第二十七話 目に見えたものは
- 第二十七話 目に見えたものは -
俺達は今、外の世界に居る。
何故かって?そりゃあ、”元凶”を倒す為さ。
「ここが外の世界……。俺達が居た世界が暗転したような見た目だな」
この外の世界は準備していた世界とそっくりなものだった。家の位置や学院の位置なども全く同じ、ただ空の色が赤く、霧のような状態であった。なんとも言えない世界に色夏は口を開く。
「それで、”元凶”が来る場所は…どう考えてもあの学院よね」
この辺りに会議を出来そうな建物と言えば学院しか無い。そうなると学院内しかないのだ。学院は会議室もあるので確定とも言えるだろう。あと3日も待つとなると早すぎたのかもしれない。
「ここまで場所が分かりやすいとなると、3日間暇を潰さなきゃならないね。魔力探知でもこれという奴も見つからなかった」
この時俺は既に、早めに来ている者を探そうとしていたが、何も感じない。
人1人の魔力さえも感じないし、一般の者も存在しない。やっぱり、対象者のみが干渉可能な結界だからだろうか。これはこれでラッキーなのかも知れない。無を破壊しなければ来れないということはここに来る者は無をも破壊する何かを持っている強敵なのだ3日間作戦を練る必要がある。幸いな事に地形は俺の世界と同じだから把握は必要無い。
「あと3日も!?どうするのよ、何も居ないし2人きりで3日は辛いくないかしら?」
「いや、この3日を過ごす策がある」
俺はふと考えてみた。3日は72時間……時間……時間操作…。そう、俺の策というのは、日付を改変しちゃおう作戦だ。時間操作と物体操作を応用し時間経過を獲得。時間経過を犠牲にし物体操作のデータを少し掛け合わせ完成だ。日操作、名の通り日付を限度無く操作する操作系魔法だ。
俺は間もなくそれを使用する前に先程手に入れた絶対干渉を組み合わせ、””元凶”がいる世界などに干渉。そして日付を3日程ずらせば完了だ。
罪なき人も巻き込む事はとても辛いが平和の為だ。俺は完了した後ため息をつきながら色夏を見た。
「ほら、3日過ごした」
「ほんと…狂ってるわ。式破」
流石にここまで出来る事を知った彼女は久しぶりのドン引きを披露していた。後は隠れて集合した所を狙うだけ。
*
一方その頃、世界は大パニックを起こしていた。
俺のせいで3日も時間が動いてしまったからだ。人々は何が起きてるのか把握出来ず、元凶も少し焦っていた。
「日付が変わりすぎている…。会議の日になっているだと?誰かによる操作なのか……それより急がねば」
元凶の姿は見えないが、黒い影のみが映る。他と比べて状況把握が早く準備に取り掛かった。外はとてもうるさくて元凶は少し苛立ってそうな動き方をしていた。
*
その頃、俺と色夏はとりあえず離れた場所で様子を見る事にした。
そろそろ来る……と思った瞬間、俺の体は大きく痺れた。とんでもないオーラと魔力を持つ者が現れたのだ。
俺は色夏の方をゆっくり見ると、彼女も冷や汗を垂らしていた。
あいつが……と思ったが、オーラと魔力がどんどんと増えていく。何事だと周りを見れば他の者もこの世界へ来ていた。どれも似たような感じだ。皆は仲が悪いのか、何も言わず学院に向かっていく。まるで操られてるかのような動きで屍のように歩いていた。
「式破、私疲れてるのかも……。なんか彼奴らが皆やばい魔力を持ってるように感じるの」
「疲れてるんじゃねぇ……これは本当に起きている事だ。今までに無いオーラと魔力、こりゃあとんでもな……」
色夏もこればかりは耐えられそうにないが、現実を言ってあげなければ正気を保てないだろう。本当に起きている事だと説明すると色夏は何とか正気を保った。そして俺は独り言を呟き言い終わりそうになった時、俺は言葉を失った。今感じてたオーラと魔力とは比べることも出来ない何が俺達の横を通り過ぎた。俺は恐怖を感じた。彼奴はやばいと少しその感じた方を見てみるととんでもないバケモノが歩いていた。周りとは比にならないということは彼奴が”元凶”なのだろう。
「彼奴が”元凶”……魔力と同じバケモン見てぇな見た目してやがる」
「あれが”元凶”なのね、強い人ってなんで人型なのかしら」
ようやく見つけた、あの”元凶”を倒せば元に戻ると言いたい所だが、1つ言いたい事があるだろう。
「「え?」」
2人はハモリながら同時に「え?」と言う。それはそうだ俺と彼女の”元凶”の姿が一致しないのだ。バケモンと人型見え方が違うのは不思議すぎる。
「どう見ても人型でしょ!よく見てみなさいよ!」
「どう見てもバケモンだって……んーと、人型だ!?」
色夏に言われた通りもう一度見てみると俺が見ていたものは違かったかのように人型に見えたのだ。何かがおかしいと思った俺は”元凶”は動物に見えると思いながら見つめてみた。すると、人型から動物に見えてきた。俺はこの瞬間奴のやばさを感じた。
「彼奴はやばい。能力とか魔力とかよりもとんでもねぇ…彼奴は俺達が思う彼奴の姿が具現化されているんだ」
「どういう事?」
「簡単に言えば、奴には”自身の姿”が存在しないんだ。俺達が思う彼奴のイメージが彼奴の姿なんだ。犬と思えば犬に見え、自分自身と思えば自分自身が姿となる。彼奴は”無”なんだ」
”元凶”は自身の姿が無い。皆が思う彼奴のイメージが彼奴の姿……。そのようなものは昔に消えて消失しており、そのようなものは決してない事だと知らされていた。”無”ならば攻撃しても当たらない姿が見えていてもそれは俺達が見ているだけで絵に書いた人を殴ろうとしているのと同じ状況だ。俺達が見ているのは”絵”のようなもの、本当は”無”これは計算外だった。彼女も驚きを隠せない。
「それって……。攻撃は当てれないってことじゃない!」
「その通りだ、今のままだと確実に無理だ。まるで何も無いところで1人で戦いごっこするかのように無防備過ぎる。だが、必ず奴にも弱点は存在する筈だ。そこを見つければ何とかなるかもしれない。やる事は変わらない、突入する」
俺にだって弱点はあるし、絶対に弱い所があるはずなんだ。そこを見つけなければ勝機は0、0を1に変えなければ行けない。やる事は変わらないという事だ。その言葉を聞いた色夏はため息をつきながら口を開く。
「やるしかないって事ね。分かったわ、絶対に倒すわよ」
「分かってるよ。絶対に倒す」
俺達は彼奴らが学院内に入った事を確認すれば身を出し、学院前に現れる。
学院を見つめるていると、俺の後ろから何か女の笑い声が耳に入る。「フッ」
という短い声。俺は咄嗟に振り返るが何もいなかった。首を傾げながら俺は気にせず前を向く。そして俺と色夏は学院内に突入する───!




