。
上には待ってましたと言わんばかりに急加速な蹴り攻撃を仕掛けてくる美少女。
目で追うので精一杯過ぎて避けれるか分からないぞ……。
<反射速度を上昇させます>
俺はストレイターによる身体強化で、反射速度が急激に上昇、それにより何とかその場から距離をとる事を出来た。
外れた攻撃は地面を抉り飛ばした。
危なかった…少し遅れてればやばかった……。
それより、色夏は何処だと思った俺は色夏のいた頃を見ると……
「あ、外した」
「今がチャンスね!獄炎弾!!」
咄嗟に不意打ちを狙った色夏。
赤黒く燃える炎の弾を出現させ美少女に当てようとしているようだった。
って、説明してる場合じゃない!早く援護に……。
「おっそ、何その弾」
は?今あの子、至近距離の音速越えの弾避けた?
俺は思わずその場で停止してしまった。
衝撃波と勘違いさせるほどの移動速度と、圧倒的な反射速度……あの美少女はやばい。
俺は恐怖心と好奇心が同時に高ぶり動く事も何もすることができない。
その結果、既に美少女は行動に出ていた。
「邪魔だからさ、先に貴女から脱落して貰うわよ」
「ッ……ぁう……」
首を絞められ、苦しそうに悶える色夏。
何故抵抗しないんだ?いつでも抵抗出来るはずなのに……。
<あの少女に魔力そのものを吸われている可能性があります。色夏の魔力がどんどん低下しているので>
略奪系魔法か……って、それやばくね?
早く動けよ俺の足!
こんな動けない状況に加え、容赦無しに攻撃を仕掛ける美少女。
色夏の意識も遠くなりつつあるのが確認出来る。
あれをやるしかないのか…。
<管理者からの伝達を確認。一時的な強化の承認要請を確認。只今より究極身体強化を実行します>
究極身体強化は、全ての五感、身体能力を極限まで強化させ、魔法や能力の精度を強化する事であり、それには大きなデメリットも存在する。
感情がごちゃごちゃになり、意識はストレイターでも俺でもない何かに支配される危険な強化である。
まだ意識が残って間に色夏を防御で包み込まなければ色夏もやる可能性がある。
俺は僅かな意識と共に光を越えた速度で美少女に近づく。
美少女は舌打ちをしながら1度距離を取る。
どうやら俺が究極身体強化した事を察したようだ。
俺は気にせず色夏を遠くへ飛ばし、最後の最後で色夏を俺の最大限の防御魔法で包み込む。
それと同時に俺の意識は解けるように消える。
後は任せたぞ、絶対勝てよな。
「あの意識が消える短時間であの子を防御で包み込むとは、恐ろしい判断力ね」
「そりゃあな”ぁ”!」
俺の声はもはや俺じゃなかった。
と言うより、悪魔のような声に俺の声が1割混ざったような声である。
口調も誰でもない言葉。
そして、光を越えた速度で関係無しに美少女に攻撃を仕掛ける。
「(さっきより速い!?でも……)」
美少女はその攻撃を1度も掠ることなく丁寧に避け続ける。
そして、隙を見つけるかのような行動をしているようにも見える。
隙を見つけたのか、美少女の右手には真っ黒な光何一つ無いオーラが纏う。
「やっぱり”昔”よりは遥かに衰えているわね」
「あ”あ”!?」
そのオーラと共に俺では無い俺より上の速度でお腹目掛けて攻撃を仕掛けてきた。
威力が強過ぎて上へと飛び、上の壁に当たり弾かれ下へ急速落下。
落下地点には美少女が待機しており、更なる強烈な追撃を受ける。
また追撃、追撃、追撃を繰り返され完全にボロボロになり力が抜けている。
もう一度追撃を食らった時、無重力になったかのように上に飛び、先回りしていた美少女による追撃によって急激に地面に叩きつけられる。
身体中ボロボロで呼吸も荒かった。
「一発も当てれね”ぇ”。しかも片手だけでこのざまか”よ”」
あれだけの攻撃は全て魔法も使わず、能力も使わず、片手だけによる攻撃だった。
そしてタイムアップ俺の意識は元に戻る。
ただいまーどうなったかな!って身体中いてぇ!何があったんだよ……。
<言いづらいですが、究極身体強化による連続攻撃を行っていましたが1度も攻撃を当てれず片手だけの相手にやられてました>
嘘だろ……片手だけで!?そんなの勝てる訳無いだろ!
流石に片手で究極身体強化を圧倒されては為す術が…いや、まだ打開策はある。
全回復できるだけの魔力は残ってるか?
<はい。魔法も使う暇もなくやられてしまったのでたんまり有ります>
そ、そうか……だったらそれで俺を全回復させてくれ。
<分かりました>
ストレイターに頼んで全回復を使用してる間に俺は意思伝達で色夏の頭に問い掛ける。
「(起きろ色夏)」
「(!!ここは…?)」
「(時間が無い。手短に話す、お前の出せる1番の限界で彼奴に挑んで欲しい、俺も今出せる限界で彼奴に立ち向かう)」
「(なんだか分からないけどあの女を倒す為だもんね!分かったわ!)」
色夏はその言葉を聞いたらゆっくりと立ち上がる。
それに続き俺も全回復が終了したので同じく立ち上がる。
「あれぇ?完全に死なない程度にやったはずなんだけどなぁ。面倒くさ……」
「残念だな、今から俺がお前を倒す!」
「はぁ?今の貴方が?笑わせるのが得意なの?」
少しづつ不機嫌になりつつある美少女に俺は軽い挑発のようなものを飛ばすと、此方をおぞましい殺意で睨み付けてきた。
やべぇなあれ、でも、此奴なら!!
「一気に行くわよ!!」
「ストレイター!お前に託した!」
<管理者により、私による操作要請を確認。承認します。只今より、完全自動へ移行します。>
俺より圧倒的知恵のあるストレイターによる自動攻撃、俺はいつものストレイターのような位置に着き、ストレイターがプレイヤーとして行動するオート攻撃。
そして、色夏の限界突破により、色夏は神のようなオーラを纏う。
「それが今の最大って事かしら?しょうが無いわね、第2Rよ」
これで勝てなかったら絶対に無理だ。
勝てるはずなんだこれなら……




