ジローとの会談
3月3日 その夜、ユキ姫に神託があった。
「明後日、神殿前でこの星の管理者から話がある。準備するように!」って。
俺とユキ姫、マサムネは知っているが、皆には知らせていない。
このような形での紹介を、ジローと打ち合わせていた。
「大隊長クラスは同席させようと思うのだが。」
こちらが、シン、ユキ、5大隊長、兵糧隊長、救援隊長、女性代表の10人になる。
テーブルを神殿に向けて縦長に配置、左右に10人が座れるように配置した。
太陽が天中に達する前に、シンの方は海側席の椅子の後ろに立って、待っていた。
目上の扱いとして、シン側が着席して待つのは失礼との判断である。
暫くすると、空からキーンという音が近づいてきて、銀色の物体が降りてきた。
そこから、黒い着物姿の女性と、10歳ぐらいの女の子が出てきた。続いて5人、メイド服の女性が続いた。続いて、全身薄い緑色の服を着た人が2人。
シンは、「こちらへどうぞ」と席を示した。
全員が揃ったのを見計らって、黒い服の女性が
「みなさん、おそろいの様で、座りましょう。」と声を掛けた。
神殿側から、順次腰を掛けた。
「左隣の少女はジローと申しまして、8代目の魔女です。私は、この魔女の星の管理を務めさせております、サナエと申します。右の5人は私どものメイドです。その続きのお二人は、パラレルワールド管理局の方です。」
「先に、ご紹介いただき恐縮です。私はこの場に駐留させて戴いているものの代表でシンと申します。左隣りは、参謀のユキ、続いて大隊長の5人、救援隊長、兵糧隊長、女性代表になります。」
「さて、私はパラレルワールド管理局のクガイと言います。この度は、シン様達をこの星に運んだ本人です。シン様たちが住まわれていた星は、3000年後に消滅します。その消滅の直前に当時の科学者たちがあなた方をパラレルワールドに放出されたのです。我々はこの星の管理者にお願いして、あなた方を受け入れてもらいました。」
「そうですか、そのような事情が。では、この地に住んで良いと。」とシンが確認する。
「あの、我々を助けていただけると。」とユキ。
「場合によります。基本的には自助努力で自活してください。」
「時々、神託を頂いておりますが、神様はおられるのですか?」
「おられます。いつか魔女の家にお出で下さい。」
「少し教えていただきたいのですが。この星には、我々と同じような人類が居るのでしょうか?。また、町とか都とかはありますか?」
「この星の人口は、およそ3000万人です。近いところで、ここから1200Kmほど東に獣人族の集落があります。あなた方と同じ人族は、獣人族の集落から、さらに500Km東に600万人の王国があります。」
「この地には人が居たと思われる廃墟が見られるのですが、その人たちはどこへ行ったのでしょうか?」
「それは、あなた方と同じような人が住んでいました。が、他の地に転移してゆきました」とクガイが応えた。
などなど、シン側からの質問に答える形で終始している。
「我々は、かつての国に妻やこども、親たちを残して参ったような形になっております。如何様に過ごしているのか、ずっと思い悩んでおりました。張り裂けそうな思いも時間が経てば落ち着いてきた次第です。しかし、知る方法は無いのでしょうか?」
「それは、残されたものも同様であるかと思います。ただ、あの戦場は、誰も帰還することはなかったと聞いています。あなたがたは、生き残ったのです。それを大切にしてください。」
「道路とか橋などインフラを任せられる人材はいないかな? 」とシン。
「そうですね。こちらで見積もって、後日向かわせましょう。」とサナエ。
あまり長くなると、それでなくとも理解を超える話で隊長たちは、おなか一杯になった。咀嚼するのに時間がかかりそうだ。それを見たサナエがそろそろお開きにしようかと、話を振った。
「一度に多くの情報を得ると混乱しますので、今日はこの辺で終わりにしましょう。今後は必要に応じて、私サナエから召集します。当面はメイドのアヤメを常駐させますので、困ったことがあれば話してみてください。」
「最後に、ジロー様から一言お願いします。」
「うん。まあ仲良くやってくれ。」とジロー。
シンたちは、銀色の乗り物が遠ざかるのを見つめていた。また、パラレルワールド管理局の2人は何時の間にかいなくなっていた。もう夕方が近い。
「ジローさんとサナエさんでは、どちらが上?? 」と疑問。




