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「ピンポーン…」と家のチャイムが鳴った。少女は受話器を取り
「今から行くから、ちょっと待っててね。」
と返事をし、玄関へ向かう。
彼女の名前は小山咲玖。おとなしめで真面目な性格の女の子だ。
咲玖は小学六年生で先月12歳になったばかりである。誕生日に犬を買ってもらいポチと名付けとても可愛いがっている。
玄関を開けるとそこには少女が咲玖を待っていた。
「もー、さくちゃん遅いなー。あと少しで遅刻しちゃうよー。」
彼女の名前は南まなか。好奇心旺盛で、明るい性格の女の子だ。
咲玖と同じく小学六年生で、背は咲玖より少し小さい。髪をいつも後ろでツインテールに決めている。
2人は幼馴染で毎朝いつも一緒に学校に行っている。
「違うでしょ、まなかちゃん。まなかちゃんがいつもより15分遅れたんでしょ。」
「あれ…?そだっけ?」
そうだ、と言わんばかりに咲玖が首を強く縦に振る。
「まあまあ、細かいことは置いといてさ…学校行こうぜー。」
そう言うと、まなかが逃げるように走り出す。
「あ…えっ?ちょっと待ってよ。私待ってたんだよけど!」
「わるいね、さくちゃん。この世はチャンネル登録何だよ。」
……?
「弱肉強食……かな?」
「おおー、お見事!今のパスがよくわかったねぇ、さっすがさくちゃん。」
「でしょー私お見事。…って、こんなこと言ってる場合じゃないよ。いつのまにかまなかちゃんもう見えなくなってるし。あ、行ってきまーす。」
咲玖は急いで靴を履き玄関を出てまなかを追う。
咲玖とまなかは運動神経が全然違う。あまり運動の得意でない咲玖に比べ、まなかは運動神経抜群だ。咲玖が追いつこうと頑張っても、追いつくことができない。
「これって、一緒に学校行ってるって言うのかな。まあいいか。」
えー…急いでいても、落ち着きを持って安全を確認をする。通学等だとしてもこれ大事!転んだりするのも痛くてやだし。
咲玖はいつもの通学路を走る。咲玖の家から学校は、全速力で走ったら10分くらいでつく。
咲玖たちが通る通学路の途中には、神田神社という神社がある。公園と隣接しているため咲玖たちはよくそこで遊んでいる。
神田神社の近くまで来ると、咲玖はある貼り紙に目がいった。
【節分祭二月一日、三日】
「節分祭…、ってもうすぐお祭りなんだ。しかも節分祭。楽しみだなぁ。今年はお菓子いっぱい取れたらいいなぁ。」
神田神社では季節ごとに毎年4回祭りをしている。中でも節分祭は、やぐらの上から豆の代わりにお菓子が投げられるため、子供たちに人気の祭りとなっている。
その神田神社の前を走り過ぎようとした時、境内の方で一瞬青い炎のような光が横目に映った。
何だろ今の。確かに光ったよね?ちょっと気になるけど、
今はそれどころじゃないです。