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一万人の転移  作者: 藤村 次郎
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エルンギ隊のキースが語る

 なんとも、たまげたものだ。

あっと思う間に、青い空と静かな草原、そして海の匂い。

前の方に進軍していた兵隊さんは、拍子抜けしたように周りをみて、茫然自失の体である。指揮官のシン様が「おちつけ! 」と号令をかけてきた。

我が隊のエルンギ隊長が、「とりあえず、座れー! 」と。

敵の声が全く聞こえない。先ほどまでぬかるんだ土だったのが、今は柔らかい草の上である。

「おい、どうなっているんだ? 」

「おらも分からん! 」

「生きてるんだな! 」

「あの世では無いのだな! 」

「ああ遂に死んでしまった! 」

「おかあさーーん! うわーん! 」

もう、至る所で喚きが噴出している。

しばらくして隊長から説明があった。わしらを含めて、シン様の率いる12000人が、一瞬にしてこの場所に来たこと?。ここがどこかはわからないが、敵はいないこと。そしてシン様が導いてくれるから心配するなと。


 3日目の朝、小隊長様から、女性の居住区には近づくな。近づくものは、あれを切り落とす。と恐ろしいことを言ってきた。それから、穀物、野菜などの自生を調査するよう命令され、5人一組で、20組が編成され4方に散って行った。わしらは同じ村の5人で湿地の方を探索した。一日中湿地を這いずり回っても食糧になるものはなかなか見つからなかった。7日目にやっと稲らしきものを見つけた。これは間違いなく米だ。しばらく周囲を探索したしたところ、この湿地にちらほらと群生していた。あとは稗もあった。一日中徘徊して、夕方にはキャンプ地に戻ってきて小隊長に報告した。くたびれた。

他のチームも稲を確認したそうだ。麦らしきものが北の山際で見つかったとも。

それに、兵糧隊が言っていたところにも、他のチームが行ってじゃがいもを幾つか持ち帰ったそうだ。

なんにしても、畑やたんぼができそうだなや。

うれしいこった。

それから、収得したものは全て兵糧隊に持参することと、自消したり秘匿したら罰を食らうと。


 帰りに、女性居住区の近くを通ったのだが、ものものしく親衛隊の人たちが周囲に目を配っていたな。ありゃ近寄れねーべ。わしの娘も救援隊の一員で一緒に来たのだが、あれで安心だわ。でも、会いにも行けそうないな。まあ、そのうち落ち着けば一緒にくらせるべ。


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