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時間の経過

作者: 来留美

チクタクと時間だけが過ぎて行く。




私はまだ彼を待っている。


来るはずのない彼を。



彼との約束は3年前。



「3年後、君に好きな人がいなかったらこの場所で会おう」



そう言って彼と私は別れた。


彼は年上で、大人の男の人だった。


私は子供で、まだ学生の女の子だった。


私は彼が好きだった。


けれど彼は私を子供扱いしていた。


だから約束も私の気持ちを知っていたから

私の為に言った言葉だと。


彼と別れて少し経って私は気付いた。


だから彼は来ない。


私のことなんて忘れてる。


それでも私はこの場所で彼を待っている。




チクタクと時間だけが過ぎて行く。




通行人はどんどん減っていく。


夜がどんどん更けていく。



「ねえ、何してんの?」



男の人の声に私は顔を上げた。



「お茶でもしない?」



おじさんに声をかけられた。


彼じゃないから私は顔を下げた。



「ねえ、無視?」



おじさんはそう言って私の腕を掴んだ。


おじさんの力は強かった。


どうしよう。



「その手、離してくれる?」



誰かがおじさんの腕を掴んで言った。


おじさんは逃げるように去って行った。


私は助けてくれた人の顔を見て目を見開いてしまった。



「何で?」


「約束だろ?」



そこにいたのは来るはずのない彼だった。



「来ないと思ってた」


「俺も君が来ないと思ってた」


「あの約束は私に諦めてほしかったからじゃなかったの?」


「その逆。

俺が君を諦める為の約束」


「意味が分かんない」


「簡単に言えば、昔も今も俺は君が好きなんだ」



彼はハニカミながら言った。


彼は来ないと思っていた私の頭は、混乱していた。



「君の気持ちは?」


「私は、あなたと同じ。

昔も今もあなたが大好き」



私は笑顔で言った。



「ねえ、キスしてもいい?」



彼は私の頬を壊れ物を扱うよに触れ言った。



「どうぞ」



私はそう言って目を閉じた。


彼の優しいキスは私への愛に溢れていた。


チクタクと時間だけがゆっくり過ぎて行く。


ドキドキと私の鼓動は速くなる。

読んでいただきありがとうございます。

今が楽しいのであれば一分、一秒と大切に過ごして欲しいと思って書きました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  本当に好きな思いはいつまでも残るのかもしれません。
2020/10/05 08:48 退会済み
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