4.Hostage-人質-
お知らせ
1〜4話まで多少変更しましたが、内容はほとんど変わっていません。2009.05.07 GUOREN.
日本海にほど近いこの倉庫の中では、異様としか言い表せない空気が漂っていた。
触れただけで割れてしまう風船のように、その倉庫の中の空気は張りつめていた。
そんな緊張感漂う中で、逃げられないように後ろ手に縛られている人物がいる。
数分前にここに連れてこられた、人質であった。
その人質――杉本 醒は、学校からの帰る途中に襲われ、突然この場所に連れてこられたのだ。
ここに着いてから数分間ずっと、醒は用心深く倉庫を観察し続けていた。
醒が縛られているこの倉庫は、奥行き30メートルほどの小規模なものだった。
中には車両が2台置いてあり、その付近には大きな四角い箱が1つ置かれてある。
その箱を中心に、人員が配置されていて、箱の周り以外にも人が疎らに点在していた。
倉庫内には少なくとも十人以上は人がいるようである。
話されている言語は日本語以外のもののようで、どうやらここにいるのは外国人だけらしい。
断定できなかったのは、たんに会話が遠すぎて、醒には聞き取りにくかったためだ。
さらに観察を続けると、彼らの動きに規則性があるのが判った。
さながらそれは軍人のようだった。
しかも、ご丁寧にも銃器を一人一人常備しているようだ。
これは一筋縄ではいかないなと、醒は思った。
「なんでこうなるのかな」
醒は周りに聞こえないよう小さく呟き、いまだに目覚めない隣の男をちらりと見やった。
そもそもこの男が原因なのだ。
醒は嘆息し、今に至る状況を思い返すことにした。
拙い小説をここまでお読み頂きありがとうございます。
なかなか前に進みませんが、見離さずお付き合いくださいませ。