表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

選択

あれから数日が経ったがぼくの生活に変わりはなかった。少しスイッチのことが頭にあったが学校に行き、バイトに行く。それをただ繰り返していた。

明日の不燃ゴミに出せばスイッチのことも完全に忘れて元通りの生活に戻るだろう。

「明日忘れないようにしとかないと、」

そんなことを考えていると携帯が鳴った。知らない番号。心当たりはない。

電話に出る。

「はいもしもし。、、、、、えっ?」






明日捨てるはずだったスイッチとついていた紙を手に取る。

電話は、地元の総合病院からだった。

母の持病が悪化したらしい。もともと体の弱い人ではあったがそんな様子なんて見せていなかったのに。今は容体は落ち着いているようだが話を聞く限りすぐにでも手術が必要らしい。

難しい手術のようでかなりのお金が必要らしい。

ただ、そんなお金なんてうちにはなかった。

左手に持った紙を一瞥する。

【このスイッチを押すとお金が手に入ります】

【一回押せば100万円】

もしもこの紙に書いてあることが本当なら。

お金がない今、母を助けるためにはこの言葉を信じるしかなかった。

スイッチを押して100万円を手に入れる。

ただ、もしも本当に100万円が手に入るのであればそれはつまり、、、




押すという選択肢しかぼくには残っていなかった。

何よりも母のことが大切だったから。




ぼくは、スイッチを押した。




スイッチを押したタイミングでは特に何も起きなかった。目の前にお金が降って湧くわけでもなく。

ただ空虚な時間だけが流れた。

「やっぱり、そんなうまい話ないよな。」

本気で期待していたわけではない。

でも、期待せずにはいられなかった。

肩を落とす。

ゴトっ

玄関の方から音がした。

なんだろう。

ドアポストを見ると一つの封筒が入っていた。

「まさか、、」

疑いつつもぼくはそれがなんなのかを理解していた。

封筒を開けるとお金の束が入っていた。

数えなくてもぼくにはそれがいくらなのかわかった。

きっと100万円なのだろう。タイミングを考えるとそれしかあり得なかった。

色々と考えたいことはあったがまずは母の入院先の病院に電話をかける。お金の準備ができたこととこれからの手術のこと。色々と話し終えると病院へ行くために駅へと走った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ