パラレルワールド管理局の説明
ああ・・。疲れた。だれかこの状況を説明してくれ!!
おれは思わず叫んだ。とっ。
「こんばんは! 」と突然声がした。そこには黒のスーツに身を固めた男の子と女の子がいた。
年のころは、12歳と10歳ぐらいだろうか。見た歳と着ているものがアンバランスである。
「パラレルワールド管理局のキイと申します。こちらはアンです。電車の中で向かい側に居た者です。」
「あ・。そうか!。で、どうしてこうなったの?。それより、俺以外の人に聞かれたり見られるのは困らないか? 」とおれは尋ねる。
「大丈夫です。不可視と遮音の壁を展開しましたので、誰も気が付きません。」
「で、ここは、魔女の惑星と呼ばれており、いわゆる魔法を操る魔女が管理する星です。そして、8代魔女ジローの時代で、そのうちジローにも会えると思います。彼女には今回の12000人の転移について無理を聞いてもらいました。何が無理なのかは、今は聞かないでくださいね。」
ある星で、消滅の危機がきた。ある科学者がパラレルワールドの存在を探し当て、そこへ12000人を放出した。それが今回の転移であると。科学者たちは、消滅に追い詰めた元凶の自分たちが転移すれば、再び同じの愚を踏む可能性があると反省し、その要因が薄いと思われる昔の人たちに未来を賭けた。ということらしい。
今回は魔女ジローが、地球と呼ばれる星から“導き手”を召喚したということで、俺がここにいる。
「12000人の導き手として、よろしくお願いします。」とアン。
しかし、パラレルワールドに放出すれば何とかなると思ったのだろうか?。管理局が拾わなきゃ、パラレルワールドのごみとなって、うん・・ どうなるのかな? ごみはごみ、いつかは掃除しなくてはならない。掃除って、きっと消滅なんだろう。では今回のごみを生かす方向で、動いたということか。誰が?。
ラノベでよくある転移ものなのかな?
冷静に応答できたのも、転移ものを幾つか読んでいたせいなのか。
この状況は面白い。カレーよりおいしそうだ。
彼らの話によると、この世界と地球の接点が、電車の中の俺になっていたこと、向かい側に座っていた2人がキーとアンだった。日暮里の駅に近づくと接点が活発になって、この世界と接続される。そして俺が召喚されたと。
それより前に、キーとアンは俺の情報を地球で探していたそうだ。召喚される導き手の目途は立ったのだが、何時、何処でが確定していなかった。あの日暮里の手前でやっと捕捉できたそうだ。また、違法のタイムトラベラーが狙っていることも。2人の少女がそれにあたる。
「俺は、元に帰れるのか? 」
「ちょと難しいですね。今は何とも言えません。残念ながら。」
「うーーん。じゃあ、何か特殊な能力とか欲しいものをくれるとか、ゲームの定番はあるのか? 」
「あります。この星は魔法が使えます。ただし、魔女の許可が必要です。 と、物もあげられます。」
「魔法というと、あれか! 炎とか水とか思いのままに出てくるとか? 」
「いやいや、すぐにできないですね。ここに教科書がありますので、置いて行きます。近いうちに適切なひとが指南に参ります。一朝一夕には習得できませんよ。」
「それと何をくれるの? まさか銅の斧、銀の斧、金の斧、正直者にはお願いを聞いてくれるって。」
「ええーと。そうですね。なんでも入るバッグをあげましょう。ただし生きているものは入りません。容量は無限です。取り出すときは手を入れて、そのものをイメージすればOKです。それから、バッグの中は時間が停止しています。何が入っているかは、横にモニタが付いていますのでそれでわかります。」
「それは確かに転移もののお約束みたいだね。ネットができるパソコンもほしいな。」
「ネットはできませんが、パソコンは提供できます。 えーと、これなんかどうですか? 」
背中に背負っていたバッグを下して、その中からパソコンを取り出して机に乗せた。えっ。これって俺が使っていたノートパソコンじゃないか?。
「でも、こんなもの持ってたら不思議がるよね。」
「そうですね。じゃあ、これはどうですか? 一見丸い棒に見えますが、この横の右側のスイッチを一度押すと、画面が出てきて、左側ではキーボードが出てきます。」とキー。
これは、良いかも。カメラも付いているから写真も録画もできる。
「それと、ユキ姫に懐いている、犬?は なに?
よくよく見ると、頭に角があるので、地球の犬とは違うようだが? 」
「あ・ それはこの星に住む聖獣です。 魔女から派遣されてきたようですね。」
「え・ 魔女! … うーーん。魔女について教えてくれるかな?」
「ジローと言って、10歳ぐらいのかわいい少女ですよ。鷲鼻や黒い帽子などはありません。そのうち訪ねてゆくと思いますよ。」
「まあ今日はこの辺にしておこう。 お腹一杯だし、眠いし。 また今度で良いかな? 」
「良いですよ。連絡方法は、その聖獣に言ってくれれば伝わります。今日のところは引き上げます。12000人の面倒をよろしくお願いします。」
もうコンガラガッタよ。 パソコンに今日一日の出来事を入力した。もう 寝よう。




