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悪戯心

「ほんとに使えないなおまえは。生きてる価値ねーよ。」

その日何回目かもわからない上司からの暴言を受け終えた僕は、バイト先を後にしていた。

僕は都内の大学に通う2年生。

地方出身のため、都内で一人暮らしをしている。家が貧しいので奨学金を借りて大学へ通っている。親からの仕送りはないが本来高校を卒業したらすぐに働いて家にお金を入れようと考えていた僕にとって、大学へ行かせてもらっただけでも本当に感謝している。

父はいない。僕が幼い頃に事故で亡くなった。

父との記憶はあまりないがとても優しかったことだけは覚えてる。

持病がありながらも女手一つで僕と妹を育て上げ大学にまで通わせてくれた母には感謝しかない。

週に4日のアルバイト生活。もちろん生活はぎりぎりだ。もともとは、週7日毎日働いていたのだが学業にも身が入らず最終的には体を壊してしまったことが原因でバイトの日数を減らした。

バイト先の上司はパワハラ気質で、気に食わないことがあればすぐに暴言を吐く。

そんなパワハラ気質の人間のもとで働いている理由は、“時給が高いから“ただそれだけ。

本音を言えば、僕だって友人らとその場の流れで飲みに行ってみたい。サークルに入って様々なことを経験してみたい。彼女をつくって某夢の国にも行ってみたい。みんなみたいに。

「はぁ、」

こんなことを思ってもないも始まらない。世の中にはぼくよりも辛い境遇の人なんていくらでもいる。そんなことを考えながら、家に着いた。

外出する際、鍵は外の郵便受けに入れていくため、郵便受けから鍵を取り出す。その時,手に何かが触れる。

「なんだろ?」

中を覗くと奥の方に小包があることに気がつく。普段くる郵便物といえば中身のないDMか、電気代等の振り込み用紙だけ。

小包なんて珍しいな。そう思いながらそれを取り出す。

宛名や住所、送り主など必要な情報が全て抜けているそれをみて

「なんだこれ?」

そう思いつつも好奇心に駆られたぼくは、明らかに怪しいそれを持ち部屋の鍵を開けた。

家賃4.5万円駅から徒歩15分のワンルーム。これがぼくの城。狭い部屋ではあるが風呂トイレ別。唯一の心休まる場所だ。

部屋へ入り電気をつける。テレビも何もない部屋が照らされる。ぼくは鞄をその辺へ投げると敷きっぱなしの布団の上に座り小包を見る。

やはり心当たりはない。そもそも誰かが送ってきたものにしては切手や宛名など必要なものが足りなさすぎる。

少し不安になりつつもぼくはそれを開ける。

中には一枚の紙と一つのスイッチが入っていた。スイッチを布団の上に置きまずは紙に書いてあるものを読む。


【仕様書】

【このスイッチを押すとお金が手に入ります】

【一回押せば100万円】

【二回目は99万円】

【三回目は98万円】

【一回押すごとに貰える額は減ります】

【上限は5050万円】

【一回押すごとにあなたと直接関係のない人が1人死にます。】


紙には無機質にそれだけが書かれていた。

馬鹿馬鹿しい話だ。

スイッチを押したら金が手に入る?その代わり人が死ぬ?誰がそんなことを信じるんだ。

次の不燃物の日にでも捨てよう。そう思ったぼくはそれを机の上に置くといつものように風呂に入り床についた。

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