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一万人の転移  作者: 藤村 次郎
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魔法のけいこ

 4月1日、夜のシンのテントの中で、久々に二人が寛いでいた。

神の神託から、シンには土魔法、ユキには水魔法が与えられた。

「まず、魔法ってなんだ?」

「確か、夢の中では、お椀に水がすこしづつ入ったり、傷が治ったり、雨を降らせたり、などがあったけど?」

「おれも、畑を耕したり、溝を作ったり、岩を崩したり、などがあったよ。」

「どのようにしたら魔法が使えるのか?」

「シン、水魔法って水が出せるとか!なのかな?」

2人の時には、ユキとシンは互いに“シン” “ユキ”と呼ぶ。

「イメージして、“コップに水が一杯 ぱぴぷぺぽ”と・と・と・」

コップには一滴の水もでなかった。

「うーん。雲をつかむような。本当にできるのかな??」とユキ。

「シンもやりなさいよ! 土魔法って???」

「うーん。土を耕すとか?、固めるとか?、柔らかくするとか?、なんだろう??」


「うぉん もう晩いから今日は寝ろよ!」

「そうだな。ユキ姫 もう寝ようか? いっしょに! いっしょに! 」

「うぉん うぉん ダメに決まってるだろ!」

ポチの鳴き声が合図だったのか、そそくさとメイドたちがやってきて、ユキ姫はつれて行かれた。


 あくる日は、朝から雨が降っていた。

小さいころ、土で丸めて、団子状のものをたくさん作って遊んだことを思い出した。

早速シンは、お盆に持ち込んだ。土をじっと見つめて。

「まずは、お団子を作ってみるか!。

魔法を使う準備が必要だよな。夢の中で何かやっていたような?」

「そうだ。まず両手を挙げて、魔法に必要な力を集めなくては。」

この惑星には、魔法にひつような力「魔素」が存在する。

“魔素の収集”と“対象イメージ”と“作用”が魔法の3基本である。

シンはここで、魔素を集め、お団子と称する土の球をイメージし、“固まれ ぱぴぷぺぽ”と唱えた。

「おお。なんか出来たみたいだ。」

つつくと、脆くも崩れたが、幾度か試していると、硬さを加減できるようになった。


 成果を披露しようとユキ姫を探しにゆく。

と、女性居住区が騒がしい。近づいてみると子供たちがユキ姫を囲んでいる。

「すごーい。傷が治ったよ。 ユキ姫様すごーーい。」

周囲が姦しく感動している。

「ユキ姫、どうしたのかな?」

「ああ。シン様。 子供の怪我を見たら、思わず直したくなって、“元に治れ!ぱぴぷぺぽ”って言ったら、このとおり綺麗さっぱりと治ちゃた。 えへへへ・・。」

「おお・・。そうか。そうか。 よかったな。」

シンとユキ姫は手を取り合って踊りだした。

回りの女性たちは何のことかわからないが、2人が嬉しそうにしているので、自分たちも踊りだした。

「うぉん、うぉん、うぉん 舞い上がるのもいい加減にしろや。」とポチ。


8代魔女ジロウへ、アヤメ(潜ませていた魔女隊のメンバー)から報告があった。

シンもユキも魔法が使えるようになったと。


 4月3日、“ユキ姫は怪我を治せる。”と皆に知れ渡った。

そして、行列ができた。

「えーいい。こんな傷で並ぶな! 唾でも刷り込んでおけ!」って、親衛隊長のムルベが吠えていた。

もちろん、ポチも無用な輩を蹴散らしていた。

「うぉん、うぉん、うぉん ユキ姫に近づくな!」


 4月4日。今日も雨。

少し、蒸し暑い。初夏というところだろうか?。

畑の野菜もすくすくと育っており、田んぼの稲も大きく育ってきた。

さすが農民兵だ。


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